森林遺伝育種
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10 巻, 1 号
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原著論文
  • 西原 寿明, 坪田 幸徳
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 10 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/02/18
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    要旨:イシヅチザクラは四国固有のサクラで、愛媛県、高知県において絶滅危惧種に指定されており、温暖化などによる分布域の縮小が懸念されている。イシヅチザクラの保全に向けた基礎的な知見を蓄積するため、分布域を調査し、種間・種内の遺伝的多様性及び集団遺伝構造を評価し保全単位を検討した。水平分布は、石鎚山系二の森から赤石山系エビラ山までであることが判明した。垂直分布は主な生育地では標高1,700 ~1,980mであったが、蛇紋岩地帯では1,400 ~1,700mとより低い標高に分布していた。イシヅチザクラの生育地は、主にシラベ林の林縁やギャップ、岩礫地の低木林であった。イシヅチザクラを含むサクラ属9種1変種のSTRUCTUREによるクラスター解析では、イシヅチザクラは他のサクラ属と異なるクラスターを示し、固有の遺伝構造を示した。低標高域ではヤマザクラとの交雑由来とおぼしき個体がみられた。イシヅチザクラは種内で遺伝的に6集団に分化しており、集団は地理的障壁により隔離され分化したと考えられた。これらの遺伝的に異なる6集団を保全単位とし、生育域内保全を行うことが望ましい。

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