5つのSSR(simple sequence repeat)マーカーを用いて北海道富良野市に位置する東京大学北海道演習林内に隔離分布するハクサンシャクナゲの小集団の遺伝的多様性と繁殖様式を調べた。富良野集団の遺伝的多様性は集団間で大きな違いがなかったが、既往研究で用いられた集団サイズの大きな八甲田山の集団よりもいずれも小さかった。遺伝的分化度を示すFSTは全体で0.293と高く、集団間では有意な分化が認められた。集団内では同一の遺伝子型を持つ個体が近くに分布する現象が見られ、伏条更新の可能性が示唆された。2009年7月に全集団を対象に開花調査を行った結果、91林班集団の2個体のみが開花していた。これらの2個体から種子を採取し、SSRマーカーを用いて発芽した実生について、比例配分法を用いて父性解析を行った結果、発芽した実生全体の約 8割が自殖であると推定された。
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