冠雪害抵抗性を保有するスギ品種の中から雄性不稔遺伝子をヘテロ型(Aa)で持つ品種(クローン)を探索するため、多雪地域から選抜された富山県選抜スギ品種 10クローンと無花粉(雄性不稔)スギ(aa)を交配し、 F1家系の花粉稔性について調査した。その結果、(aa)となり、「座主坊」との F1家系で 50個体中 27個体が雄性不稔「座主坊」は雄性不稔遺伝子をヘテロ型(Aa)で保有していることが明らかになった。「座主坊」の特徴を明らかにするため、検定林で富山県と石川県のさし木品種 5クローンとの比較調査を行った結果、「座主坊」は冠雪害による被害率が低く、変形のし難さを示す樹幹ヤング率が最も高かった。さらに成長も最も早かったことなどから、「座主坊」は林業上、有用なクローンであると判断された。これらのことから、冠雪害抵抗性や成長に優れた無花粉スギ品種を開発するうえで、「座主坊」は有望な育種材料であると考えられた。
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