アカマツの次世代抵抗性育種を効果的に推進する上では、数ある第一世代からの交配親の選定基準や抵抗性の遺伝性等について検討する必要がある。本研究では、36系統のマツノザイセンチュウ抵抗性アカマツを用いた9セットの4×4ハーフダイアレル交配家系を対象として、抵抗性の遺伝試験を実施した。線虫接種後の交配家系の生存率は6箇所の試験地間や各試験地内の反復間で大きく異なったが、交配組合せ間でも大きく異なった。狭義の遺伝率はやや低い値を示し、生存率は試験地や苗畑内での植栽位置等による影響を受ける一方で、遺伝分散の中では一般組合せ能力の効果が大半の割合を占めた。REML法に基づき交配家系から推定された親系統の交配親としての遺伝的能力は、既往の実生後代の評価に基づく抵抗性ランキングと有意な正の相関が認められた。このことから基本的には、抵抗性の高い系統同士を交配親に用いることによって、より高確度で強い次世代抵抗性アカマツを作出できる可能性が示唆された。以上の情報は、今後の当該樹種の抵抗性育種を進める上での基礎的知見として重要である。
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