日本理科教育学会研究紀要
Online ISSN : 2433-0140
Print ISSN : 0389-9039
21 巻, 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 高森 潤
    1981 年21 巻3 号 p. 1-8
    発行日: 1981年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー

    密度は,重さと体積から2次的に抽象化される概念であり,極めて理解し難いものである1) 。しかし,密度を理解することは,物質概念の形成にとって,非常に重要なことである。そこで,中学生が,密度をどの程度理解しているかを調査した結果,次の事項が明らかになった。1. 重さと体積の概念の分離がなされている者の割合が極めて低い。2. 気体物質の重さについての認識が不十分である。3. 密度についての計算問題が解ける者が,必ずしも密度を理解しているとはいえない。4. 密度の理解に関しては,ほとんど男女差はみられない。5. 密度概念を確実に把握している者は,各学年とも2割~3割程度と思われる。

  • 隅倉 雄一, 栗田 一良
    1981 年21 巻3 号 p. 9-18
    発行日: 1981年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー

    「温度」は児童・生徒にとって日常用語として使われ身近な言葉といえる。しかし,量概念の一つである「温度概念」は,面積や体積などの量概念と異なる特質を持ち,それだけにとらえにくい概念といえる。筆者らは,小学生及び中学生の持つ温度概念について,示強変数としての温度,容器やその周囲の諸条件を変えた時(知覚的に変化させた時)の温度感覚の二面から質問紙法で調査し,児童・生徒の温度概念獲得の傾向性を調べた。その結果,以下の事項が明らかになった。(1)温度概念の定着度は,小1~小3, 中 1~中 2の2つの時期に大きな伸びが見られる。(2)小3~中1,中2~中3の時期には,温度概念獲得率の増加はほとんど見られない。(3)小学校低学年では,温度概念の定着度は極めて低い。(4)学年を問わず,水の深さ,容器を置いてある場所のちがいに温度感覚は惑わされやすい。

  • 松森 靖夫, 関 利一郎
    1981 年21 巻3 号 p. 19-26
    発行日: 1981年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー

    現代心理学において,ピアジェやインヘルダーらにより,児童の空間認識に関する発達段階等の心理学的事実が明確にされてきた。しかしながら,理科における空間認識の研究は少ないように思われる。よって本研究では,回転概念・対称概念に関連する児童生徒の空間認識能力の実態を調査した。調査結果の分析より次のことがわかった。1. 回転方向に関する認識が低いこと 2. 星の回転速度(角速度)を,角度で捉えられる者は少なく,移動距離を用いて捉えている者が多いこと 3. 対称概念に関する設問の正答率は低く,誤答のタイプには三種の対称(線対称・面対称・点対称)の混同がみられること 4. 線対称・点対称に比べて,面対称の認識状態が低いこと 5. 問題場面をさし絵で示す場合より,実物を提示した方が,高い正答率を得たこと 6. 雨概念を通じ,女子に比べ男子の認識能力がまさっていること

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