植生史研究
Online ISSN : 2435-9238
Print ISSN : 0915-003X
14 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 河野 樹一郎, 河野 耕三, 宇田津 徹朗, 藤原 宏志
    2006 年 14 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    宮崎県南部に成立する照葉樹林を対象として,植生調査と森林内の表層土壌中の植物珪酸体分析を行い,樹木起源珪酸体の組成と樹種構成との関係について検討した。植物珪酸体分析はアカガシ亜属型,シイ属型,イスノキ属型,クスノキ科型,マツ科型,およびアワブキ科型の6 つの珪酸体を対象とした。その結果,アカガシ亜属型やシイ属型珪酸体の出現状況は,それぞれの給源となる樹種の優占程度を反映しており,植物珪酸体分析を用いてカシ林やシイ林といった照葉樹林の群落型を区別できることが示唆された。クスノキ科型やアワブキ科型珪酸体の出現状況には,バリバリノキやヤマビワといった各給源樹種の分布状況との対応関係が見られた。マツ科型珪酸体は,調査地またはその近辺にアカマツなどのマツ科樹木が生育する,二次林的な照葉樹林内から検出される傾向が見られた。イスノキ属型の珪酸体は,給源となるイスノキが生育していない林分も含めて,すべてのプロットから高率に検出された。イスノキ属型珪酸体は,その他の樹木起源珪酸体と比べるとかなり多量に検出される傾向が見られたことから,イスノキ属型珪酸体を用いて過去の植生復元を行う際には定量的にかなり過大に評価される可能性が示唆された。
  • 吉川 昌伸
    2006 年 14 巻 1 号 p. 15-27
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
    木材化石および種実化石の研究から縄文時代前期以降に日本にウルシが生育していたことが明らかにされてきた。しかし,木材や果実は利用のために遺跡内に搬入される可能性があるため,遺跡周辺でのウルシの生育については明らかではない。ウルシ花粉はウルシ属の他種と彫紋にわずかに違いがあることが記載されてきたが,識別の根拠は明らかにされていなかった。そこで,日本産ウルシ属6 種の花粉について光学顕微鏡を用いた花粉形態の詳細な観察と彫紋の画像解析を行った結果,ウルシの彫紋がほぼ類似した形状と大きさの網目から構成されていることから,同属の他種と識別できることが明らかとなった。この結果に基づき,青森県の縄文時代前期頃の3 遺跡の堆積物でウルシ属花粉を再検討した結果,ウルシは放射性炭素年代で約5600 年前のクリ林の出現期以降の堆積物から産出し,約4500 年前のクリが衰退し,トチノキ林が拡大する時期以降の堆積物では確認されないことが明らかとなった。
  • 鈴木 伸哉, 南木 睦彦
    2006 年 14 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル オープンアクセス
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