本稿では、建設機械の現状とそこに至るまでの系譜とともに、現在進められている建設現場の生産性向上の政策について説明を行う。現在、国内70万台と最多保有台数を誇る油圧ショベルの前史と誕生とその発展の系譜をたどると共に、その上に築かれつつある新たな情報化施工とそれを促進する国土交通省の技術政策:i-Construction(アイ・コンストラクション)を紹介しつつ、さらには生産性の向上と社会の省人化要請への対応としての建設機械の自動化に向けた取り組みを説明する。
物流現場で働く「クルマ」の種類と役割を紹介するとともに、自動化・省人化の技術による「持続可能な物流・ロジスティクス」への動きと今後の課題を述べる。また、先進的な事例として、経済産業省資源エネルギー庁の公募事業である「AI・IoT 等を活用した更なる輸送効率化推進事業」を紹介する。自動運転フォークリフト等を活用し、トラック運行と連携させることで、荷役効率化・物流効率化・省エネ化に取り組んだ事業である。自動化・省人化がカーボンニュートラルへの貢献にも期待が持てることを併せて述べる。
国内外の自動車業界は、100年に一度の変革期を迎え、電動化やデジタル技術が進展する一方、人手不足や高齢化など、人流・物流上のさまざまな社会課題に直面している。経済産業省はGXとDXの両面からさまざまな取り組みを推進しており、特に地域交通や物流の課題解決に向けては、MaaSや自動運転の社会実装に向けた研究開発・実証事業を実施し、物流分野では、物流MaaSの実証事業を推進している。本稿では、2024年5月に国土交通省とともに策定・公表した「モビリティDX戦略」におけるMaaSや自動運転の取り組みを中心に概説する。
本稿では、航空機のグランドハンドリング(地上作業)で使用される特殊車両(GSE)について、その用途や車両動力の有無、使用される航空機タイプなどにより分類して紹介している。また、昨今の社会的命題である気候変動対応として、日本航空の脱炭素の取り組みの概略を説明するとともに、その一部であるバイオディーゼル燃料(BDF)の活用について導入実績を交えて紹介する。加えて、これまでのBDF導入において見えてきた課題と、それらへの対策についても報告する。
林業分野の「働くクルマ」、車両系林業機械について、その導入の背景と目的、近年の技術開発の動向や今後の課題について概観する。車両系林業機械は、林業の安全性・生産性向上を目的に導入が図られてきたが、日本国内においては急傾斜や雨量の多さなどから、導入に必要な路網の整備が難しく、普及には長い年月を要してきた。近年は自動運転・遠隔操作技術の開発も進められているが、林内通信技術の開発、機械化に適した路網の整備や造林地の設計、自動化・遠隔操作化に伴う安全対策の検討等が課題となっている。
防衛力整備計画においては、防衛力の抜本的強化に当たって重視する事業の一つとして無人アセット防衛能力を掲げており、自衛隊車両においても無人化に取り組んでいる。本稿では、防衛装備庁陸上装備研究所における自衛隊車両の無人化に向けた研究の概要について報告する。まず、車両の遠隔操縦技術として、試作した遠隔操縦が可能な装軌車両について述べ、次に車両の自律走行技術として、自衛隊特有の運用環境に対応したSLAM技術について述べる。
厳冬期、背後圏経済活動を支える空港除雪は、雪質に対応した除雪のノウハウが地球温暖化に伴い対応不可となるリスクがある。空港除雪と一般道路除雪は、隊形、目的、能力等が違う。少子高齢化に伴う除雪車オペレータ減少に備え、2名乗車体制からワンオペレータ化を実現するため死角解消、無線機ハンズフリー化を実施した。また、自動運転化に向け、JAXAと連携協定を締結し、雪質データ化の共同研究開発、熟練操作のデータ化から、除雪の効率化および省人化に取り組んでいる。今後、国内外で開発される技術から北海道の観光産業を支える。