動物心理学年報
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15 巻, 2 号
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  • 鵜飼 信行
    1965 年 15 巻 2 号 p. 53-66
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    Diggingの方がthreateningよりもmotivationが強いということは余剰仮説からは説明されなかったが, 抑制解放説からは抑制解放の継続時間によって説明することができる。
    Diggingは (threateningも含めて) 本来的な行動であると考えられる。
    Ritualizeされると言う点では, 余剰仮説と同様に抑制解放説からも説明できる。
    以上のことから, 闘争事態での転位行動について, ハリヨにおいて集められた本実験のデータに関しては, 抑制解放説の方が妥当性が多いと考えられる。
    1匹の雄が造巣行動をしている水槽に投入されるという仕方で雌が雄のRevierに登場した。そうした事態で, 造巣行動類型のうち特にboring, fanningの頻度が著るしく増加した。しかし, これら二つの行動類型は, 造巣において, 巣の形を整える機能を果すと考えられ, 雌が現われれば, その中に雌が入って産卵するのだから, 当然増加が予期される。
    この事態で, 雄が, 従う雌を背で押し上げてすぐ巣にもどって巣造りをするのが観察された。この場合の造巣行動は, 雌に生殖行動を阻止されたために生起したと考えるより, 雌を押しとどめておいて, 巣を完備するために生起したと考える方が自然である。
    造巣行動遂行中の雄のいる水槽に雌を投入し, 観察終了後, 網で取り出すという操作をし, 雌のいない場合, 再び去った場合が各々急激にもたらされたが, どの場合にも造巣行動は生起する。雌がいる場合だけ, 造巣行動に特有のエネルギーが完全に消失されていると考えて, 性的事態における巣造りが非本来的であるというのは不可解である。これらの造巣行動は本来的だと考えられる。
    上述の点から, 性的事態の造巣行動は転位行動ではなくて, 場面に適応した真正の行動だと考えるべきである。
  • 山中 祥男
    1965 年 15 巻 2 号 p. 67-73
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    被験体としての6匹のネズミを用い, 視床下部前部に双極性電極を挿入し, 修正スキナー箱内でレバー押し反応を訓練した。実験群 (3匹) はFR=1 : 3スケジュールで, 統制群 (3匹) は100%強化スケジュールで強化され, 続いて毎日1時間の消去試行を3日間行った。
    獲得に関しては, 部分強化群の方が連続強化群よりも貧弱な実行を示し, 一方, 消去に関しては, 部分強化群の方が連続強化群よりも高い消去抵抗を示した。さらに部分強化群連続強化群ともに明白な自然的回復を示した。以上の結果から, ICSS事態の消去が, 従来の報酬を用いた反応の消去とは質的に異なると考えるDEUTSCHのdrive decay theoryは, 制限されたもので, 外くの点で修正されなければならないと思われる。
  • 春木 豊, 石井 文一郎
    1965 年 15 巻 2 号 p. 75-83
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    回避条件づけにおける弁別は理論的に通常の手続きではその成立が困難なのではないかと推測されている。一方PAVLOVやLAWRENCEによれば弁別は最初非常に異った刺激の間で行い, 徐々に類似した刺激に近づけて行くと容易であるという事実を報告している。そこで回避条件づけの弁別にもこの事実があてはまるか否か検討したものである。2000cpsの条件刺激に対して条件づけが成立したならば, 一群は通常の弁別手続きのように直ちに弁別刺激の1500cpsを与え, 最初から2000cpsとの間の弁別訓練を受けるが, 他方の群は最初は500cpsの刺激との間の弁別訓練を受け, 250cpsの段階で徐々に1500cpsまで近づけられてゆく。この際3日間づつの期間で段階が変って行く群と5日間づつの期間で段階が変るものとが設けられた。結果の比較は弁別学習の最終段階における2000cpsと1500cpsとの間の弁別が両手続きによってどのように異なるかをみることであるが, 5日間の期間で異なった刺激から徐々に近づけて行く手続きが通常の弁別手続きよりも効果があることが確められた。これはPAVLOVやLAWRENCEの結果と一致する。この現象についての説明について若干の考察をした。
  • 木村 裕
    1965 年 15 巻 2 号 p. 85-94
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    2つの実験において, 単一Y迷路を用いて一方の目標箱を選択するように訓練されたシロネズミは, それぞれ, N群, L群, C群および, N'群, L'群, C'群, の3つずつの群に分けられて, 潜在消去手続, 検査試行を受けた。潜在消去手続きの期間に, N群, N'群は中性箱に, L群, L'群は目標箱に直接にそれぞれ, 4回, 6回ずつ入れられ, C群は home-cageに放置されたが, C'群は6回の反応消去を受けた。それに続く反応消去 (検査試行) の成績から, 従来から言われている潜在消去の効果があることが確められた。また, 潜在消去と反応消去の効果の比較については, 理論的には, 後者の方が大であることが予想されたが, 実証は得られなかった。その他いくつかの問題について考察が成された。
  • 1965 年 15 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
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