動物心理学年報
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9 巻
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  • 平野 俊二
    1959 年 9 巻 p. 1-11
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    概念形成の研究においてFIELDS (1) はネズミが種々の形の三角形に反応しうることを示した。LASHLEY (5) はまた形を弁別する場合に, 各々のネズミが獲得するcueの性質につき詳細な研究結果を報告している。両者の実験において, ネズミは図と地の逆転では弁別習性が失なわれることが注意された。これに対し, サルを用いた実験ではGELLERMANN (3), KLÜVER (4) らの研究において見られるように, 図と地の逆転は弁別習性に影響しないことが見出されている。ネコの場合にも成功することをSMITH (6) は認めている。TOW (7) はハトを用いた形の弁別学習において, 図と地の全くの逆転は習性に障害を来たさないが, 明さのパターンの関係によっては習性が失われることを報告している。本研究では図と地の明さの関係を主として, シロネズミの形の弁別習性に及ぼす刺激パターンの影響をみようと試みた。
  • 竹中 治彦
    1959 年 9 巻 p. 13-22
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    バー押し反応において, 4群のシロネズミを1/1, 1/2, 1/4及び1/8の定率強化手続によって習得訓練した後の消去過程において, “Irrelevant Response” の “Relevant Response” に対する相対的頻度について検討した。
    実験Iにおいては習得過程においてはrelevantなバーのみが呈示されていて, 消去過程に入って始めてirrelevantなバーが挿入される。実験IIにおいては習得過程においては既に両バーは呈示されてはいるが, irrelevantなバーに対する反応は弁別的に消去の手続がとられた。
    結果はirrelevantな反応は消去過程の少くとも或る時期においてrelevantな反応に対して相対的に増大する。又実験Iにおいては先行する習得過程における強化率が低ければ低いだけ, 相対的増大の時期は消去過程の後期においてであることが認められたが, 実験IIでは認められず各群とも消去過程の終りまで増大しつづけた。
    この様な結果に対して, 無解決課題事態におけるfrustrationの理論からの説明が試みられた。
  • 岩原 信九郎, 鷲山 京子, 松原 冷子
    1959 年 9 巻 p. 23-31
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    従来のネズミの自発的交替現象の研究においてはT迷路またはそれに類した装置が用いられ, 両目標間の距離はかなり離れている。両者が比較的接近したものとしてはMOWRER & JONES (9) が2つのバーのあるスキナー箱を用い, 消去事態において選択の変動性がバーの重さ (バー押しの圧力) と逆の関係にあることを見出したものがあるにすぎない。ただし彼等の場合には目標である餌の出る皿はバーの中央に1つ設けられており目標間の選択の変動性という事はない。
    本研究ては目標対象をかなり接近させた場合, 自発的交替現象が従来のT迷路を用いる場合と比べてどのような変化があるかを吟味した。目標対象が接近すれば, 視覚的には弁別が容易でも, 運動感覚的には弁別が困難になり, 更に対象への距離が近づけば運動量も減少するので, HULLの反応禁止説から自発的交替率が減少することが予想される。
  • 衝撃強度勾配差に依る検討
    竹内 照宗, 斎〓 繁
    1959 年 9 巻 p. 33-43
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    T字型迷路条件て選択後, 選択点附近で電撃を与えた場合白ネズミにおける自発的交替現象が如何に影響されるかを検討し次の結果を得た。
    第I実験 (選択後電撃) 16匹, 試行間隔30秒。
    1) 電流強度の増加に伴い交替率は低下する。
    2) NSGとSGを比較すると後者は有意に低い交替率を示した。
    3) 急勾配強電撃群 (30~113μA) よりも緩勾配弱電撃群 (30~47μA) の方が固定化傾向をより多く示した。
    第II実験 (選択点附近電撃) 23匹, 試行間隔10秒。
    1) NSGとB, CSGに有意な差がみられた。
    2) 固定化の傾向は急勾配強電撃 (30~180μA) 群に著しくみられ, 緩勾配弱電撃 (30~60μA) 群はNSGと差がなかった。
    3) 反応固定は運動反応型の固定であることを示した。
    4) VSGに就て高率の交替率が示され, 後突然固定を示した。
    以上の諸結果より, 電撃に回避と促進の2機能を認めることの妥当性が論じられ, その効率は電撃の提示時点, 性質, 量等と共に場面刺激布置及び有機体内部の状態と密接に関係することが示された。
  • 西川 洸一
    1959 年 9 巻 p. 45-52
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    この実験では, CERの獲得あるいは, 不安条件づけに関与する時間的要因を検討した。時間要因の変数はCS開始点とUS開始点のインターバルがそれぞれ1, 4, 7, 10, 20秒であった。実験の結果はインターバルが7秒のとき抑制効果は最大となった。また1秒から7秒までは抑制が急速に増大し, 7秒以上は抑制が徐々に減少した。この結果は, LIBBYの見出した結果と一致するものである。
  • 春木 豊
    1959 年 9 巻 p. 53-61
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    回避反応の消去抵抗は異常に高いといわれ, USが与えられなくなっても反応が長い間持続すると報告されている。この現象については種々な立場から説明されているが, 特にMILLER, MOWRERそれにSOLOMON等の仮説に従うならば, CSUSが対呈示されCSが充分不安 (獲得された動因) を喚起する能力を獲得すると, USが与えられなくなっても回避反応は不安によって動機づけられ, 且つ反応の結果, 不安が低減されて, 反応の強化が行われているためであると説明されている。従って彼等の仮説に立つならば, 回避反応の消去手続きは単にUSを与えなくするというPAVLOVの実験的消去の手続きのみでは不充分て, 不安によって動機づけられている機制の側面についても考察されねばならないと考えられる。一方効果説の立場からするならば, 獲得された反応を消去せしめることは, その反応を行ってももはや効果が伴わないようにすることである。このことが正しいとするならば, 回避反応は不安によって動機づけられ, 反応の結果それが低減されることによって維持されているのであるから, これを消去するためには, 反応してももはや不安の低減が許されないようにしなければならない。そうしたならば反応の消去が速やかになると考えられる。
    回避反応の消去手続きについては, SOLOMON et al. の諸実験があるが, こゝに計画された実験は上述の理論的見地から導かれたものとして, 特にCSと回避反応の消去の関係について考察した。即ち回避反応を動機づけている不安は, 具体的にはCS によって喚起されるのであるから, 上述の理論的予測は不安を喚起するCSが反応によって除去されないならば, それが除去されるものよりも回避反応の消去が速やかに生起するであろうと云うことになる。
    この問題に関しては, MILLER, MOWRER & LAMOREAUX, KAMIN, SIDMAN等の研究があるが, この実験は特に消去段階について上述の予測を検討した。即ち獲得段階においては, 反応すればUSは勿論CSも同様に除去出来るようにして獲得させ, 回避反応が成立したならば, 消去段階ではUSは当然与えられないが, CSの除去については, I群は反応すれば可能, II群は反応しても不可能とした場合, 両群の間て回避反応の消去速度がどのように異ってくるかを検討したものである。
  • 直線走行路T型迷路を中心として (3)
    岸本 末彦, 中西 重美, 西尾 伸一
    1959 年 9 巻 p. 63-71
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    In our previous study mice's behavior in the linear maze was seemed to be the response merely in the stress, and as the momentum in the revolving wheel mice were in the stress for about 7 minutes as the early response and then adaptational response took place. Therefore, by the maze experiment, the response in the stress (stress response) and the adaptational response need to be. distinguished from each other.
    In the present experiment, we used four mazes having choice points two longer than our previous ones and the other two the same with them and studied (1) the stress as the early response and (2) the type of response in the maze. Results gained were as follows:
    1) Time length run both by Ad.-group and by Ach.-group showed no difference in each condition (Tables 1, 2, 4, 7, 10), but it was rather a little longer in the longer maze. This coincides with our previous result gained by the revolving wheel experiment. Here we think that the adaptational response took place a few minutes after the stimulation owing to lengthening of the maze and adding of choice point.
    2) Though directions chosen were various according to the conditions and to the apparatus, in some conditions one definite direction tended to be chosen and this was seemed to be a special response in the stress-period (Tables 5, 8, 11).
    3) Time run, direction chosen and retrace had no coincidence with one another, and time length alone could not be called to be the indicator and direction and other behavior must be taken into accounts.
  • 岸本 末彦, 中西 重美
    1959 年 9 巻 p. 73-84
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    Problem;
    We had previously introduced the physiological adaptational mechanism into behavior-formation process, taking the homeostasis with Adrenalin and Acetylcholin as a principle, and studied the responding process ; and made it clear that the momentum at the early stage had decreased as the stress and in this period the neural regulation had not taken place, oxidizing and reducing substances of SH taking part in.
    In order to make the stress clear, we studied here under what system, (1) oxidizing and reducing substances and (2) Coenzym through G-SH had effect on the stress and the adaptational response.
    Procedure;
    Revolving wheel. Animals: 180 NA2 mice, 1012g. Stimulus for sympathetic nerve: Adrenalin (10-5g., 0.1cc); for parasympathetic: Acetylcholin (10-5g., 0.1cc); oxdizing and reducing substances (Vc, G-SH, Fe2+ : each 10mg/cc 0.1cc Coenzyms (VB1, Taurin, Hypo) : each 10mg/cc 0.1cc.
    The momentum (1) immediately after hypodermic infection, (2) after 10 minutes, (3) after 20 minutes and (4) in the state of conflict by stimulation was recorded by means of the polygraph.
    Results;
    1) Oxidizing and reducing substances of SH and Coenzym, making a system under the stress, took part in the adaptational response. The systems were different from each other under the different conditions.
    2) Oxidizing and reducing substances were affecting in the stress period, with G-SHFe2+Vc, system under the condition of immediately after stimulation, with G-SHVc→FFe2+ under that of after 10 minutes, with VcG-SHFe2+ under 20 minutes one, and with some different system under the conflict-condition (Fig. 1, 2).
    3) As to Coenzyms, VB1 and Hypo had effect immediately after stimulation, and Taurin and Hypo after 10 and 20 minutes (Fig. 3, 4).
    4) The relations between oxidizing and reducing substances and Coenzyms were (Fig. 5) :
    G-SH→Fe2+→Vc
    _??_ _??_ _??_ (immediately after s.)

    VB1, Hypo
    G-SH→Vc→Fe2+
    _??_ _??_ _??_ (after 10 min.)

    Hypo, Taurin
    Vc→G-SH→Fe2+
    _??_ _??_ _??_ (after 20 min.)

    Taurin, Hypo
  • 秋津 宗清
    1959 年 9 巻 p. 85-89
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    ニホンザルのリズミック・リップ・ムーヴメントについては, 2, 3 の研究が報告されている (1, 2, 3, 4) 。筆者は, 栗林動物園のサル島のタイワンザル (5) のリズミック・リップ・ムーヴメントについての観察結果を報告し, 併せてその行動学的意義を考えてみたい。
  • 性行動についての予備的研究
    猪井 隆
    1959 年 9 巻 p. 91-96
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    シロウサギを10匹使用し, 〓〓の2匹ずつをもって5群とし, 第1群には交感神経機能刺激興奮剤を, 第2・3群には副交感神経機能興奮剤を各々注射し, 第4・5群は軽刺激を与えたのみの正常群として, その性行動を特殊実験装置箱を使用して観測を行ったのであるが, その結果は問題に対する予想とほぼ同様の資料を得たのである。実験は5月と7月の2回に行なったが, 自律神経系刺激興奮剤の注射を行った群が正常群に比較して性行動の回数が多く, 殊に副交感神経刺激興奮剤を注射した第 2・3群の交尾回数が多い事を認めたのであったが, さらに条件を種々と変化させて実。験を行い資料を得ることにより, 問題解決を導出したいと考察するものである。
  • 石原 静子, 藤田 統
    1959 年 9 巻 p. 97-101
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    20匹のシロネズミを用い, 床をグリッドにしたT型迷路で回避学習訓練を1日20試行2日間行った。ついで実験群10匹には精神神経安定剤の一種であるdiphenyldiethylamino ethoxycarbomethanol (benactyzine) 0.4mg/kgを, 統制群には同量の生理的食塩水を腹注によって投与し, 30 分後同迷路において20試行の消去を行い, これを5日間くりかえした。その結果, 消去の終には実験群の走行時間は有意に長く, 消去基準に達する動物が多く, それに要する試行数も少なかった。しかし毎日の試行の前5分間回転籠において回転数を記録し活動性を測定したところ, その数も薬品投与によって有意に減少した。さらに, 活動性に関係の少ない固定反応の持続度においては両群の差は見られなかった。そこで結論としては, 消去の促進が果して動因としての恐怖が薬品によって除去されたためであるか, それとも単なる活動性の低下によるものであるかをきめることはできず, 別の実験を待たねばならない。
  • 高橋 たまき
    1959 年 9 巻 p. 103-107
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    対照群に比べAV群は一様に回避傾向のみを増加せしめられ, AP群は一様に接近傾向のみを減少せしめられた。その結果両群の対照群に比較しての訓練及び各汎化刺激に対する反応強度低下の割合が等しくなく, AV 群の勾配が大きかった。そこでnet approachの変化に対して, 回避傾向の変化が接近傾向の変化よりより大きな影響を及ぼすものと考えられた。
  • 情動性と固定とに及ぼす幼児期刺激づけの効果
    下山 剛
    1959 年 9 巻 p. 109-115
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    1) 離乳直後の刺激づけ (電気ショック) はネズミの情動性 (open-fieldにおける排泄) を高める傾向があった。
    2) ベルによい刺激づけは, 発作を起した動物においては著しく情動性を高めたが, 発作を起さなかった動物についてはほとんど影響を及ぼさなかった。
    3) 離乳後の体重増加は雄の方が大であり, 発作による体重増加の促進効果は雄において有意に認められ, 雌においてその傾向が示された。
    4) 不解決性事態で性じた固定と刺激づけあるいは発作との関係は示されなかったが, 吟味すべき問題が残されている。
    5) 固定と強制刺激との間に連関はなく, 固定の強迫性を示す結果が得られた。
  • 小林 重雄
    1959 年 9 巻 p. 117-120
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    1) 満腹の状態でためこみ量は〓で大きな変化を示さないが, 〓は上昇する傾向がある。
    2) 飢餓期では, 初期にはためこみ量は, 同レベル又は上昇を示し, 後期には, いちぢるしい低下を示した。
    3) これらの事は, 食餌活動とためこみ速度の関係から起る。
    4) 性差も, 本実験で認められた。
  • 羽生 隆英, 中西 重美
    1959 年 9 巻 p. 121-125
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    Adrenalin及びAcetylcholinを先行刺激, 後続刺激としてhomeostasisから検討した結果
    1) 一般に先行刺激が後続刺激よりも強度な条件にあっては, 初期において急激な行動の減少がみられ先行刺激よりも後続刺激の方が強度な場合はその逆関係にある。
    2) 初期における急激な行動の減少傾向は, Rcdox-systemの助酵素的役割をもつVB1, Hypo, Taurin の補充によっても現われ, これは単一刺激よりも大きな負荷刺激stressarとなっている故であろう。
  • 1959 年 9 巻 p. 127-133
    発行日: 1959/04/28
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
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