動物心理学年報
Online ISSN : 1883-6283
Print ISSN : 0003-5130
ISSN-L : 0003-5130
19 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 秋山 幹男
    1969 年19 巻1 号 p. 1-16
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 往復箱での回避反応に対し, 先行経験としての消去法がいかなる効果をもたらすかをみることと, 二過程説の見地より消去過程を分析することである。
    拘留とCS固定という消去操作が, 条件づけ後消去にはいる前におこなわれ, 拘留法は, 障壁によってクロス反応 (CR) を妨害し, CS固定法は, 自由にクロス反応をさせるが5秒以内に反応してもCSは5秒間固定された。これらの消去法に対する統制群として, 通常の実験的消去手続きを受ける群を設けた。
    結果として, 2種の消去法は, 統制群と比べて操作後の消去過程において有意な差をみせなかった。しかし, CS固定群が全員消去の促進をみせたのに対し, 他の2群には個体差や変動が生じた。ついで再条件づけをうけた後の推移では, 拘留群の大部分が高い消去抵抗を示した。その他の群は個体差がめだった。特記すべき現象として, 再消去過程に CS固定群のネズミが2日間の無CR生起から100%の自発回復をするに至ったことである。前回 (2) に引き続き, CS提示に対してCRのなかった試行の行動分析の改善をおこない, CR近似反応や固定位置での反応・静止反応が全期間に一貫して生起することを再確認した。
    これらの事より, 回避反応の消去は, ある数種の反応の相対的な力関係に立脚して遂行されるものであり, 一度引き起された不安はいかなる操作をもちいても完全には消失しえないと考えた。そこである状況下での不安は, 経験として何がしかは動物のもつ特性不安にプラスされるという推論から, SOLOMONが外傷性の場合のみに適用した「不安の保持」「部分的不可逆性の原理」を回避学習全般の消去過程に広義化させた。
    消去は新しい学習をなしうる余裕をもたらすことであるとする定義より, 適切な learning setを形成させ, それを不安を抑える程度までに高めていけばよいのであり, それができにくいものには適当な消去法によって引き出してやればよいのである。この意味からすると, 拘留法よりCS固定法の方がよいといえる。
  • 佐々木 正伸
    1969 年19 巻1 号 p. 17-28
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    弁別逆転学習の成分として存在し得ると考えられる2種の過程, すなわち, 原学習での負刺激に対する反応の強化, および原学習での正刺激に対する反応の消去の各々が, 実際に逆転学習の成立にどのように関与しているかを知ることがこの実験の目的であった。このため, 原学習と逆転学習の間に特別な訓練を挿入して, それが逆転学習におよぼす影響をみることが考えられた。このような逆転前訓練として2種のものが設けられた。第1は, 原学習での負刺激を単独に被験体に提示し, それに対する反応を強化することを一定回数おこなうこと, すなわちN-Pの訓練であり, 第2は, 原学習での正刺激を単独に提示し, それに対する反応を消去することを一定の回数だけおこなうこと, すなわちP-Nの訓練であった。対照条件として, 何の訓練も挿入されない場合が設けられた。実験Iでは黒白弁別学習がおこなわれた。すべての被験体がY字型装置で黒と白の弁別学習を一定の規準に達するまでおこなった。その後, それらは12匹ずつの3群に分けられ, 群により異なる逆転前訓練をあたえられた後, 逆転学習に移った。この結果, P-N群では対照群よりも逆転学習の成績がよかったが, N-P群では対照群との間にほとんど相違がなかった。このことから, シロネズミの黒白弁別学習ではP-Nの過程が主要な役割りをはたしていると考えられた。実験IIでは位置弁別学習がおこなわれた。すべてのネズミがT迷路で左右の位置の弁別学習を1日10試行ずつ3日間おこなった。その後それらは11匹ずつの3群に分けられ, 群により異なる逆転前訓練を10試行あたえられた後, 5日間の逆転訓練を受けた。その結果, P-N群では対照群よりも学習完成がはやかったが, N-P群では逆に対照群よりおそかった。このことから, 位置弁別の場合でも逆転学習で主要な役割りをはたしているのはP-Nの過程であることがわかった。
  • 中村 正純
    1969 年19 巻1 号 p. 29-37
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    4羽×15群=60羽のデンショバトを使用し, ハト用スキナー箱で, 若干の暗間隔を挿入した単一刺激 (単色光) で条件づけ, 消去時において一対の色光刺激の継時提示でテストされた時の反応数を測度として, 色光刺激般化を吟味した。
    その結果は,
    1. テスト期における継時一対比較法的方法を用いても般化勾配は検証されうる。
    2. 反応数は, 原刺激及び原刺激により近い刺激において多くなされる。
    3. テスト期の総反応数に関して差はみられない。
    4. 般化勾配は単に物理的距離の関数ではない。
    5. 510nm-540nmに変曲がみられ, 一種の範疇化をしめした。
    これらの結果から, 一対比較法的方法がデンショバトの色光刺激般化の研究において有効を方法となりうるといえよう。
  • 藤田 統, 大井 修三
    1969 年19 巻1 号 p. 39-47
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
    脳のメカニズムを比較心理学的に検討するためには, サカナは興味ある対象である。サカナの脳には, まだ皮質が発達しておらず, その前脳 (forebrain) には, 高等脊椎動物でいえば辺縁系にあたるものの前段階が含まれているからである。最近, 藤田 (4) は比較心理学的見地から動物の学習を展望したが, その結果, サカナは脳の進化と学習の関係を研究するためにも, 重要な対象であることが分った。
    サカナの前脳除去が行動に及ぼす影響については, これまでにいくつかのことが明らかにされている。まず, 泳ぎや食餌のような日常行動は影響されず (6, 7), 明るさの弁別と白黒への般化 (2) や単純な迷路学習といった簡単な学習も影響されない。これに対して, 攻撃行動 (7), initiative, 迷路学習への社会的促進 (6) といった社会的性質を帯びた行動は阻害され, また色の弁別学習 (2), 条件回避反応 (1, 5), それに伴って出現する試行間反応 (ITR) といった学習行動は著しく損われることが報告されている。
    そこで本実験では, キンギョの条件回避反応の把持と再学習に, 前脳除去がいかに影響するかを検討し, 脳と学習の関係に一つの知見を加えようとした。その結果, 試行間隔が重要な要因として浮び上ってきたので, 実験皿においては, 特に試行間隔の要因を検討した。
    Exp. I : キンギョを被験体として, 光をCS, 電撃をUS, 試行間隔60秒で回避反応を条件づけたところ, 250試行の訓練で, 被験体の70%が学習規準に達した。試行間反応は学習の進行とともに増加し, 特に次の試行の直前に生ずるようになった。学習の完成したものを前脳除去群 (F群) と偽手術群 (S群) に分け, 前者では前脳を除去した。この結果, 回避反応はほぼ完全に消失し, 再学習は形成されなかった。また, 手術前後の活動量に群差がなかったことからして, 前脳除去は運動機能を阻害したのではなく, 学習機能に影響したことが分った。
    Exp. II : Exp. Iの結果, キンギョが試行間隔を手がかりとして回避反応を習得したことが考えられたので, 試行間隔をランダムにして実験を反復した。その結果, 学習を完成したものは30%に過ぎなかった。Exp. Iと比べると, これは有意な減少である。試行間反応はExp. Iより多く, 分布が拡がる。前脳除去によって, Exp. Iと同様に, 回避反応とITRは完全に消失し, 再学習もできなくなった。
  • 1969 年19 巻1 号 p. 48-50
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
  • 1969 年19 巻1 号 p. 51-61
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/10/14
    ジャーナル フリー
feedback
Top