ジオシンセティックス論文集
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ISSN-L : 1344-6193
21 巻
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  • 三木 博史
    2006 年 21 巻 p. 1-4
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
  • 岡村 昭彦, 西形 達明, 佐伯 博之
    2006 年 21 巻 p. 5-10
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    袋詰脱水処理工法は高含水比の汚泥等を自重圧密で脱水し盛土等に利用する工法である.この工法で使用されるジオテキスタイルチューブから排出される水は短時間で清澄となることから,ダイオキシン類や鉛など土粒子に強く吸着している環境汚染物質をチューブ内に封じ込めることが出来る.ジオテキスタイルチューブは透水性があるため袋詰作業の直後に排出される初期濁りをなくすことはできないが,極力少ないほうが周辺環境にはよいと考えられる.本研究は種々のジオテキスタイルを組み合わせて,初期濁りを少なくする方法を検討した.またジオテキスタイルチューブの内側に形成される泥膜の形成メカニズムについても検討したので報告する.
  • 辻 慎一朗, 山田 幹雄, 吉田 眞輝, 横田 善弘
    2006 年 21 巻 p. 11-16
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    舗装の性能設計化に伴う舗装の剛性評価を目的として,小型FWD試験で計測される衝撃荷重と計測変位の時刻歴から,舗装の弾性係数を推定する手法を開発した.線形弾性体を仮定した動的有限要素解析により,小型FWD試験結果をほぼ正確に表現できることを確認した.小型FWD試験で衝撃荷重が影響する地盤の深さや,計測変位に対する弾性係数の感度を検討した.新しい舗装構成材料として,ジオテキスタイル製の袋にエアミルクを注入した「ジオテキスタイル舗装体」を開発し,埋立地にジオテキスタイル舗装体を設置した.小型FWD試験を行って弾性係数を推定した結果,ジオテキスタイル舗装体は,数倍の厚さの構築路床に比べて高い剛性を有することを確認した.
  • 堀江 征信, 大森 英治, 金子 賢治, 広瀬 貴, 安達 英志, 熊谷 浩二
    2006 年 21 巻 p. 17-22
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本研究で扱う工法は,コンクリート二次製品である可変側溝に対して,その側壁部に専用金具を介してジオセルを取り付けることで土留め機能を付加する新しい併用工法である.コンクリート製品とジオセルを併用することにより施工性向上とコスト縮減に加えジオセル内に発生土を再利用することで残土処理量を低減することが可能である.本論文においては,提案する併用工法の確立と普及を目指して,その最適な構造と接合方法に関する検討を行うために,遠心模型実験とコンクリート製品とジオセルとの接続部強度に関する引張試験を行う.それらの試験結果の検討・考察を示すと共に,その基礎的考え方や特徴について報告する.
  • 大森 英治, 金子 賢治, 堀江 征信, 島田 優, 熊谷 浩二
    2006 年 21 巻 p. 23-30
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年,高密度ポリエチレン樹脂製のハニカム状セル枠内に充填材を入れ積み上げた擁壁構造により斜面の安定化を図るジオセル補強土壁工法が開発され,施工実績も増加してきている.充填材として現地発生土を用いることで,コスト削減および植生を壊さない斜面緑化が期待できる.本論文ではジオセルによる斜面補強工法における現地発生土の充填材としての使用可能性の検討を主目的として,実構造物スケールで検討する.豪雪地帯で施工されたいくつかのジオセル補強斜面現場の越冬後の変状調査の結果について報告すると共に,充填材として最も扱いにくいローム土を用いて作成した試験盛土の施工と施工後600日に渡る変形計測結果について述べる.
  • 矢澤 一樹, 大森 英治, 金子 賢治, 堀江 征信, 熊谷 浩二
    2006 年 21 巻 p. 31-36
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    著者らが目指している発生土を充填材として有効利用したジオセル補強土工法においては,種々の地盤材料を充填材として用いる可能性があるが,セル構造体の強度・変形特性は充填材の種類により大きく変化する.したがって,本工法における変形や強度の予測,設計法の確立のためには充填材料の力学特性とそれを用いたセル構造体の力学特性の相関関係について詳細に検討しておく必要がある.本研究では,砂質系地盤材料を対象として三軸圧縮試験を行いその力学特性を把握すると共に,それらを充填したセル構造体の圧縮特性やせん断抵抗特性などに関する基礎的な実験を行い考察する.なお,ジオセル補強土工法の充填材として産業廃棄物等の有効利用も念頭においており,フェロニッケルスラグを充填材として用いた場合についても同様の検討を行う.
  • 倉田 正博, 柴田 健一, 峯岸 邦夫
    2006 年 21 巻 p. 37-40
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本研究では,各種軽量土を筒状の織物(以下ジャケット)に充填した場合の基本特性を把握することを目的に,各種軽量土の土質特性の把握および,軽量土を充填したジャケットの特性試験(曲げおよび圧縮試験)を計画している.前回はその1として,エアミルクを充填したジャケットについて試験を実施した.その結果,エアミルク単体を充填した場合,ジャケットによる補強効果が小さかったが,エアミルクとボルトランドセメントの複合型ではジャケットによる補強効果が確認できた.今回は発泡廃ガラスに関東ロームおよび珪砂を混合したものをジャケットに充填し,試験を実施した.
  • 後藤 順一, 三浦 一男, 柴田 健一, 秉崎 和孝, 河合 徹夫, 北本 幸義, 吉田 輝
    2006 年 21 巻 p. 41-44
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    パレスシート工法は,軟弱地盤上においてシートを格子状に組み合わせたジャケットに固定し,ジャケット内に流動化固化剤を注入し補強枠を形成する工法で,固化後の補強枠が有する曲げ抵抗により、重機が走行した場合の覆土圧の局所的な偏りを防ぐものである.
    今回,地震に伴うがけ崩れで通行不可能になった道路の緊急迂回路や資材運搬用の仮設道路を想定し,既存の休耕田上にパレスシート工法を適用する実証実験を行った.休耕田の軟弱な地盤上にパレスシートを敷設し重量120kNの重機を反復走行させた結果,安定走行できることが確認でき,軟弱地盤上に仮設道路を施工する場合にパレスシート工法の有効性が高いことが実証された.
  • 柴 錦春, 三浦 哲彦, D. T. BERGADO
    2006 年 21 巻 p. 45-52
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    キャップドレーン(CPVD)と真空圧を併用して軟弱地盤を改良する方法を説明した。この方法は表層土をシール層として利用するため、通常の真空圧密のように地表面にシートを敷く必要がない。また地表に厚い高透水・透気性層が存在する場合でもキャップを深く挿入することで対応できるという利点がある。さらに、真空圧と盛土荷重と組み合わせた場合、シートが敗れる恐れがないので、通常の方法より有利である。本報告では、CPVDと真空圧と併用して軟弱な埋立地を改良した事例を解析検討し、この方法の有効性を示した。この現場は真空圧密を開始した時点で自重圧密はまだ終了していなかったが、このような地盤においては真空圧による地盤の変形状態は平面ひずみ条件での等方変形に近くなることを示した。
  • 仮屋崎 圭司, 米澤 豊司, 丸山 修, 小島 謙一, 松丸 貴樹
    2006 年 21 巻 p. 53-60
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    九州新幹線熊本車両基地は極めて軟弱な粘性土が厚く堆積する地盤上に構築される計画であり,工期や残留沈下量等の関係から圧密促進が必要とされている.また,本現場は新幹線の本線および鹿児島本線が近接しており周辺構造物への影響も懸念され,圧密促進工法の設定において重要なファクターとなっている.圧密促進としてはプレロード工法が一般的であるが,当現場のような極めて軟弱な地盤では周辺への変状が想定される.比較的周辺への影響が小さい工法としては真空圧密工法がある.そこで,2工法の周辺への影響を事前に評価するために試験盛土を構築し,当該地盤における双方の工法の効果について検討を実施した.本論文ではこの結果について示す.
  • 西原 聡, 小島 謙一, 舘山 勝, 橋本 和佳
    2006 年 21 巻 p. 61-66
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    地下水が地表面付近に分布するN値0の超軟弱な腐植土地盤上に流域下水浄化センターを建設するにあたって,施設の下部の地盤強化及び掘削工事が近接する鉄道盛土に与える影響が懸念された.事前の評価によりプレロード工法の適用は周辺地盤への影響が大きいと予測されたことから,比較的影響が小さいと判断される真空圧密工法の検討を行い採用した.施工中は,変位及び地下水の連続観測を行い,鉄道に影響を与えることなく施工を終了している.本論文では,真空圧密施工中の観測結果をもとに有限要素法によるフィードバック解析を行い,解析条件,解析パラメータの妥当性を評価するとともに,プレロード工法との比較により真空圧密工法の効果について示した.
  • 米澤 豊司, 松丸 貴樹, 小島 謙一, 仮屋崎 圭司, 丸山 修
    2006 年 21 巻 p. 67-72
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    九州新幹線熊本車両基地は20m以上の軟弱粘性土地盤が堆積する地区において施工が予定されている.圧密促進工法としては周辺への影響を少なくするために真空圧密工法の適用が検討されている.当現場では真空圧密工法を用いた試験盛土を施工しており,当該地盤におけるその効果や影響度が評価されている.本検討ではこの結果を基に,フィードバック解析を実施し,真空圧密工法における解析モデルの検討および真空圧密工法適用時における周辺鉄道構造物に与える影響について評価した.
  • 吉田 浩一, 新 正行, 辻 慎一朗, 吉田 幸弘, 八嶋 厚
    2006 年 21 巻 p. 73-76
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオグリッドを用いた補強土壁の施工中および施工後における変状の有無や安定性の評価は,ジオグリッドのひずみを計測することにより実施されることが多い.ジオグリッドのひずみ計測には,ひずみゲージが一般的に使用されているが,耐久性,計測点の連続性,設置や配線の簡易性に乏しい.
    ひずみ計測の新しい手法として光ファイバーによる計測を試みた.本論文では,ジオグリッドに光ファイバーを挿入した「光ファイバーセンサー機能付ジオグリッド」を実際の補強土壁内に敷設し,ジオグリッドに生じるひずみの計測結果から,補強土壁の安定性を評価した.ここではその結果を報告する.
  • 河村 隆, 梅崎 健夫
    2006 年 21 巻 p. 77-82
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    補強土構造物における補強材の引抜きに伴う鉛直応力増加の分布を予測するために,アルミ棒積層体を用いた引抜き試験の画像解析から得られた補強材の引抜きに伴う鉛直応力分布の層厚が大きい場合への拡張について検討を行った.まず,肉厚円筒の内壁の応力が増加した際の周辺の応力状態を評価できる空洞膨張論の弾性解を適用するための手法を示した.そして,引抜き試験の結果を拡張し,補強土構造物における鉛直応力の分布を予測した.その結果,引抜き試験結果と同様に,鉛直応力増分は補強材近傍で最大となり,補強材から離れるほど小さくなる曲線分布となることを示した.さらに,実務における敷設間隔を考慮して,補強材間の平均的な応力増分についても考察した.
  • 梅崎 健夫, 河村 隆
    2006 年 21 巻 p. 83-88
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    著者らは,補強材の引抜きに伴って鉛直応力が増加すること示している.本文では,引抜きに伴うすべり面上の垂直応力増加に起因する補強メカニズムを再提案した.そして,提案メカニズムを検証するために,アルミ棒積層体を用いて,補強材を引抜きながら二軸圧縮を行う二軸圧縮・引抜き試験を実施した.その結果,引抜きが生じる場合におけるせん断強度の増分を定量的に評価した.二軸圧縮・引抜き試験における補強材とアルミ棒積層体の間の相対変位は,引抜き試験における引抜き力最大時の引抜き変位以上であり,無補強供試体よりもせん断強度が増加することを示した.さらに,相対変位と引抜き試験のすべり面上の垂直応力増加を評価する式に基づいて,せん断強度の増加を定量評価した.
  • 篠田 昌弘, 原 健二, 桝尾 孝之, 古関 潤一
    2006 年 21 巻 p. 89-96
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    補強盛土の性能を評価する手法の一つに信頼性解析がある.信頼性解析によれば,盛土材や補強材のばらつきを考慮して構造物の信頼性を評価することができる.本研究では,補強材の統計的性質を明らかにすると共に,多数の補強材引張り試験結果から確率分布を同定した後,単純な性能関数を対象に開発された1次ガウス近似法を用いて,補強盛土の信頼性解析を実施した.解析の結果,補強材破断強度の変動係数が小さければ,補強材破断強度を一定値として扱えること,補強盛土の場合では,補強材破断強度の確率分布の違いが限界状態超過確率に与える影響が小さいこと,補強土擁壁の場合では,補強材破断強度の変動係数が大きい場合,補強材破断強度の確率分布の違いが限界状態超過確率に与える影響が大きいことが分かった.
  • 澤田 豊, 河端 俊典, 毛利 栄征, 内田 一徳
    2006 年 21 巻 p. 97-104
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    農業用パイプラインなどの圧力管曲部には内圧と曲がり角度に応じて不平衡力が作用する.このスラスト力に対して,曲管にジオグリッドならびにアンカープレートを連結した耐震性に優れたスラスト対策工法を考案し,模型実験および数値解析から,その有効性ならびに抵抗メカニズムを明らかにしてきた.本論では,これらのメカニズムに基づいた増加抵抗力-変位関係式を提案し,そのパラメータである最大抵抗力と最大抵抗力発生変位の決定手法に関して検討を行った.さらに,提案された増加抵抗力-変位関係で模型実験をシミュレーションし,提案算定式の精度の検証を行った.その結果,提案式が高い精度を有していることが明らかになった.
  • 河端 俊典, 澤田 豊, 大串 賢, 戸継 昭人, 弘中 淳市, 毛利 栄征, 内田 一徳
    2006 年 21 巻 p. 105-110
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    圧力管曲部に作用するスラスト力に対して,一般的にコンクリートブロックが打設される.著者らは,耐震性を考慮し,ジオグリッドを用いた軽量なスラスト防護工法を考案した.また,その有効性を模型実験より確認した.本研究では,8.4m×5.4m×4mの大型土槽内で,口径300mmの90度曲管を含む,試験管路を作製し,実規模埋設実験を実施した.実験結果から当工法では,スラスト力に対する水平抵抗力の増加が見られた.また,ジオグリッドの剛性および長さを変えた実験から,それらの要素が増加抵抗力に影響を及ぼすことが確認された.
  • 横田 善弘, 荒井 克彦, 辻 慎一朗
    2006 年 21 巻 p. 111-118
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    1995年に施工された最大高さ約20m,基準のり面勾配が5分である急勾配補強盛土の11年経過後の安定性について報告する.当時の設計は,試行くさび法などの土圧論や円弧すべりを用いたジオテキスタイルマニュアルの設計方法が用いられ,すべり面の形状や安全率の違いにより,補強材の配置や経済性が異なった.この盛土工事では,土圧論を用いた設計方法とジオテキスタイルマニュアルの設計方法を併用し,盛土材の土質定数の設定に工夫を行うことで経済的な配置を決定している.本論文では,今回用いた有限要素解析の信頼性を動態観測の結果を比較して確認するとともに,当盛土の長期安定性について検証を行った.また,有限要素解析結果と円弧すべりを用いた極限平衡法の結果の比較により盛土材の土質定数の設定について検証するとともに,今後の補強盛土の設計についての提案を行う.
  • 杉本 敏彦, 船田 博, 早崎 勉
    2006 年 21 巻 p. 119-124
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    静岡空港本体造成工事は土工量2,600万m3の大規模な山岳空港の建設工事である。空港の主な緒元としては、管理面積約500ha,(周辺部を含む)、滑走路2,500m(幅60m)で、平成21年3月の開港を予定している。本報告で述べる補強土工法による高盛土は、滑走路の端部に位置する沢部を盛立てるものであるが、この沢部付近には貴重種が生息しており、これら貴重種の保護の立場から、盛土の範囲を最小限とする急勾配の高盛土を積極的に取り入れた。そのため、施工に際しては各種の計測機器による動態観測を併用することにより行ったことから、本報告では施工の概要を述べるとともに、施工中に観測した盛土の挙動について紹介する。
  • ハザリカ ヘマンタ, 菅野 高弘, 菊池 喜昭, 安原 一哉, 村上 哲, 武市 秀雄, カルモカル アショカ クマル, 岸田 隆夫, 御手 ...
    2006 年 21 巻 p. 125-130
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    軽量で圧縮性および透水性に優れたタイヤチップを構造物の背面に緩衝材およびドレーン材として使用することによって,構造物に柔軟性を与え、抗土圧構造物に作用する動的荷重の軽減工法を本研究で開発した.本研究では,圧縮性を有するタイヤチップクッションを用いたサンドイッチ型裏込め構造の地震時の性能に関して大型水中振動台を用いてケーソン式岸壁の振動実験を行った。実験では様々な地震波を用いて相互作用システムの耐震評価の検討を行った。
    実験結果から,本研究で開発した耐震対策法を有するケーソン式岸壁に対して地震時の荷重を軽減できることが明らかになった。また,ケーソンの残留変位は耐震対策のない構造物に比べて小さくなる事が実証された.本研究成果を用いることによって,社会基盤をより安全かつ経済的に設計・施工するだけではなく,廃タイヤのリサイクルはサーマルからマテリアルへの転換に対しても効果があることから,より良い環境づくりに貢献するという利点もある。従って、本工法は高い安全性と環境負荷縮減効果の両面を有するコストパフォーマンスが高いことから,構造物の耐震補強工法として有効な工法であると言える。
  • 安福 規之, 落合 英俊, 大嶺 聖, 小林 泰三
    2006 年 21 巻 p. 131-138
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    廃棄物の排出量は未だ年々増加傾向にある中、身近にある廃棄物として、減容化された廃棄発泡スチロールに着目する。地中埋設物に作用する土圧の軽減方法として、本研究では、埋設物直上に圧縮性の良い材料を敷設することによって、圧縮性を主導的に調整し、埋設物直上の応力分散を図る方法を考えた。ここでは、廃棄発泡スチロール減容リサイクル材を一般の地盤材料と混合し、それを袋に詰めた後、地中構造物の直上に設置し、地中埋設物に作用する土圧の軽減材料としての効果を実験と簡単な解析によって検討した。本袋詰め材料の特色は、廃棄発泡スチロール減容リサイクル材と砂質土との混合割合によって圧縮性や透水性を調整できる点にある。模型実験の結果として、リサイクル材をうまく活用し、地中埋設物直上の埋戻し土の圧縮性を適切に調整することによって、鉛直土圧の軽減効果を的確にコントロールできる可能性を示した。また、圧縮性を取り入れた一般性のある鉛直土圧の評価法を紹介し、その適用性について考察した。
  • 大嶺 聖, 落合 英俊, 安福 規之, 高山 英作
    2006 年 21 巻 p. 139-144
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    気泡混合軽量土は,混合する気泡量や固化材の添加量を調整することによって密度と強度を調整することができるが,破壊後は強度の低下が生じ,脆性的な材料となる。本研究では,各種短繊維材(PET短繊維補強材,ナイロン糸,古紙)を添加した気泡混合軽量土の強度特性の改善効果を実験的に明らかにする。短繊維の混合によって気泡混合軽量土は,三軸圧縮条件における粘り強さが向上し,さらに曲げ強度も増加することが示された。また,短繊維材としてリサイクル材を想定した古紙なども有効であることが確認された。さらに,気泡軽量混合土の原材料として,建設発生土を有効利用し,新材の使用を抑えることで,環境コストを縮減できることが示された。
  • 松島 健一, 毛利 栄征, 龍岡 文夫, 山崎 真司, Umair AQIL
    2006 年 21 巻 p. 145-152
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    土嚢積層体は高い圧縮強度を有しているが,水平に積層した場合は水平方向のせん断に対する強度は低く,土構造物に適用する場合は水平面での滑動破壊が問題となる.本研究では水平方向の滑動抵抗性を高めるため,城壁や石垣のように背面側に傾斜させて土嚢を積層する方法を考案し,積層法がせん断特性に与える影響を検討した.豊浦砂と再生砕石の2種類の中詰め材を用いて積層角度0度および18度で3段積みの土嚢供試体を作成し,異なる鉛直応力(30kPa,150kPa,300kPa)で土嚢積層体の水平せん断試験を実施した.その結果,土嚢を傾斜して積層することにより,大幅に水平せん断強度が増加した.拘束圧が低い場合は土嚢材間のすべりが卓越し,拘束圧が高くかつ傾斜して積層した場合は土嚢自体のせん断変形が卓越することが分かった.さらに,中詰め材は豊浦砂よりも再生砕石を用いた方が土嚢自体のせん断変形に対する剛性が高くなることが明らかとなった.
  • 福武 毅芳, 堀内 澄夫
    2006 年 21 巻 p. 153-158
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    古タイヤを原型のまま活用すれば安価でかつフープテンションに強い特長が活かせるが,そうした再利用はほとんど行われていない.ここでは古タイヤを原型に近い形で活用して,タイヤの中空部に粒状体を充填した積層状の改良体を作製し,耐圧実験などを実施してその力学特性を検証した.使用したタイヤは乗用車タイヤとトラックタイヤである.実験の結果,積層体は十分な強度と優れた変形性能を有することが分かった.また積層改良体自体が単独として構造体としても利用できることを示した.地盤や盛土築造法においては,施工が早く簡易に実施できる工法を提案した.本工法は大量の古タイヤが再利用でき,環境保全にも大きく寄与する.
  • 野尻 峰広, 相澤 宏幸, 平川 大貴, 錦織 大樹, 笹田 泰雄, 龍岡 文夫, 渡辺 健治, 舘山 勝
    2006 年 21 巻 p. 159-166
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    過去の大地震では、無補強盛土とRC橋台からなる従来型の橋梁(重力式橋台橋梁)が多数崩壊している。高い耐震性とともに高い経済性を実現できる新しい橋梁構造を開発するために、重力式橋台橋梁、Integral bridge(一体橋梁)、ジオシンセティックス補強土(GRS)擁壁橋梁、新形式一体GRS橋梁の4種類の構造形式の橋梁の模型振動台実験を行い、それらの動的崩壊メカニズムと安定性を検討した。重力式橋台橋梁では固定支承側の橋台の不安定性、一体橋梁では盛土上部の受働破壊と盛土下部の主働崩壊のための壁面工の過大な回転変位、GRS橋台橋梁では独立した固定支承側の小橋台の不安定等の諸問題が明らかとなった。一体橋梁とGRS擁壁を組み合わせた新形式一体GRS橋梁では、この二つの形式の橋梁システムの長所を活かし欠点を解消できることが分かった。
  • 平川 大貴, 野尻 峰広, 相澤 宏幸, 錦織 大樹, 笹田 泰雄, 龍岡 文夫, 渡辺 健治, 舘山 勝
    2006 年 21 巻 p. 167-174
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    一対のジオシンセティックス補強土擁壁の剛な一体壁面工を橋桁と一体化させた新形式橋梁を開発し、壁面工と補強材の定着強度がその耐震性に与える影響を重力場での模型振動台実験によって検討した。補強材はリン青銅板を用いて格子状として表面には豊浦砂を接着させて表面を粗にした。壁面工の背面での補強材の定着強度を増加させると破壊時水平加速度は著しく増加して、新形式橋梁の耐震性は盛土下部の補強材の定着強度に強く依存した。定着強度がある一定以上大きくなると、盛土下部の補強材が盛土内から引き抜けて模型は破壊した。新形式橋梁の高耐震化には、補強材の引張り強度が十分に大きいだけではなく、壁面工との定着強度を確保するとともに、補強材の表面粗度・形状を改良して引抜け抵抗力を確保する必要があることが分かった。
  • 相澤 宏幸, 野尻 峰広, 平川 大貴, 錦織 大樹, 笹田 泰雄, 龍岡 文夫, 渡辺 健治, 舘山 勝
    2006 年 21 巻 p. 175-182
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    無補強盛土と橋桁を支持する一対のRC橋台からなる従来形式の橋梁は、支承部の維持管理と盛土沈下に加えて、レベルII地震動に対して設計すると過大な構造体となる問題がある。剛な一体壁面工を持つジオシンセティックス補強盛土を橋台とすると、RC壁体と基礎は簡素化できるが橋桁長の制限や支承部の維持管理、小橋台・橋桁系の耐震性に問題が残る。RCの橋台と橋桁が一体化した構造は、構造が簡素化されて支承部がなくなるが、気温の季節変動に伴う橋桁の伸縮による盛土沈下・土圧増加と盛土の耐震性に問題が残る。ジオシンセティックス補強盛土と一体橋梁を組み合わせた新形式橋梁を提案した。従来形式と構造・工程を比較し、新形式では従来形式での諸問題が解消でき特長を生かせることを示した。これら4形式の橋梁モデルを用いて振動台実験を行い、耐震性能と破壊モードを検討し、新形式の橋梁が最も耐震性に優れていることを示した。
  • 竜田 尚希, 板垣 聡, 間 昭徳, 佐々木 哲也, 杉田 秀樹, 中根 淳
    2006 年 21 巻 p. 183-186
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    現在,ジオテキスタイル補強土壁工法の地震時の設計は,「ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル(改訂版)平成12年2月」に基づいて行われている.補強土壁は,これまで幾度かの地震災害を経てきたが,土構造物としての機能は維持しており高い安定性を有することが明らかとなってきている.しかし,ジオテキスタイル補強土壁の地震時挙動については未解明な点もあり,実際の挙動に即した合理的な設計法が望まれている.本研究は,遠心振動台実験による実物大レベルでの補強土壁について,全体的な変形挙動や土圧,加速度などの土中での変動を把握するものである.
  • 松丸 貴樹, 石塚 真記子, 舘山 勝, 小島 謙一, 渡辺 健治, 篠田 昌弘
    2006 年 21 巻 p. 187-194
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    2004年新潟県中越地震は,多くの盛土構造物に被害をもたらした.この地震では,台風に伴う降雨により盛土の強度低下が指摘されているため,地震と降雨の影響を考慮した被害の評価を行った.本報告では,解析による評価を行うため,被災盛土および復旧に用いた盛土材料による各種室内試験,浸透流と地震時動的応答を考慮した解析手法,ならびに浸透流解析について報告する.対象盛土はJR上越線220km300m付近および221km000m付近の鉄道盛土であり,いずれの盛土も地震によって大崩壊し,補強土壁により復旧がなされた.室内試験については,被災盛土および復旧盛土の盛土材料について,物理試験,透水試験および三軸圧縮試験を実施し,透水性や強度変形特牲を求めた.解析は,浸透流解析・動的応答解析・Newmark法による変形解析から成る。浸透流解析により,被災盛土の地震直前における含水状態を把握するとともに,復旧盛土の降雨に対する排水性の検討を行った.
  • 石塚 真記子, 松丸 貴樹, 渡辺 健治, 小島 謙一, 舘山 勝, 篠田 昌弘
    2006 年 21 巻 p. 195-202
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    新潟県中越地震は,鉄道の土構造物に多くの被害をもたらした.この災害は,地震前の台風に伴う降雨により地盤が緩んだ可能性が指摘されているため,地震被害と降雨被害の関連性の評価を行った.動的解析を適用して地震による盛土の応答加速度を求め,浸透流解析を用いて盛土内部の水分分布を推定した.これらを個別に実施した後,応答加速度と飽和度分布を考慮した残留変形解析を行った.本報告では,動的解析から得られた応答加速度を中心に報告する.対象断面は,上越線220km300m付近,221km000m付近の鉄道盛土である.被災時と復旧後の応答加速度を比較したところ,補強土擁壁による復旧の妥当性およびその耐力が示された.
  • 堀井 克己, 舘山 勝, 小島 謙一, 渡辺 健治, 篠田 昌弘, 石塚 真記子
    2006 年 21 巻 p. 203-210
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本検討は,新潟県中越地震で被災した丘陵地斜面の谷部に構築された鉄道盛上,および,被災後に補強土擁壁で強化復旧された対策盛土を対象にして,被災時の状況把握と,補強土擁壁により復旧したことによる耐震性向上効果を確認するために,地震時安定・変形解析を実施したものである.解析は,地震に先行した台風23号の降雨の影響を把握するために降雨浸透解析を行って盛土の湿潤状況を推定し,ついで,斜面上の高盛土に鑑みて地震応答解析を行って盛土の動的応答を求め,これらの結果に基づいて,地震時の安定・変形解析を実施した.地震時安定解析は極限平衡法により,地震時の残留変位解析は円弧すべりに適用したNewmark法により実施した.対象は,被災盛土の推定すべり面(全般破壊のすべり面)と,盛土内部を通過する限界すべり面とした.この結果,Newmark法による残留変位量は被災盛土の崩壊規模と整合し,かつ,復旧に用いた補強土擁壁の耐震性能を適切に評価できる指標であることがわかった.
  • 重久 伸一, 宮田 喜壽, 落合 英俊
    2006 年 21 巻 p. 211-218
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    脆性的な力学的特性を有する固化土に対し,ジオグリッドを配置することで延性的な性質を付与する技術について検討した.ジオグリッドの形状の影響を室内試験で調べ,その影響を考慮できる数値解析法をマイクロメカニクスの考えに基づき開発した.固化土にジオグリッドを配置した供試体の引張り抵抗を解析する場合,グリッドの交点付近と縦リブの中央付近では剛性が異なることを計算で考慮する必要がある.本文では,提案した方法の導入によって,ジオグリッドを配置した固化土の引張抵抗特性を広範囲の変位レベルで精度よくシミュレートできることを示す.
  • 奥田 聖章, 重久 伸一, 宮田 喜壽
    2006 年 21 巻 p. 219-222
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    著者らは,固化土の脆性的な力学特性をジオグリッドで補強する技術について検討を行っている.本研究では,排水条件とひずみ速度が補強効果に及ぼす影響を調べた.一連の実験では,ジオグリッドを配置した固化土に対して,擬似過および正規圧密の条件で直接引張試験を行った.排水条件の影響は非常に小さいことが明らかになった.ひずみ速度の影響は,正規圧密条件で卓越することが明らかになった.
  • 宮田 喜壽, Richard BATHURST
    2006 年 21 巻 p. 223-228
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    適切な補強材力の評価は,合理的なジオグリッド補強土壁の内的安定解析に役立つ.本文では,2003年にAllenらによって提案されているK-stiffness methodと呼ばれる補強材力の評価手法が,粘着力を有する土を用いる場合へ拡張される.拡張法を用いた設計法についても議論される.拡張K-stiffness methodを用いれば,補強材の使用量を節減できることを示す.
  • 渡辺 健治, 松丸 貴樹, 水野 進正, 舘山 勝, 内村 太郎
    2006 年 21 巻 p. 229-236
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年、土構造物の耐震性向上のためにセメント改良礫土が多く用いられるが、実際の構造体として建設されたセメント改良礫土はセメント混合ムラにより強度のばらつきが見られた。通常の場合、盛土内にはジオグリッドを敷設するため、盛土内に多少の品質ムラが存在しても全体の構造体としての影響は少ないと推測され、さらにジオグリッドは引張補強材としての効果が期待される。本研究では、室内作成および現場施工されたセメント改良礫土の曲げ試験を行い、以下の知見を得た。(1)ジオグリッド補強材に発生する張力により、セメント改良礫土の曲げ変形に対する靭性能が増加する、(2)施工によりセメント改良礫土内に弱部が存在した場合でも、ジオグリッド補強材によりその影響が緩和される。
  • 弘中 淳市, 渡邉 陽一, 大谷 順, 平井 貴雄
    2006 年 21 巻 p. 237-240
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤上に道路盛土などを造成する際に,不同沈下を抑制することを目的として深層混合処理工法に代表される改良柱体とジオグリッドを併用する工法が採用されている.本工法の特長は,改良柱体上にジオグリッドを敷設することにより,改良柱体間の未改良地盤に盛土荷重を直接作用させることなく改良柱体に伝達させる荷重分担効果が発揮されるため,低改良率施工を可能とするものである.そこで,この荷重分担効果をより効率的に発揮させるためには,ジオグリッドを敷設した際の地盤内挙動を非破壊かつ3次元的に把握することが重要であると考える.本報では,模型地盤の沈下実験を実施し,杭頭地盤の挙動をX線CTスキャナにて非破壊検査することにより,ジオグリッドによる荷重分担効果について報告する.
  • 福田 光治, 本郷 隆夫, 北村 明洋, 望月 康博, 木村 亮
    2006 年 21 巻 p. 241-246
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本論文は盛土補強材の引き抜き摩擦係数に関する一般的な表現方法を検討し,その中でジオテキスタイルの摩擦特性を位置づけることを試みたものである.ジオテキスタイルと土の間の摩擦係数は試験方法によっても異なるが,本論文では一般的な引き抜き摩擦係数に関係する因子として土槽実験によってダイレンタンシーと内部摩擦角の効果を区分し,また拘束圧による補正方法を提案した.引き抜き試験に使用した材料はジオテキスタイルの他にチェーン,丸鋼,帯鋼,突起付ストリップ等の鋼材である.実験結果ではジオテキスタイルの引き抜き摩擦係数の評価式は内部摩擦角を主な因子とする式に対応しており,補強材表面が平滑な丸鋼,帯鋼に類似した引き抜き力~変位関係になったことを示す.従って今後の引き抜き補強材としてのジオテキスタイルの開発ではダイレイタンシー特性に着目する必要があることを示す.
  • 中島 進, 古関 潤一, 渡辺 健治, 舘山 勝
    2006 年 21 巻 p. 247-254
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    矢板補強を有するジオグリッド補強土擁壁の模型振動台実験の結果をもとにして構築した既往の変位量計算手法をChangの式と組み合わせる事によって,矢板の剛性や根入れ長が変化した場合にも適用が出来るように拡張した.この新たに拡張した変位量計算手法を用いて,矢板の根入れ長や曲げ剛性が矢板の補強効果に及ぼす影響について試計算を行った結果、特に根入れ長を長くする事によって補強効果が向上することが分かった.
  • 小田 勝也, 吉田 誠, 狩野 真吾, 三藤 正明, 秋本 哲平
    2006 年 21 巻 p. 255-262
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    管理型処分場における管理型廃棄物埋立護岸の遮水工には地震時における遮水機能の確保が求められているが、遮水工の地震時挙動を反映した設計法は確立されていない.一方、これまでに遮水シートの地震時変形特性が要素実験や振動実験により明らかにされてきた.これらの成果を耐震設計法に反映させるためには地震時の遮水シート変形予測手法の確立が必要であるが、遮水シートをモデル化するためには遮水シートと保護材間、保護材と土質材料間の摩擦特性を把握する必要がある.
    本研究では遮水シートと保護材間あるいは保護材と土質材料間にジョイント要素を用い、遮水シートの引き抜き実験をFEM解析により再現することを試みた.
  • 狩野 真吾, 小田 勝也, 近藤 三樹郎
    2006 年 21 巻 p. 263-270
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本研究では廃棄物最終処分場に敷設される軟質PVC,HDPE,SMePEの各遮水シートを対象に,ひずみエネルギー密度関数(W関数)を用いた遮水シートの二軸引張変形時の応力-ひずみ曲線の推定精度を検討した.軟質PVC,HDPE,SMePEの各遮水シートについて,一軸拘束二軸引張試験結果からそれぞれのW関数を求め,均等二軸引張変形時の応力-ひずみ曲線を計算した.この計算値と二軸引張試験における実測値とを比較した結果,軟質PVCでは15~40%,HDPEでは3~4%,SMePEでは6~15%までのひずみ領域に対して,W関数は10%以内の誤差で実験値の応力を推定可能であることがわかった.ここで,敷設面不陸に追従した際の軟質PVCに発生するひずみは最大でも15%程度であるという既往の研究結果を考慮すると,たとえば軟質PVCの裏込不陸への追従性を検討する場合,W関数による推定手法は十分に適用可能であると考えられる.
  • 李 明飛, 今泉 繁良
    2006 年 21 巻 p. 271-276
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    廃棄物最終処分場の法面の遮水シートに作用する引張力のなかで,廃棄物の自重による圧縮や埋立重機の影響を評価することが遮水工端部の固定工の設計に大変重要である.本研究は,遮水シートに作用する引き込み張力を評価するための高さ5mの実物大斜面モデルでのフィールド実験に対して,遮水シートと保護マットの応力-ひずみ関係を弾性体,廃棄物を想定した現場発生土の応力-ひずみ関係,ジョイント要素の摩擦力度-相対変位関係を双曲線近似した有限要素法による解析を実施した.有限要素法解析より,遮水シートの剛性,埋立重機の荷重と位置が遮水シートに生じる引き込み張力に与える影響を評価した.また,二重シートの場合の引き込み張力も一重シート場合と比較して解明した.
  • 原田 高志, 村山 典明, 柏木 哲也, 今泉 繁良
    2006 年 21 巻 p. 277-283
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    国内の廃棄物最終処分場の遮水工には、様々な種類の遮水シートが適用されている。筆者らは、10年以上の長期にわたり代表的な遮水シートについて屋外暴露実験を行い、力学特性や表面状態の変化を追跡し、廃棄物最終処分場の標準的な供用年数(15年)に対して、それらの屋外暴露耐久性に十分余力があることを報告してきた。また、室内促進暴露試験との関係についても明らかにしてきた。さらに遮水シートを遮光性保護材で保護することにより遮水シートの劣化を大幅に遅延できることも確認した。今回は、各種遮水シート促進暴露試験に加え、埋立て後の耐久性把握を目的に行った各種遮水シートの様々な液体への浸せき試験結果を中心に報告する。
  • 西村 正樹, 赤井 智幸, 和田 昭太, 楠部 義夫, 嘉門 雅史
    2006 年 21 巻 p. 285-290
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    廃棄物最終処分場閉鎖時のキャッピング材として、遮水性とガス透過性を併せ持ち、施工耐久性を有するジオシンセティックス材料の開発が求められている。筆者らは、多孔質材料と不織布から成る複合シートを開発し、キャッピング材料としての適用性を検討している。本研究では、この複合シートについて、室内実験により遮水性、ガス透過性を評価し、屋外フィールドでの施工実験により施工耐久性について検討を加えた。その結果、試作した複合シートは遮水性、ガス透過性を有するキャッピング材料としての適用性が高いことを確認した。
  • 石神 暁郎, 渡嘉敷 勝, 長束 勇, 高橋 晃, 森 充広, 増川 晋, 中矢 哲郎
    2006 年 21 巻 p. 291-296
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    農業用水路では,近年,漏水防止などを目的とした種々の補修工法の開発・適用が進められている.しかし,温度変化による水路躯体の伸縮挙動に補修材料が追従できず,ひび割れなどの再損傷を生じる事例が多くみられる.筆者らは,遮水性能に優れるジオメンブレンを活用した補修工法を開発した.本報では,ジオメンブレンの促進耐候性,耐水圧性,耐薬品性,加熱劣化,耐熱性および耐寒性などの各種曝露条件における劣化を想定した促進劣化試験を行った後に引張試験および伸縮繰返し試験を実施し,外観変化および物性値の保持性を確認することにより伸縮挙動への追従性を評価した.その結果,開発した補修工法で用いるジオメンブレンは,各種曝露条件における劣化を受け難く,伸縮挙動への追従性に優れることが確認された.
  • 小田 勝也, 小竹 望, 佐藤 毅, 岩井 勉, 根岸 聖司
    2006 年 21 巻 p. 297-302
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    海面処分場に用いる遮水シートは、地震災害に伴う大変形や埋立に伴う沈下変形の影響を受けることが考えられるが、その場合の遮水シートの健全性評価技術は未確立である。筆者らは、遮水シートに生じる大ひずみを計測できるBOTDR方式の光ファイバ余長センサを開発し、これを遮水シートの健全性評価に利用する研究を行ってきた。本論文では、引張試験による余長センサの基本性能の確認や地震などで処分場が被災した場合、敷設不陸面で発生すると予測される遮水シートの大ひずみに対する余長センサの作動状況を模型実験で確認するとともに、模型実験結果を解析で再現したシートひずみをもとにセンサの計測精度の評価を試みた。
  • 石田 正利, 佐藤 毅, 西村 正樹, 赤井 智幸, 嘉門 雅史
    2006 年 21 巻 p. 303-306
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    遮水構造の耐久性評価においては、廃棄物内に混入する異物による破損リスク、破損後の漏水リスクの評価が重要である.しかし、従来の一般的な遮水構造に関しては、破損と漏水の両方を加味した耐久性評価の事例はほとんどない.筆者らは、廃棄物処分場の遮水材として遮水性中間保護材(ポリウレタン)とその両側の遮水シートが一体化された一体型複合遮水シート(以下、複合シート)を開発し、その耐久性評価を試みてきた.本研究では、廃棄物処分場に設置された複合シートによる遮水構造を想定し、複合シートに異物(以下、貫入棒)が貫通する状況を想定した貫入実験を実施し、貫入棒の形状や地盤強度の違いと貫入抵抗の関係について検討した.さらに、貫入棒が貫通した状態での耐水圧実験を実施し、その状態でも十分な漏水抵抗を有することを確認した.
  • 勝見 武, 石森 洋行, 深川 良一
    2006 年 21 巻 p. 307-314
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    廃棄物最終処分場の遮水層の一要素として,ジオシンセティッククレイライナー(Geosynthetic Clay Liner; GCL)の適用が広まりつつある。遮水層の設計ではGCLの基本性能とその影響因子を熟慮する必要があるが,処分場での特異な条件下で性能評価が行われた例は少なく,設計に必要な基礎データが充分に整備されていない。本研究はGCLの遮水性能に関する基礎データ収集を目的として,GCLの透水係数に及ぼす(1)電解質溶液,(2)プレハイドレーション,(3)上載圧の影響を明らかにした。GCLの遮水性能は電解質溶液の暴露により低下するが,プレハイドレーションや埋立廃棄物による上載圧が作用する処分場条件下では,電解質溶液に対しても高い遮水性能(透水係数1.0×10-8cm/s以下)を維持できる。
  • 小竹 望, 平田 昌史, 赤井 智幸, 西村 正樹, 山本 正人, 嘉門 雅史
    2006 年 21 巻 p. 315-318
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    廃棄物海面処分場の遮水材として開発した線状高分子混合処理土は、浚渫粘性土に固化材と線状高分子材料を混合した土質系遮水材料である。靭性が高いので大きいひずみ領域でも遮水性能を発揮できることが特徴である。既往研究では線状高分子材料としてビニロンの短繊維を用いた室内配合試験・土質試験を実施し、線状高分子混合処理土の強度変形特性と遮水性について評価した。本研究では、引張強度、伸度、ヤング率等の力学的性質の大きく異なるビニロン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンの繊維を用いた線状高分子混合処理土の材料特性の相違を評価した。その結果、材質が異なっても繊維混合による靭性向上効果には大差がないことが確認された。
  • 山崎 真司, 安原 一哉
    2006 年 21 巻 p. 319-326
    発行日: 2006/12/07
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    高含水比粘性土を有効利用する工法として,ジオシンセティックス(GS)と砂層を組み合わせたハイブリッドサンドイッチ補強土(HBS)工法がある.本文では,砂,GSなどの補強条件を変化させた模型載荷実験を実施し,HBS工法の補強効果の確認,特に靭性の改善効果の要因を明らかにするとともに,一面せん断試験を行い,粒状土とGSの間の摩擦特性から,靭性改善のメカニズムを解明することを試みた.その結果,高含水比粘性土の盛土地盤において,HBS工法は不織布を単独に敷設した場合に比べ大きな靭性改善効果が得られた.また,HBS工法の靭性改善効果はGSの上下に敷設する砂履の厚さに依存せず,不織布の排水性能を低下させない必要最小限の厚さを確保すれば良いことがわかった.
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