霞ヶ浦の魚類について非2, 3, 7, 8-置換体を含む4塩素化以上のPCDDs/PCDFsについて分析を行い, 魚類中のPCDDs/PCDFsの汚染レベルと底質から生物体への生物濃縮を調べた。また, 生物の種類による濃縮パターンの差を, クラスター分析を用いて解析した。
魚類中のPCDDs/PCDFs濃度は4.19~247.07pg/g (wetweight) で, TEQ濃度は0.18~9.85pgTEQ/9であった。全ての試料で1, 3, 6, 8-TCDDと1, 3, 7, 9-TCDDの濃度が特に高く, この2つの化合物はTCDDsの90%以上を占めた。PCDDs/PCDFs濃度中2, 3, 7, 8-置換体の割合は12.7~49.5%の範囲であり, TEQ濃度とPCDDs/PCDFs濃度の比率から底質に比べ魚類に2, 3, 7, 8-置換体が選択的に濃縮されていることが分った。また, 2, 3, 7, 8-置換体は, 食物連鎖の上位の生物により濃縮しやすいことが観察された。底質から魚類への濃縮係数は, 2, 3, 7, 8-置換体が非2, 3, 7, 8-置換体より高く, 低塩素化の方が高塩素化より高かった。また, 濃縮係数はlog K
owの増加と共に減少した。クラスター分析により, 底質からの生物濃縮パターンが魚類と甲殻類によって異なることが示された。
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