機能水研究
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12 巻, 1 号
第15回学術大会プログラム・講演要旨集号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 石井 克典, 佐藤 基和, 梅本 歩, 林 香里
    2016 年 12 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2016/09/10
    公開日: 2024/11/18
    ジャーナル フリー
    温水洗浄便座に組込まれ、洗浄ノズルや便器内壁の衛生管理に活用されている電解システムは、水道水質を維持しながら低濃度(<5 mg/L)有効塩素を含有する水道電解水を生成することを特徴とする。この水道電解水の水質を担保するために、その原水となる水道水について全国(47都道府県)の水質データを調査し、電解によって水質変化し得る要因としてpH、塩化物イオン、有機物について解析した。その結果、全国の水道水の90%以上がpH6.9~7.7(基準値5.8~8.6)、塩化物イオン(Cl)50 mg/L以下(基準値200 mg/L)、有機物1 mg/L以下(基準値3 mg/L)の限局された範囲に分布することが明らかとなった。これらの範囲から最も逸脱した水道水および範囲内の水道水を選択して水道電解水を作製し分析した結果、有効塩素濃度の変化(上昇)以外の水質変化はわずかで、いずれも日本の水道水質基準およびWHO飲料水水質ガイドラインに適合していた。したがって、本電解システムは、全国の水道水を用いて水道水質基準を維持する安全な水道電解水を安定して生成・供給できると判断された。
  • 佐藤 基和, 石井 克典, 梅本 歩, 林 香里
    2016 年 12 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2016/09/10
    公開日: 2024/11/18
    ジャーナル フリー
    殺菌力と水道水質を有することを特徴とするトイレ機器用水道電解水の水質安定性と長時間反復使用における電解槽電極の耐久性について調べた。水質安定性については、水道電解水生成後の有効塩素濃度が密閉静置条件および開放条件において原水レベルに戻るまでの挙動と原水レベルに回帰した水の水質を分析した。その結果、密閉静置条件では有効塩素は初発濃度が異なっていても一定の速度で低下し、1 mg/Lの検体は約1.5ヶ月、2 mg/Lの検体は約4ヶ月で原水レベルとなった。4.5 mg/Lの検体は約3ヶ月で半減したが、その後の低下は緩慢となり8ヶ月後も1 mg/Lの残留が認められた。原水レベルとなった検体の水質はいずれも水道水質基準51項目に適合していた。一方、開放条件試験において水道電解水の有効塩素(2 mg/L弱)は、少量静置(直径10 cmシャーレに約15 mL;水深2 mm)では90~100分、多量撹拌(1 L容ビーカーに800 mL)では約24時間で原水レベルに回帰した。他の水質パラメータの変動は僅かで水道水質基準値内であった。 電解槽電極の耐久性に関しては、初期は0.38 Aの電流が流れ、1.5 mg/Lの有効塩素生成能を示したが、反復使用の時間経過とともに電流値および有効塩素生成能が徐々に低下し、450時間経過時点で電流値0.2 A、有効塩素濃度0.8 mg/Lとなった。そして、600時間経過時点では電流値0.03 A、有効塩素濃度0.3 mg/Lとなり、電解能がほぼ認められなくなった。なお、600時間経過時点での水道電解水の水質は水道水とほぼ同じであった。
  • 峯 武士, 迫 勝善, 田邊 和男, 和田 顕男, 滝波 弘一
    2016 年 12 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 2016/09/10
    公開日: 2024/11/18
    ジャーナル フリー
    食品添加物に指定されている微酸性電解水を用いて、酒袋瀘布に付着している酒粕と微生物を除去し濾布を効果的に再生できる洗浄法を確立した。すなわち、濾布の顕微鏡観察、微生物検査、有効塩素測定およびエタノール・グルコース分析をキー検査として、先ず微酸性電解水による予備洗浄を行い、次いで洗浄剤添加微酸性電解水による洗浄によって濾布に付着した酒粕を除去し、さらに微酸性電解水による3回の濯ぎ洗浄によって極めて効果的に殺菌除去できることが確認された。
  • 金 辰也, 佐藤 和恵, 川上 裕司
    2016 年 12 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2016/09/10
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー
    機能水の1種と位置付けられている水素水について、活性酸素消去能を比較検討した。2015年12月から2016年3月にかけて市販されている水素水商品について、電子スピン共鳴装置を用いたスピントラップ法によりヒドロキシルラジカル消去能、スーパーオキシド消去能、一重項酸素消去能をそれぞれ測定した。その結果、ヒドロキシルラジカル消去能において、水素水商品の水素量との間で相関性がある結果を得た。一方、スーパーオキシド消去能と一重項酸素消去能については相関性が得られなかった。水素水中の水素分子は活性酸素種の中でも特異的にヒドロキシルラジカルと反応し、水素ラジカルと水に変換されるヒドロキシルラジカルの消去反応が起こっていると考えられ、既報の反応と同一と推察された。 ただし、市販されている水素水商品を開放系にて放置すると時間単位で溶存水素量が低下したので、開封後は商品ごとに指定の保存方法を順守することや空気中に抜ける前に飲みきることに留意する必要がある。
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