機能水研究
Online ISSN : 2759-551X
Print ISSN : 1348-2432
18 巻, 1 号
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  • 二階堂 勝, 濱谷 稀人, 葛巻 功宜, 山下 功一郎
    2023 年 18 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2025/03/11
    ジャーナル フリー
    酸性電解水のイチゴ栽培への適用は、育苗期の炭疽病の防除を中心に行われている。一方、葉が幾重にも重なるロゼット状態を呈し、果実が濡れることを嫌うイチゴの生育期~収穫期での酸性電解水の適用には、散布方法の課題もあり、検討報告は少ない。本実験では、化学合成農薬の使用が制限されるハウス栽培のイチゴ観光農園において夜間のみ微酸性電解水の通風気化を行い、イチゴの生育期~収穫期の有効な病害防除法となりうるかを検討した。その結果、ロゼット状態でも通風気化した微酸性電解水は葉や果実に到達し、浮遊菌数及び葉・果実への付着菌(内生菌を含む)数を抑制できた。また、試験期間中のうどんこ病や灰色カビ病の病微に関して、対照区では両方の発症が認められたのに対し、試験区では両方の発症は抑えられた。さらに、試験区と対照区から収穫したイチゴの保存試験では、試験区のイチゴ果実はカビの発生が1~3 日遅れ、その後の拡大も抑制された。とくに、灰色かび病の原因菌であるBotrytis cinereaに有効に作用していることが観察された。一方、葉の生理障害の指標となるクロロフィル含量と相関するSPAD値に影響はなく、目視でも葉の白化等の副作用は認められなかった。 結論として、微酸性電解水の通風気化法が、ハウス栽培イチゴの生育期~収穫期の有効な病害防除法となる可能性が示された。
  • 鋤柄 悦子, 渡辺 香織, 山口 由貴, 高見澤 一裕
    2023 年 18 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2025/03/11
    ジャーナル フリー
    ステンレス製ワゴンの天板上に作製した卵白アレルゲンモデルを用いて、各種試験水(蒸留水、強酸性次亜塩素酸水、微酸性次亜塩素酸水および強アルカリ性電解水)による除去効果を試験した。卵白アレルゲンモデル天板に試験水20mLを均一に広げ、3分間静置(浸漬処理)後、ペーパータオルで全量を拭き取り、イムノクロマト法で卵白アレルゲンの陰性化をチェックした。その結果、蒸留水と強アルカリ性電解水の処理では明瞭な残留が認められたが、次亜塩素酸水の場合は有効塩素濃度に応じて残留が少なくなることが認められた。その後、蒸留水を含ませた布巾で拭き取る作業を行って卵白アレルゲンが陰性になるまでに、蒸留水処理では約8回必要だったが、次亜塩素酸水および強アルカリ性電解水で処理した場合は大幅に少ない拭き取り回数で済むことが認められた。これらの結果は、作業者の経験やスキルに関係なく再現性が認められた。以上のことから、卵白アレルゲン除去のために電解水(次亜塩素酸水や強アルカリ性電解水)は効果的であることが明らかとなった。
  • 堀田 国元, 藤原 功一, 田仲 紀陽, 北洞 哲治, 辻󠄀 晋吾
    2023 年 18 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル フリー
    強アルカリ性電解水と強酸性電解水を組み合わせて洗浄消毒するシステムを内蔵する全自動内視鏡洗浄装置(医療機器)の性能(機能、洗浄消毒効果)について、客観的第三者評価を目的として本装置の使用経験がない異なる3箇所の医療施設において実使用評価を行った。評価に供した臨床使用後の内視鏡(上部消化管内視鏡157検体、下部消化管内視鏡69検体)からは多様な細菌種が検出されたが、いずれの施設においても高い消毒効果が確認された。なお、感染が重大視されている抗酸菌、Helicobacter pylori、肝炎ウイルスの陽性患者検査後の内視鏡にも使用したが、内視鏡からそれらは検出されなかった。 また、本装置の実使用における利便性に関して作業従事者からは、装置の機能と操作性の良さと電解水の安全性が高く評価された。
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