日本評価研究
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16 巻, 1 号
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特集:自治体評価の20年
  • 山谷 清志
    2016 年 16 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー
  • -20年を経過した都道府県の取り組みの点検結果から-
    小野 達也
    2016 年 16 巻 1 号 p. 3-16
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     自治体に最初の行政評価制度が導入されて20年が経過した。その行政評価制度の中心はいわゆる業績測定型の評価である。その手法はシンプルであり、最初に導入した三重県を始め一定の結果が得られたこともあって、数多くの自治体が業績測定型評価に取り組むに至っている。しかし、業績測定型評価の成否は、その基本ツールである評価指標の品質や取り扱い次第である。本研究では、自治体の行政評価において先導的な役割を果たしてきた都道府県の取り組みを点検し、また同様の点検を行った平成19年時点の状況とも比較した結果、改善が見られる面もあるものの依然として多くの課題があることが明らかになった。それらの多くは、政府の目標管理型政策評価など公共部門の業績測定型評価に共通する課題でもある。業績測定型評価が本格的に機能するためには、これらの課題への対策が必要である。

  • -「活かさず殺さず」の20年-
    西出 順郎
    2016 年 16 巻 1 号 p. 17-30
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     本稿は、自治体評価の20年の歴史を研究及び実務の視点から振り返り、今後の自治体評価について若干の検討を加えるものである。はじめに我が国の自治体評価の特徴である組織管理への接近について、その要因を自治体評価が台頭した2000年前後の自治体を取り巻く環境から抽出する。次にそれゆえの自治体評価の課題、課題克服のための処方箋、さらには処方箋の限界等を記述する。最後に自治体評価の近年の動向を考察し、自治体評価の行方について、その方向性を模索する。

  • -20年のレビューから-
    山谷 清志
    2016 年 16 巻 1 号 p. 31-45
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     地方自治体が評価に取り組んで20年、その呼び名は地方分権改革時代の政策評価、自治体財政破綻・財政危機を意識した行政評価・行政経営改善と、そのときどきの政治課題に対応していたが、実務の現場では公共事業評価、施設評価、指定管理者評価、地方独立行政法人評価、学校評価、病院評価などの専門性が高い評価が次々に加わってきた。さらに第二次安倍内閣の2014年、地方創生がアジェンダとしてクローズアップされたが、そこには重要な思考ツールとしてPDCA(plan-do-check-act)サイクル、KPI(Key Performance Indicators、重要業績指標)が組み込まれて、これを「評価」と言う人も多い。本稿は20年にわたる地方自治体評価の実践をレビューしながら、何を目的に、どのように行ってきたのか整理を試みる。

研究ノート
  • -欧米の先行研究に見る動向と今後の研究課題-
    荒川 潤, 玉村 雅敏
    2016 年 16 巻 1 号 p. 47-61
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     複雑な政策課題や多様な政策ニーズなどに対応するために、複数の政府機関間や政府機関と民間組織(民間企業や非営利団体など)との間でネットワークが形成されるケースがある。本稿は、そのようなネットワークのマネジメント、ガバナンスの在り方について、及びそこでの業績評価の在り方について、欧米における主要な先行研究をレビューしたものである。

     ネットワークの形成により、非定型業務や多様性のある業務に柔軟に対応できるようになるなどのメリットがある一方で、多様な利害や関心を有する多様な主体から構成されるネットワークについて、それを円滑にマネジメントすることや、適切なガバナンスを確保することには、単一組織の場合よりも、より一層の複雑さや困難が伴いがちである。例えば、複眼的に森と木とを同時にみる、複数のシステムを同時にまわす、複層的に取組む、など複数のことに同時に取組むことが求められる。また共有・協働と委譲・裁量など、方向性の異なるプロセスにも同時に取組む必要がある。そして、構成員相互の信頼関係や利害調整の重要性が強調されるのも特徴的である。

     今後、わが国においても理論・実証の両面からの研究がさらに蓄積され、それらが「PPPの失敗」を含めた実務的な諸課題に対する処方箋となることが期待される。

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