複雑な政策課題や多様な政策ニーズなどに対応するために、複数の政府機関間や政府機関と民間組織(民間企業や非営利団体など)との間でネットワークが形成されるケースがある。本稿は、そのようなネットワークのマネジメント、ガバナンスの在り方について、及びそこでの業績評価の在り方について、欧米における主要な先行研究をレビューしたものである。
ネットワークの形成により、非定型業務や多様性のある業務に柔軟に対応できるようになるなどのメリットがある一方で、多様な利害や関心を有する多様な主体から構成されるネットワークについて、それを円滑にマネジメントすることや、適切なガバナンスを確保することには、単一組織の場合よりも、より一層の複雑さや困難が伴いがちである。例えば、複眼的に森と木とを同時にみる、複数のシステムを同時にまわす、複層的に取組む、など複数のことに同時に取組むことが求められる。また共有・協働と委譲・裁量など、方向性の異なるプロセスにも同時に取組む必要がある。そして、構成員相互の信頼関係や利害調整の重要性が強調されるのも特徴的である。
今後、わが国においても理論・実証の両面からの研究がさらに蓄積され、それらが「PPPの失敗」を含めた実務的な諸課題に対する処方箋となることが期待される。
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