日本評価研究
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20 巻, 1 号
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研究ノート
  • -心理学分野の研究倫理からの示唆-
    小林 信行
    2020 年 20 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     本稿は、心理学分野の研究倫理における研究協力者への配慮を視座に、評価倫理における基本原則「人々への敬意」に関する論考を行う。そして、その論考を踏まえ、日本評価学会の「評価倫理ガイドライン」で今後反映すべき事項に関する示唆を導出する。心理学分野では、研究は実践活動よりも高リスクと見なされ、研究に先立ち倫理審査が求められる。同様に、評価協力者に著しいリスクが生じる可能性がある場合、類似する審査が望まれ、その要否の判断基準が検討課題となる。「評価倫理ガイドライン」は、評価が介入の割り付けを決定する状況を想定しないため、前記の状況でのインフォームド・コンセント、許容される統制群の設定も検討課題となる。研究倫理の「実践」から、幾つかの課題も明らかとなった。倫理審査が調査手法の選定に影響し、特定の手法を忌避する傾向が見られた。また、「理論」が提示する複数の基本原則どうしが衝突し、倫理的な判断が困難となった結果、倫理面の配慮が研究協力者の負担を重くするケースも生じている。

  • 鏡 圭佑
    2020 年 20 巻 1 号 p. 15-26
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     本稿の目的は、庁が果たす機能の観点から、庁が実施する現行の評価制度における研究課題を提示することである。庁とは、中央政府に置かれる行政組織の形態の1つである。政策過程において果たす機能の違いから、庁は実施庁と政策庁に大別される。それぞれの庁の機能を明確にすることで、その庁の機能に適した政策評価のモデルを構想できる。本稿では、この政策評価のモデルと現行の評価制度の比較を通じて、評価制度における研究課題を抽出する。

     今後の研究課題として、実施庁における学習型評価の在り方を検討する研究、実施庁における実績評価制度を特定の行政組織が所管する必要性を考察する研究、政策庁が実施する目標管理型政策評価および総合評価の学習に対する貢献度を把握する研究を提示する。

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