日本評価研究
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13 巻, 2 号
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特集:「政策評価制度10年の経験~レビューと展望~」
  • 山谷 清志
    2013 年 13 巻 2 号 p. 1-2
    発行日: 2013/11/22
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー
  • ~制度導入以降の省察と今後の展望~
    新井 誠一
    2013 年 13 巻 2 号 p. 3-19
    発行日: 2013/11/22
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     21世紀の到来とともに、平成13年1月、我が国の行政に政策評価制度が導入されて約12年が経過した。

     政策評価制度は、プラン偏重の行政を改善すべく、総務省に設置された政策評価の手法等に関する研究会が検討を進め、標準的ガイドラインを策定してスタートした。

     その後、制度は法制化され、各府省のマネジメントサイクル(PDCAサイクル)の中で定着したが、法施行から3年後の平成17年の時点で制度全般にわたる見直しが行われ、平成21年に事業仕分けを経て抜本的機能強化を図ることとされ、目標管理型の評価の導入など現在に至っている。

     一方で、依然として政策評価の現場などで、評価方式、評価結果の活用などについて様々な論点が指摘されている。

     本稿では、制度導入以来様々な見直しが行われたにもかかわらず、こうした指摘がなされている原因を政策評価制度の導入から制度見直しを経て現在に至る経緯の中に探り、制度の今後の展望を明らかにしたい。

  • ~府省の実績測定における計量・計数の現状~
    小野 達也
    2013 年 13 巻 2 号 p. 21-36
    発行日: 2013/11/22
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     2001年に導入された政府の政策評価制度では、一般の政策に係る事後評価の大半は「実績評価」として行われ、2011年度からは「目標管理型の政策評価」として、この実績評価が行政事業レビューと連携して実施されている。実績評価方式は欧米諸国と同様の実績測定(パフォーマンス・メジャーメント)を想定したものであり、行政事業レビューも実績測定の性格をあわせ持つ。しかし、実績測定の中心となる機能、すなわち実績を測定するという機能がこの両者にどこまで備わっているのか、制度と運用の両面について考察すれば、多くの課題が浮き彫りになる。今後、実績測定をより本格的に実行しようとするのであれば、これらへの対策が急務である。

  • 「評価の利用」概念の解明と現状の分析
    田中 啓
    2013 年 13 巻 2 号 p. 37-52
    発行日: 2013/11/22
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     国の行政機関が政策評価に取り組み始めてから11年以上が経過したが、近年、評価が十分に利用されていないことが問題視されている。「評価の利用」はその定義や概念が明確にされていないため、評価の利用の実態も十分に解明されるに至っていない。そこで本稿では、「評価の利用」概念を解明し、評価の利用を実証的に分析するための枠組みを構築することを主眼とした。参考にしたカークハートのモデルは、プログラム評価の影響が波及する経路を概念的に理解するための社会的視点のモデルである。本稿では、これに修正を加え、国の政策評価の利用を分析するための組織的視点のモデル(修正KHモデル)を構築した。このモデルを用いて国の政策評価の利用状況について試論的な分析をおこなったところ、評価の利用者は施策担当者と管理職にほぼ限られていることや、評価の用途も施策理解が主であり、意思決定等に関して評価が積極的に利用されていないこと等が示唆された。今回構築した理論モデルは、評価の利用を実証的に分析するために有効な枠組みであり、このモデルを用いた詳細な実態分析が必要である。

  • ~法施行後10年の経験から~
    南島 和久
    2013 年 13 巻 2 号 p. 53-67
    発行日: 2013/11/22
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成13年法律第86号。以下「政策評価法」という。)が施行されてから10年が経過する。本稿では、同法において掲げられた政策評価制度の目的のひとつであるアカウンタビリティについて、「この10年の経験で行政機関のアカウンタビリティは向上したのか」という点を問いかけたい。

     本稿の結論は、政策評価制度の導入により行政機関の透明性は向上したものの、結果的にアカウンタビリティが向上したとまではいえないというものである。ただし、ここで重要な論点は、「アカウンタビリティが向上しなかった」という結果ではなく、「なぜアカウンタビリティの向上がかなわなかったのか」という点の分析や「そもそも日本の行政機関にとってアカウンタビリティとは何か」という点にこそある。

     本稿は、日本の行政機関における政策評価とアカウンタビリティとの関係についての、行政学の立場からの理解を示すものである。

実践・調査報告
  • 竹中 一人
    2013 年 13 巻 2 号 p. 69-82
    発行日: 2013/11/22
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     中央省庁等改革の一環として2001(平成13)年4月1日から独立行政法人制度が発足した。独立行政法人は、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって実施する必要はないが、民間の主体に委ねると実施されないおそれのあるもの等を実施する法人であり、業務の効率性や質の向上、法人の自律的業務運営の確保、業務の透明性の確保を図る仕組みとなっている。この仕組みと担保するために、独立行政法人が行った事務・事業の業績については、各府省の独立行政法人評価委員会が行う評価とそれら評価委員会が行った評価を再評価する政策評価・独立行政法人評価委員会の二次評価が行われる。

     本稿は実践報告として、政策評価・独立行政法人評価委員会が行っている独立行政法人の二次評価に焦点を当て、その取り組みを時系列的に検証する。特にこのうち評価する側、される側から指摘されている「評価疲れ」について考察する。

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