薬剤疫学
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25 巻, 1 号
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Communications
  • Tomomi KIMURA, Toshifumi SUGITANI, Takuya NISHIMURA, Masanori ITO
    原稿種別: research-article
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2020/04/25
    公開日: 2020/06/01
    [早期公開] 公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー
    電子付録

    Objective: To validate and recalibrate Charlson and Elixhauser comorbidity indices (CCI and ECI, respectively) in a Japanese hospital-based administrative database.

    Methods: In this retrospective, cohort study, derivation and validation cohorts were developed to include all hospitalizations for patients aged ≥ 18 years at admission and discharged in 2015 or 2016, respectively, from an administrative database based on 287 hospitals. Seventeen CCI and 30 ECI conditions were identified using the International Classification of Diseases (ICD) -10 codes at admission or during the stay. Predictability for hospital death was evaluated using C statistics from multivariable logistic regression models including age, sex, and individual CCI/ECI conditions or the CCI/ECI score in the derivation cohort. After stepwise selection, weighted risk scores were re-assigned to each condition based on the odds ratios (CCI) or beta-coefficient (ECI), and these modified models were evaluated in the validation cohort.

    Results: The original CCI/ECI had good predictive abilities for hospital death: C statistics (95% confidence interval) for individual comorbidities and score models were 0.764 (0.762-0.765) and 0.731 (0.729-0.733) for CCI, and 0.783 (0.781-0.784) and 0.750 (0.748-0.752) for ECI, respectively. Modified CCI and ECI had 13 and 27 conditions, respectively, but maintained comparable predictive abilities: C statistics for modified individual comorbidities and score models were 0.761 (0.759-0.763) and 0.759 (0.757-0.760) for CCI, and 0.784 (0.782-0.785) and 0.783 (0.781-0.785) for ECI, respectively.

    Conclusions: The original and modified CCI/ECI models, with reduced numbers of conditions, had sufficient and comparable predictive abilities for hospital death and can be used in future studies using this administrative database.

企画/通常の PV 活動 : その方法と実施の現状
  • 宮崎 真
    原稿種別: その他
    2020 年 25 巻 1 号 p. 15-16
    発行日: 2020/04/25
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー
  • 高橋 法子, 大竹 理恵, 北郷 次郎, 郡司 良治, 谷口 知子, 中尾 智佳子, 原口 充宏, 坂本 祐一郎, 可児 毅
    原稿種別: 論説
    2020 年 25 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 2020/04/25
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー

    我が国では1970年代より再審査制度が導入され,新たに医薬品が上市した後または既存の医薬品の新適応の承認取得後,多くの場合に製造販売後調査等 (以下,製販後調査) が実施されている.しかしながら,2018年4月に「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令等の一部を改正する省令 (改正 GPSP)」 が施行され,より科学的なアプローチに基づいた製販後調査の実施が求められるようになった.本調査では,改正 GPSP 施行後に,各社が計画する製販後調査に変化が生じているか確認した.調査方法は,各製品の審査報告書,医薬品リスク管理計画 (RMP),及び添付文書を確認し,必要な事項を抽出した後,集計及び分析を実施した.分析の結果,製販後調査では依然として使用成績調査が全体の 60%以上を占めていた.また,使用成績調査の目標症例数に関しては,500 例未満が 90 調査中 58 調査となっており,以前のような 3000 例を超えるような調査は 3 調査しかなかった.また,改正 GPSP 施行後に新しく導入された製造販売後データベース (DB) 調査に関しては,使用成績調査数には及ばないものの,13 製品 18 調査が確認された.利用する DB は,メディカル・データ・ビジョン (MDV) が 12 調査と最も多く,心血管系疾患や間質性肺炎等が複数の調査で安全性検討事項として設定されていた.なお,使用成績比較調査はなかった.一方で,追加の安全性監視活動なしで承認された製品が 2 件あった.また症例数設計では 135 調査中 88 調査で根拠が記載されおり,88 調査中 58 調査は統計学的理由を根拠にしていた.統計学的根拠は記載されているものの,多くは Rule of three という従来の製販後調査で汎用されている統計学的考え方が踏襲されていることが明らかになった.

    改正 GPSP 施行後,DB 調査を含む新しい製販後調査や PMDA が推奨する科学的なアプローチは企業に徐々に浸透している.今後,科学的アプローチを更に浸透させるためには,製販後調査に携わる企業側の人材の更なる向上が必要である.

  • 古閑 晃, 川口 源太
    原稿種別: 論説
    2020 年 25 巻 1 号 p. 28-38
    発行日: 2020/04/25
    公開日: 2020/06/01
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    EU では通常のファーマコビジランス活動としてのシグナル管理に関するガイダンスが GVP Module Ⅸ Signal Management として定められており,そこでのシグナル管理の定義とは個別症例報告,積極的サーベイランスシステム,研究,科学文献情報もしくは他の情報源からの集積データに基づき,当該有効成分もしくは医薬品に関連する新たなリスクの有無,既知のリスクの変化の有無を決定するための一連の活動であり,それに関連する勧告,決定,コミュニケーション,トラッキングも含む活動とされている.手順としてはシグナルの検出から検証,優先順位付け,評価,措置の勧告などが含まれている.さらに WHO や FDA でも同様の取り組みがさまざまなドキュメントとして公表されている.シグナルを検出するうえでの情報源としては最近では拡大するネット社会からのシグナル検出の取り組みが試みられている.さらに承認前までの臨床試験データの精査も大変重要である.近年心血管系リスクや自殺などが原因で大きな問題となる医薬品が散見されるが,臨床試験データ中にシグナルが現れていることが多いためである.

    シグナル検出方法についてはあくまで伝統的な質的なシグナル検出が基本であるが,すべての医薬品を監視しなければならない規制当局にとっては統計的シグナル検出やその優先順位付けは不可欠で,各国規制当局によって種々の方法が実装されている.製薬企業にとっては優先順位付けそのものの必要性は小さいが,その考え方はその後の措置立案に大変参考になるものである.

    シグナル評価においては EU における Post-authorization Safety Study や FDA における Postmarketing Requirement が重要である.措置の勧告についてはシグナルの優先順位付けで考慮すべき項目が大きなヒントとなろう.

    日本においては通常のファーマコビジランス活動としては薬機法施行規則としての GVP で規制されている範囲でほぼ十分であるが,今後の通常のファーマコビジランス活動を考えるうえでは,検出しがたい心血管系リスク,自殺,発がんなどのシグナル検出や評価に真剣に取り組んでいく必要がある.

読者から
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