土木学会論文集B1(水工学)
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水工学論文集第67巻
  • 石井 秀憲, 室谷 浩平, 中出 孝次
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1201-I_1206
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     本研究では,掃流砂と浮遊砂の移動を一括して3次元の運動方程式で計算することで,3次元的な土砂の移動を再現できる河床変動解析手法を構築した.土砂の離脱・堆積に関しては確率モデルを採用することで,長時間の現象を現実的な計算時間で解析できる手法とした.本手法の妥当性検証の第一段階として,静的洗掘条件下で行われた円柱周りの局所洗掘実験の再現解析を行った.再現解析の結果,洗掘孔の形状・洗掘範囲・洗掘深の時間変化について実験結果とよく一致した.円柱前面での土砂粒子の移動についても,実験で観測された土砂の移動が再現できることを定性的に確認した.以上の結果から,本解析手法によって橋脚近傍の3次元的な土砂の移動を考慮した局所洗掘の評価を行うことができると結論付けた.

  • Heli YU, Kazuki YAMANOI, Kenji KAWAIKE
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1207-I_1212
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     The spacing between two spur dikes and the local scour depth are two important considerations in spur dike design. The spacing is related to the downstream separation zone of a spur dike. In meandering channels, the flow field and sediment transport around a spur dike are affected by both the spur dike location and channel sinuosity. The paper employs a 3D model to simulate the flow and sediment transport around a spur dike with different location in meandering channels under different sinuosity. The results show that the downstream separation zone of a spur dike shortens as the spur dike moves downstream or the channel sinuosity decreases. Therefore, the spacing can be adjusted with the location and channel sinuosity for costeffectiveness. The local scour depth around the spur dike tip increases as the spur dike moves downstream and reaches the maximum when the spur dike is placed near the crossover section of a meander, where measures may need to be taken to mitigate the local scour.

  • 尾崎 快, 柳 奈那, 萩原 遼介, 鵜﨑 賢一
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1213-I_1218
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     可動堰では出水時に堰上下流共に大量の土砂が堆砂する問題が度々生じており, その原因解明は河川管理上重要な課題である.出水時における可動堰堆砂は下流側で特に顕著であり, 問題視される場合が多いが, 上流側堆砂についての研究は少なく未解明な点が多い.そこで本研究では, 可動堰である平成大堰を参考に実験水路に模型堰を用いた水理模型実験を行い, 可動堰上流堆砂の原因検討を行った.その結果, 上流水深が固定されていること, 流量に応じた各ゲート開度により堰直下の流速がほぼ一定となったことから, 流量の増加に伴い堰上流側掃流力も増大することで, 砂の移動・堆砂が促進されることが示された.また, 高流量時には水面が堰下端以下に水位低下する現象が確認され, 砂堆の形成・移動が原因であることが示唆された.

  • 音田 慎一郎, 山口 凌大, 金井 稔
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1219-I_1224
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     近年,局地的集中豪雨において河川堤防の決壊が報告されており,堤内地に甚大な被害をもたらしている.こうした被害を軽減するためには,堤防を乗り越えた表面流がどのように流下し,堤防を侵食していくかについて理解を深めるとともに,構造上弱いところに対策を検討することが重要である.本研究では,表面流と浸透流を同時に予測できる流れの3次元モデルと河床近傍での水圧変化に伴う土砂輸送特性を考慮した平衡流砂モデルを用いて堤防の越流侵食に関する再現解析を行った.その結果,圧力の影響を考慮することで,考慮しない場合に比べて裏法尻での侵食を示すことができた.

  • 太田 一行, 竹内 康生, 佐藤 隆宏
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1225-I_1230
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     ダムを越流する石礫は,堤体に摩耗・損傷をもたらす.本研究ではダムを越流する石礫(球形粒子)の力学特性について,水理実験での粒子追跡および数値流体解析による流体力評価を通じて,現象解明を図った.実験で追跡された粒子に作用する流体力を数値流体解析で評価し,実験と解析の結果から粒子の運動方程式の成立性を確認することに成功した.そして,運動方程式における圧力勾配力が越流部頂部からの粒子の跳躍に支配的な影響を及ぼすことが分かった.圧力勾配力と粒子質量の比に粒径が含まれないため,大粒径粒子でも越流部頂部からの跳躍で加速し,水叩きに大きな衝突力をもたらすことが判明した.

  • 平松 裕基, 井上 卓也, 山口 里実
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1231-I_1236
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     澪筋の固定化によって局所洗掘などが生じていることが指摘されており,砂州が発達すると河岸侵食の危険度が高まることが懸念される.そこで,本研究では,初期河床として高水敷と低水路を設け,低水路内には砂州を作成し,その砂州波高と流量を異なる値に設定した基礎的な水理実験を実施した.実験の結果,砂州上の砂の一部が移動する程度の掃流力条件下では,砂州波高あるいは流量が大きくなるにつれて河岸侵食速度も大きくなることが確認された.一方,砂州上の砂のほとんどが移動する程度の掃流力条件まで流量が大きくなると,流量が小さな条件よりも河岸侵食速度が小さくなることが実験の結果から示された.これは通水中に水衝部の位置が移動したことによるものであると推察される.

  • 藤田 隼人, 鼎 信次郎
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1237-I_1242
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     昨今事前放流への降雨予測の利用が全国のダムで活発化する中,最終的に要求される降雨予測精度の水準や方向性を,全国の多目的ダムと過去16年の降雨を対象に整理した.具体的には,解析雨量をそのまま,又は加工を施して流出・ダムモデルに入力し,事前放流判断に直結する指標で評価した.その結果,事前放流を必要とする事例は,年数事例程度の頻度で全国に散在し,要因の総観規模擾乱は,台風本体,停滞前線の順で大半を占めた.要求されるリードタイムは,台風事例で概ね1日半以内,停滞前線事例では2-3日に及び,現業メソモデルの予報時間の終盤までの精度向上とさらなる延長の必要性が示された.空間分布では,解像度は現状の気象モデルで概ね十分であり,位置の精度は現状の降雨予測精度の1桁小さい水準が求められることが示唆された.

  • 岡本 悠希, 小柴 孝太, Mohamed SABER , 竹門 康弘, Sameh KANTOUSH , 角 哲也
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1243-I_1248
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     近年頻発している大規模洪水の対策として事前放流が挙げられるが,事前放流ガイドラインによる水位低下の実施可能期間は短い.さらに,河川に縦列に配置されたダム群や利水ダムの事前放流に関する検討は不十分である.本研究では,利水ダムを含む大規模な縦列ダム群で事前放流を行う場合を想定し,開始時刻や目標水位の変更が,各ダムの治水効果を示す最大放流量や,水力発電量に直結する利水ダムの無効放流量に与える影響を検討した.大規模な出水時には,縦列ダム群で事前放流することにより,各ダムの最大放流量と利水ダムの無効放流量を低減することができた.また,現在では3日前である事前放流の開始時刻を1週間前程度に早め,さらに目標とする水位低下レベルを大きくすることで,治水・利水両面に対する事前放流効果が増大した.

  • 金山 拓広, 守谷 将史, 松田 健介, 吉田 一志, 髙橋 巧武, 三浦 心, 齋藤 光悦
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1249-I_1254
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     気候変動にともなう渇水頻度の増加の影響を緩和するため,既存ダムのさらなる有効活用が求められている.本研究では,強化学習の手法を用いてダム群の容量を有効活用するための最適操作を支援するモデルを構築し,その有用性を検証した.構築したモデルは現時刻の各ダムの貯水量や流入量等の各種条件をもとに,最適なダムからの補給量を予測するものである.強化学習モデルでは,単純に日々の貯水量比率で補給配分率を設定した水収支計算結果と比較して,基準地点での不足や無効放流が少ない操作を予測できる結果が得られた.また,ダム群の総容量を有効に活用するためには,流入量や貯水量等の個別のダムの特徴を踏まえた上で貯水状況に応じた効率的な運用が求められるが,強化学習モデルで予測される補給量は,概ねその傾向と一致する予測結果が得られた.

  • 此島 健男子, 三浦 心, 松田 健介, 守谷 将史, 齊藤 光悦
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1255-I_1260
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     激甚化する洪水による被害を軽減するために,ダムには洪水調節機能の向上が期待されている.本研究は,利根川上流ダム群の洪水調節機能の向上を目指して,人工知能(AI)の深層強化学習をダム群の洪水調節統合運用に適用し,下流基準点の水位低減を図った.AI強化学習にDeep-Q-Networkモデルを適用してダムの放流量を適切に制限するモデルを構築した.また,ダム下流の水位予測モデルにより,各ダムの放流量から下流地点の水位を低減させるように強化学習を行った.未学習洪水による検証の結果,多くの検証洪水で通常操作を上回る水位低減効果が得られた.さらに,これらの操作により異常洪水時防災操作に移行しないことが実証され,本モデルの妥当性が確認できた.

  • 陳 翔, 出尾 陽一, 市川 滋己, 伊藤 邦展
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1261-I_1266
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     ロックフィルダムにおける浸透量の観測はダムの安全管理において重要であるが,観測された浸透量には,貯水池から堤体及び基礎岩盤を通じた浸透のほか,降水等の気象影響が含まれている.そこで本論文では,日常的に堤体の遮水機能の状態を把握するため,管理ダムの浸透量,貯水位,気象等の観測結果の整理・分析を行い,浸透量の貯水位との関係性と降雨応答特性を考慮した浸透量評価の汎用モデルの構築を試みた.その結果,気象条件や浸透量の計測状況の異なるダムへの現況再現によりモデルの妥当性を確認した.また,汎用モデルの計算値から堤体の基底浸透量が分離できることから,浸透量の異常判定など堤体安全性評価に適用できることを示唆した.

  • 押川 英夫, 片山 晴登, 小松 利光
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1267-I_1272
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     本研究では,下筌ダムと松原ダムの2基のダムが直列配置されている筑後川上流域において,令和2年7月豪雨災害時の実績降雨をベースとした数値シミュレーションにより,既存ダムを有効活用した際の治水効果について検討した.具体的には,直列配置されたダム群において上流側のダムで非常用洪水吐きからの越流を許容するカスケード方式を考慮して,上流側の下筌ダムの計画最大放流量(ゲートの操作規則に相当)を変更することによる治水効果について,系統的な数値実験により検討した.その結果,下筌ダムの計画最大放流量の変更により筑後川上流域の治水能力が強化されることが分かった.また,下筌ダムの現在の計画最大放流量350m3/sは降雨分布によらず洪水制御能力が比較的高く,特に筑後川上流部に一様な雨が降った場合において妥当な値であることが分かった.さらに,ダムが配置されていない支川(本研究では杖立側)からの流入量がカスケード方式の洪水制御能力へ及ぼす影響が明らかとなった.

  • 西島 星蓮, 中津川 誠
    2022 年 78 巻 2 号 p. I_1273-I_1278
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,気候変動に伴う積雪寒冷地の洪水特性を念頭に,ダムの連携による水害リスクの軽減方策を提案することである.積雪寒冷地の多目的ダムでは,夏期の大雨だけでなく春先の融雪と降雨によっても異常洪水時防災操作が行われることがある.本研究では,d4PDFの降雨量と気温のアンサンブルデータを用い,北海道の豊平川上流部にある2つのダムを対象に,現在気候と将来気候における降雨と融雪がもたらす異常洪水時防災操作の発生頻度を推算した.また,両ダムの機能と水文特性を勘案し,容量の振替によって治水安全度の向上が可能かを検証した.結果として,気候変動に対する適応策としてダムの連携が有効であることを示した.

  • 2022 年 78 巻 2 号 p. I_1279-I_1281
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/25
    ジャーナル フリー

     土木学会論文集 B1(水工学)Vol. 77,No. 2,小坂田ゆかり・中北英一(2021):線状対流系の擬似温暖化実験に周辺擾乱が与える影響と環境場指標の解析

     上記論文中の式(1b)及び対応する図と文章に不備がありましたので,下記の通り修正いたします.

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