日本歯科理工学会誌
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32 巻, 1 号
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原著
  • 神田 昌巳, 上林 毅, 松﨑 紘一, 三上 格, 荘村 泰治
    2013 年 32 巻 1 号 p. 41-51
    発行日: 2013/01/25
    公開日: 2017/07/04
    ジャーナル フリー
     歯科用コーンビームCT(以下CBCT)のピクセル値が医科用CT(以下MDCT)のCT値に相応する骨質のパラメータとして評価できるか検証するため乾燥頭蓋骨に16個の石膏マーカーを取り付け,MDCT1機種とCBCT6機種で空気中と水中で撮影した.  空気中ではMDCTで撮影したマーカーのCT値の平均±標準偏差は1954±87,変動係数(以下CV)は0.045で変動は少なかったが,CBCTの一例のピクセル値は2815±305,CV=0.108とMDCTのCT値から大きくずれ変動も大きかった.他のCBCTも同様の傾向を示した.水中ではMDCTのCT値は空気中に対し8%低下したが,CBCTのピクセル値は機種により38〜67%に低下し,CVは大幅に増加した.以上の結果から,今回実験したCBCTのピクセル値はCT値に相当するパラメータとして骨質を正しく評価できないと考えられた.
  • 服部 雅之, 武本 真治, 河田 英司, 吉成 正雄, 小田 豊
    原稿種別: 本文
    2013 年 32 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 2013/01/25
    公開日: 2017/07/04
    ジャーナル フリー
    破折した歯根を保存するため,接着技法を応用した治療方法が報告されている.しかし,接着強度や耐久性が治療の成否を左右する重要な要因と思われるにもかかわらず,その評価については不明な点も多い.そこで本研究では,破折した歯根を4-META/MMA-TBB系接着性レジンセメントを用いて接着し,ファイバーポストを用いて支台築造を行い,繰返し衝撃荷重を10,000回負荷した後の破断荷重を測定することによって,接着された破折歯根の耐久性を評価した.繰返し衝撃荷重を負荷した後の最大破断荷重は,衝撃荷重の大小に関わらず未破折歯と接着歯で有意差は認められなかった.また,繰返し衝撃荷重が大きい場合に初亀裂の発生荷重は低下したものの,未破折歯と接着歯で差異が認められなかった.さらに,衝撃荷重が大きい場合,未破折歯,接着歯に関わらずコアの破損割合が増加した.したがって,接着された破折歯根の耐久性は,未破折歯と同等と考えられた.
  • 河村 純, 小島 之夫, 福井 壽男
    原稿種別: 本文
    2013 年 32 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 2013/01/25
    公開日: 2017/07/04
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,犬歯を牽引する矯正用スプリングの性能を評価することである.使用したスプリングはチタンモリブデン合金(TMA)製のワイヤーで,垂直ループにゲーブルベンド,アンチローテーションベンド,ティップバックベンドを付与した.このスプリングにおける犬歯と固定歯の長時間にわたる矯正移動を,有限要素法によってシミュレーションした.その結果,犬歯は,最初傾斜と回転し,その後整直していった.ゲーブルベンドとアンチローテーションベンドの大きさが適切な場合,時間が経過した後,犬歯は歯体移動した.また,ティップバックベンドは固定歯の傾斜を防止するのに有効であった.固定歯の傾斜を防ぎ,犬歯を歯体移動させる最適な3つの曲げ角度を決定することができた.さらに,ヤング率の低いTMAワイヤーを用いることで,約2mmの空隙閉鎖を行うことができた.
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