リン酸カルシウム材料は有用なエレクトレットとなる.エレクトレットとは直流電圧印加(ポーリング)により正・負の電荷が分離した材料である.表面に高密度の誘起電荷をもつ材料で,生体内では局所的に周囲の無機・有機物質や細胞,組織に有益な効果を及ぼす.これまでに骨再生を始めとして,血管内皮や末梢神経の再生,あるいは創傷被覆材としての有効性,すなわちその優れたバイオマニピュレーション能を明らかにしてきた.本稿においてはエレクトレットの作製と作動原理,基礎的な性質,およびバイオメディカルな有効性について概説する.
ハンドピース用潤滑剤スプレーの汚染が,義歯床用レジン同士の接着時における微小引張接着強さに及ぼす影響,および種々の被着面処理による接着性の回復効果について検討した.MMA系義歯床用レジンを重合し,ブロック状に成形した.切断面の片面を耐水研磨紙#120で研削し,ハンドピース用潤滑剤スプレーを噴霧した.各噴霧面に14種類の異なる被着面処理を施した後,MMA系常温重合レジンを用いて2つのブロックを接着し,汚染のないコントロールと比較した.潤滑剤スプレーによる汚染はコントロール(58.3±5.4 MPa)に比べ有意に低い微小引張接着強さ(23.4±5.3 MPa)を示した(p<0.05).汚染後,重曹水溶液への浸漬または超音波洗浄,および市販義歯洗浄剤への超音波洗浄により,コントロールと同等か,それよりも高い微小引張接着強さを示した.
本研究では,色調適合性を有するシングルシェードのコンポジットレジン(CR)材料について,ダイナミック超微小硬度計を用いた表面硬さ試験および万能試験機を用いた曲げ試験を実施することで,機械的性質を評価した.シングルシェードのCR材料4種類とそれに対応するブロッカー4種類に対して試験を行った.また,対照群として従来のCR材料6種類に対しても同様の試験を行い,計14種類のCR材料に対して機械的性質の比較を行った.その結果,ダイナミック硬さ,押し込み弾性係数および曲げ弾性係数はフィラー含有率と正の相関を示した.一方で,曲げ強さはフィラー含有率と相関を認めなかった.また,機械的性質において,シングルシェードのCR材料と従来のCR材料の間に差は認められなかった.そのことから,これらの新規材料は従来の材料と同様の条件で適応可能であると考えられる.
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