日本歯科理工学会誌
Online ISSN : 2188-417X
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41 巻, 1 号
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総説
  • 二瓶 智太郎
    原稿種別: 総説
    2022 年 41 巻 1 号 p. 43-45
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/03/17
    ジャーナル フリー

    歯質接着は歯科臨床において頻繁に行われる操作である.また,歯冠修復の基本は,歯質と修復装置との一体化であり,臨床予後に大きく影響するのは接着操作となる.今回のシンポジウムでは,歯質との接着について開講した.

  • 亀山 敦史
    原稿種別: 総説
    2022 年 41 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/03/17
    ジャーナル フリー

    20世紀初頭にBlackによって体系化された齲蝕治療に対する保存修復技法は,歯質接着材料の進歩・発展とともにMID(Minimal Intervention Dentistry)型,すなわち接着技術を生かした必要最小限の切削による歯質保存的な修復技法へと変換を遂げた.齲蝕治療に限らず,現在では歯科のあらゆる領域で接着技法が活用されている.一方で,従来のように保持形態を付与する窩洞形態とは違い,接着に依存する治療法はチェアサイドで行う自らの接着技術を視覚的に捕らえることが難しい.とはいえ,接着状態の良否が臨床成績に直結しうることから,接着状態に悪影響を及ぼしうる種々の因子をいかに察知し排除するかを常に意識しながら歯科診療に臨む必要がある.本稿では被着歯面に残存するスミヤー層や接着材料に含有される溶媒,接着環境,光照射器による重合や被着面の汚染についてこれまでに報告されている文献をもとに考え,今後の展望を述べる.

  • 八若 保孝
    原稿種別: 総説
    2022 年 41 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/03/17
    ジャーナル フリー

    小児歯科において,歯冠修復,予防塡塞,脱臼歯の暫間固定,咬合誘導などで接着が深く関係する.よりよい接着は,臨床的に望まれる要素であるが,小児の場合,口腔が小さく,それに比較して唾液分泌が多いため,防湿への配慮が重要となる.よって,ラバーダム防湿が日常的に実施されている.乳歯は歯質が薄く,咬耗も認められるため,接着面積の減少への対応も考慮する必要がある.また,石灰化度の関係などから,永久歯に比較して,乳歯の齲蝕感受性は高い傾向にある.さらに清掃状態不良で,修復材料の周囲に二次齲蝕が生じ,修復材料の脱離につながる.以上のことから,小児歯科臨床においては,優れた接着は必要な要素ではあるが,それだけではなく,小児の口腔環境に適応した材料の選択が最も重要である.

  • 小峰 太
    原稿種別: 総説
    2022 年 41 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/03/17
    ジャーナル フリー

    歯冠補綴治療において,歯冠補綴装置は装着材料を用いて支台歯に装着され,長期間にわたり口腔内で機能することが重要である.現在,セラミック修復において,高い機械的強度,優れた生体親和性を持つジルコニアが,クラウン・ブリッジ,インプラントアバットメントおよび上部構造など幅広く臨床応用されている.歯の保存の観点から,歯質削除量の少ないジルコニア接着ブリッジが紹介されているが,その際には支台歯と強固で安定したレジン接着が必須となる.ジルコニア接着ブリッジの成功には,安定した接着のみならず,適切な臨床的なプロトコルが必要であると報告されている.そこで,臨床におけるジルコニア接着ブリッジの長期安定性を獲得するための要件などについて紹介し,今後のジルコニア接着ブリッジの可能性について提示する.

  • 田上 直美
    原稿種別: 総説
    2022 年 41 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/03/17
    ジャーナル フリー

    生体の一器官である,実質欠損が生じた「歯」に対し,人工的な材料を接着させ,再び十二分に機能させることは難しい.歯科材料は,厳密な品質管理のもとで作製されるため製造品質がほぼ均一であるが,「歯」の物性は種,遺伝,環境などに影響を受け,さらに個体によって異なる.また,同一個体内でも生活歯か失活歯かによってその質は大きく変化する.個人に対し,また一本一本の歯に対して,適切な材料を選択し,適切な方法で修復するのは至難の業であろう.歯冠修復に接着技法は必須である.接着技法の進歩は,一昔前では考えられないような審美性や機能性を歯科臨床にもたらした.高い接着強さを有するボンディング材やレジンセメントによる歯冠修復は脱離せず長期間機能することができる.しかしながら,「高すぎる接着強さ」は時として被着体破壊を惹起し,最悪の場合,歯質という被着体が破壊される.本稿では,歯を活かすための「歯冠修復と接着」がどうあるべきかを臨床的に論及する.

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