日本看護技術学会誌
Online ISSN : 2423-8511
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2 巻, 1 号
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原著
  • -健康成人女性を対象にした入浴との比較検討-
    橋本 みづほ, 佐伯 由香
    2003 年 2 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー

    清拭の皮膚の水分量 ・ 油分量 ・ pHならびに清浄度 (ATP) に及ぼす影響を調べるため, 清拭前から120分後までの経時的な変化を測定し, 一般的な清潔形態である入浴と比較検討した. 対象は20代から40代の健康な女性7名とした. その結果, ①入浴群の水分量は直後に一旦増加した後60分後には有意に減少し, 実験前値より低値を示した, ②入浴群の油分量は120分後まで有意に減少し, 減少程度は清拭群よりも有意に大きかった, ③ pHは両群ともに直後に有意に増加したが清拭群では30分後に戻った, ④ ATPは両群ともに直後に有意に減少したが120分後には戻り, 減少程度は入浴群の方が大きい傾向があった. 以上の結果, 入浴に比較して清拭の方が水分量 ・ 油分量 ・ pH ・ ATPの変化量が少なく, 皮膚が本来持っている機能に与える影響が少ないこと, その一方で清拭の方が除菌効果および皮脂の除去に関する効果が低いことが示唆された.

  • 谷田 恵子
    2003 年 2 巻 1 号 p. 69-75
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
     輻射熱による実験的疼痛の閾値が真性ラベンダーオイルの芳香吸入によって上昇するか否かを検証することを目的として, 健常成人女性27名を対象に実験研究を行なった. 実験群は10分間の安静後に疼痛閾値を測定し, その後, 自然揮発させた真性ラベンダーオイルの芳香を自然呼吸で10分間吸入して再度疼痛閾値を測定した. 対照群は芳香の無い条件で同様の実験を行った. また被験者の真性ラベンダーの香りに対する好みを7段階の順位尺度を用いて評価し, 疼痛閾値の変化率と香りの嗜好の程度との関係を検討した. その結果, 芳香吸入によって疼痛閾値は有意に上昇し, 真性ラベンダーオイルの芳香の吸入には疼痛閾値を上昇させる効果があることを確認した. また, 香りに対する嗜好の程度と閾値変化の割合との間には有意な相関関係は認められなかったことから, その効果は薬理的作用が主であることが推測された. 本研究により, 芳香療法が疼痛緩和の看護介入として有用であることを示唆できた.
  • 佐伯 由香, 田中 裕二
    2003 年 2 巻 1 号 p. 76-83
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
     本研究は速い痛み (pricking pain) の緩和に音楽や芳香療法が有効であるか否か調べることを目的とした. 健康な女性 (n=25) を対象とした. 痛みの客観的な評価として皮膚コンダクタンスならびに皮膚血流量を測定し, 主観的な痛み感覚はVASを用いて評価した. 人為的な痛み刺激は電気刺激を上腕部あるいは前腕部に与えた. 緩和方法として氷嚢を用いて刺激部位を冷やす冷罨法, 湯たんぽを用いて温める温罨法, 音楽を聞いている状態, 香りを嗅いでいる状態で同様の刺激を行い, 反応の大きさを比較検討した. いずれの刺激部位においても温罨法により主観的な痛み感覚ならびに自律神経反応は増強し, 冷罨法により反応や痛み感覚は減少した. 芳香療法や音楽療法は多少緩和効果が認められたが, 冷罨法と比較するとその効果は小さかった. 以上の結果より, 速い痛みを緩和する方法としては冷罨法が最も効果的で, 芳香療法や音楽療法はある程度の期間持続するような痛みに効果が期待できると考えられた.
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