日本組織適合性学会誌
Online ISSN : 2187-4239
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22 巻, 1 号
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総説
  • 今村 悠哉, 春田 美和, 冨田 雄介, 松村 桂子, 池田 徳典, 高松 孝太郎, 西村 泰治, 千住 覚
    2015 年 22 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    癌免疫療法ではHLA抗原により提示された癌抗原ペプチド特異的なT細胞を誘導することが最も重要であり,これを誘導するために樹状細胞(DC)が有用である。そこで我々はヒトの単球を生体外で増殖させることにより,少量の末梢血から大量のDCを作成する方法を開発した。末梢血より分離したCD14+単球にレンチウイルスでcMYCBMI1遺伝子を導入した後,M-CSFとGM-CSFの存在下で培養すると3–5週後に最大1,000倍に増殖させることができた。我々は,この細胞をCD14-MLと命名した。健常人ドナー12人中9人からCD14-MLが樹立でき,CD14-MLにIL-4とTNFαまたはOK432を添加するとDC(CD14-ML-DC)に分化した。このCD14-ML-DCにCMVペプチドあるいはMART1ペプチドを負荷し,末梢血から分離したCD8+T細胞と共培養することで抗原特異的なT細胞ラインを誘導することができた。CD14-ML誘導法はin vitroでヒトの末梢血単球を増殖可能とした初めての技術であり,患者負担を軽減するDC免疫療法への応用が期待できる。
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