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田中 実, 東 以和美
セッションID: 1D21
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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ダイヤモンドや立方晶系窒化ホウ素などの高硬度材料は、砥粒や加工部材として切削研磨加工など幅広い分野において利用されている。こうした材料同様に高硬度、そして高融点であり汎用性のある高ホウ化物結晶を作製した。高ホウ化物結晶としてAl_-_Mg_-_B系B12正二十面体化合物結晶を、アルゴンガス置換雰囲気炉を用いたアルミニウムフラックス法による簡易手法で、1500℃のアルミニウム融液から作製した。Al_-_Bの二成分系にマグネシウムを添加することによってγ_-_AlB12型結晶(Al_から_1.4Mg_から_0.4B22)、AlMgB14結晶からなる結晶相を作製した。
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山田 高広, 山根 久典
セッションID: 1D22
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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窒化ガリウム(GaN)をベースとした高効率,高性能半導体薄膜デバイスの開発が盛んに行われており,ホモエピタキシャル基板としてのGaN単結晶に対するニーズが高まっている.今回,我々は窒素雰囲気中Na蒸気下のGa融液から透明柱状のGaN単結晶を成長させる合成手法を報告する.Ga融液は蒸気のNaを取り入れてNa-Ga融液を形成し,その融液からGaN単結晶が育成する.この方法で得られた六角柱状透明結晶は,結晶成長の初期段階で析出した坩堝界面付近部分も透明であり,Na-Ga混合融液を出発組成とする従来のNaフラックス法で合成した場合には初期に析出する坩堝界面のGaN微結晶が黒いことと対照的である.また,この手法を用いてGaNバルク単結晶の種結晶成長を試みた.その結果,種結晶成長が観察され,その育成した結晶部分は茶色の着色が見られるものの透明であった.
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宇佐美 徳隆, 沓掛 健太朗, 藤原 航三, 野瀬 嘉太郎, 中嶋 一雄
セッションID: 1D23
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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Siバルク多結晶は、太陽電池の最も実用的な材料であり、高効率化が大きな課題となっているが、そのアプローチとしては、多結晶基板の薄板化、高純度化、プロセス技術の改善などが主流である。しかしながら、結晶成長学的な手法により、バルク多結晶の構成要素である結晶粒方位・粒界性格分布・粒サイズなどを、自在に制御することが可能になれば、(1)簡便なプロセスによる均質な表面テクスチュア構造の作製、(2)結晶粒界におけるキャリア再結合の抑制、(3)粒内の結晶性の向上、(4)機械的強度の改善など、太陽電池の変換効率の改善に直結するさまざまな恩恵が期待できる。
本講演においては、我々が取り組んでいるSiバルク多結晶の組織制御に向けたさまざまな結晶学的な研究解説する。
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張 五星, 柳澤 和道
セッションID: 1D25
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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塩化亜鉛水溶液のpHを中性付近に調整すると少量の沈殿が生成するが,そのままオートクレーブ内で220℃まで加熱し,毎分1℃で徐冷することにより,数百μmに達する六角板状のsimonkolleite(Zn5(OH)8Cl2•H2O)結晶が生成した。加熱温度を低下させたり徐冷しない場合には,得られる結晶が小さくなったことから,沈殿が高温では完全に溶解し,徐冷することにより均一な溶液から核生成が起こり,その結晶核が徐冷中に成長したものと考えられる。得られたsimonkolleite結晶を空気中で仮焼すると,板状の形態を維持したまま,酸化亜鉛へと変化した。
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笠 晴也, 金高 健二, 西井 準治
セッションID: 1D26
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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ボード間やチップ間の伝送速度は、メタル配線から光配線に変えることで飛躍的に向上する。その光配線方法の1つとして導波路の使用が注目されている。導波路母材に屈折率の高いものを使用すると、光の閉じ込めが強く導波路の曲げ半径の微小化が可能になる。また、電気信号を光信号に変える受発光素子には価格の安さから、使われる波長帯が600 _から_850 nmになる可能性が高い。そこで我々は、高屈折率で、かつ可視域の光を伝搬できるシリコンナイトライド(SiN)の極微導波路の作製プロセスを研究している。SiN薄膜の成膜にはシラン(SiH4)を用いたCVD法が知られているが、原料の取り扱いが難しい。本研究では、安全性が高い有機液体であるトリスジメチルアミノシラン(TDMAS)を原料にしたプラズマCVD法によって、成膜条件の最適化による伝搬損失の低いSiN薄膜の作製とその導波路化について検討した。
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細梅 雅史, 戸田 健司, 上松 和義, 佐藤 峰夫
セッションID: 1D27
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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夜光物質は、暗闇でも見える時計の文字盤などに利用されてきた。近年、アルカリ土類アルミン酸塩に希土類元素を付活し、放射性同位元素を一切含まなくても従来の蛍光体に比べ高輝度な長残光特性を示す蛍光体が報告されている。紫外線を長残光で発する蛍光体を合成しこれを励起源として、既存の蛍光体を発光させられれば、より多くの発光色をもった長残光体が得られる。そこで本研究では、Sr
3La
2Si
6O
18に発光イオンCe
3+を付活した紫外長残光蛍光体を合成し、その特性を評価した。
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岡田 繁, 森 孝雄, 宍戸 統悦, 飯泉 清賢, 工藤 邦男, 中嶋 一雄
セッションID: 1PD01
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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アルゴン雰囲気中で、Al或いはCu融剤を用いてAlBeB22,AlMgB22, AlxCuyB105(X=2.8-3.3,Y=2.9-1.0),AlCuB25及びCuB23単結晶を育成した。得られた結晶は、2.5から5.2mm程度の大きさで、板状或いは棒状である。ただし、CuB23結晶は約30μmの大きさであった。以上得られた結晶について、硬さ、酸化抵抗性と低温度の磁化率を調べた。それら得られた結果について議論する。
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宍戸 統悦, 岡田 繁, 葉 金花, 工藤 邦男, 飯泉 清賢, 野村 明子, 菅原 孝昌, 小島 秀伸, 佐原 亮二, 湯葢 邦男, 手嶋 ...
セッションID: 1PD02
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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R-Rh-B系に属する化合物は磁性、超伝導、およびこれらの共存、硬さなど、多くの物性面から興味がもたれる。溶融金属をフラックスに用いて、R-Rh-B系化合物の単結晶育成を試み、得られた単結晶について異方性を含め評価した。
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手嶋 勝弥, 下平 朋幸, 鈴木 孝臣, 湯葢 邦夫, 宍戸 統悦, 大石 修治
セッションID: 1PD03
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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ウィスカー,チューブおよびファイバーなどの1次元の材料は,機械的,電子的あるいは化学的特性などを活かして,さまざまな応用が期待される。特に,Na
2Ti
6O
13ウィスカーは,耐熱性や耐摩耗性に優れ,化学的に安定な物質であり,光触媒特性ももつ。Na
2Ti
6O
13は,単斜晶系に属し,トンネル構造をもつ。本研究では,塩化ナトリウムをフラックスとして用いた急冷法により,Na
2Ti
6O
13ウィスカーを育成した。生成したウィスカーは,無色透明であった。育成したウィスカーはXRDを用いて同定し,SEMにより微細構造を観察した。さらに,ウィスカー成長に及ぼすフラックス冷却速度の影響を調査した。
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新名 優貴, 手嶋 勝弥, 鈴木 孝臣, 石澤 伸夫, 大石 修治
セッションID: 1PD04
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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K
4Nb
6O
17は斜方晶系に属し,層状構造をもつ。K
4Nb
6O
17は光触媒特性をもつ物質として知られている。これまでに,固相反応法,チョクラルスキー法,水熱合成法あるいはK
2CO
3フラックス法により,K
4Nb
6O
17結晶は育成されている。環境調和を目指し,本研究では天然に豊富に存在する塩化物(KClなど)をフラックスとして用いた蒸発法や徐冷法にて,K
4Nb
6O
17結晶を育成した。生成した結晶は無色透明の薄板状であった。生成する結晶相は,溶質濃度に依存することがわかった。
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日高 美樹, 手嶋 勝弥, 鈴木 孝臣, 大石 修治
セッションID: 1PD05
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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ルビー(Al
2O
3:Cr)は,酸化アルミニウム結晶(菱面体晶系)に微量のクロムがドープされた赤色宝石として広く知られている。ルビーをはじめとするAl
2O
3結晶は,高融点,高硬度や化学的安定性などの性質を利用した工業用途も多い。本研究では,酸化モリブデン系フラックス蒸発法により,ルビー結晶皮膜をAl
2O
3表面に形成した。多結晶Al
2O
3材料表面に成長したルビー結晶層は,複数のルビー単結晶からなることが観察された。個々の結晶は平坦な面で囲まれており,大きく発達した結晶は100 µm以上に達した。一方,Al
2O
3単結晶表面では,育成したルビー皮膜がエピタキシャル成長する様子が観察された。
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敷根 延隆, 手嶋 勝弥, 鈴木 孝臣, 遠藤 守信, 大石 修治
セッションID: 1PD06
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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近年,クリーンエネルギーの研究開発が盛んに実施されている。なかでも,固体高分子型燃料電池(PEFC)は小型動力源として期待される。現在,PEFCセルには触媒として白金が用いられ,炭素繊維シートに担持されている。本研究では,気相法により酸化モリブデン(MoO
3)ナノ結晶を育成し,ナノカーボン材料と複合化することを目的とした。ナノサイズまで小型化することで,白金同等の触媒活性が得られることが期待できる。気相法でMoO
3結晶を育成したところ,原料組成や加熱温度などの育成条件に依存して,ナノカーボン表面に晶出するMoO
3結晶の粒径は変化し,最小約10 nmまで小型化することができた。
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大谷 茂樹, 相澤 俊
セッションID: 1PD07
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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良質なGaN膜は、格子定数、熱膨張率の一致するZrB2単結晶上に成長する。しかしながら、高い融点(3220℃)のため、大型結晶の育成は容易ではない。従って、格子定数、熱膨張が近く、育成温度が400℃低い炭化チタン(TiC)に注目し、良質な単結晶の育成とその基板上への窒化物膜の成長を試みた。
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垣内 健児, 工藤 賢一
セッションID: 1PD08
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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La3Ta0.5Ga5.5O14単結晶は高温圧力センサに利用され、今度、利用拡大が期待される圧電材料であるが、化学量論組成では分解融解性を有する等の報告がありその詳細は明らかでない。ゾーンレベリング効果によって分解融解性の単結晶育成に優位性のあるフローティングゾーン法(FZ法)を用いて育成を行い、育成中の融液組成、成長した単結晶組成について解析した。
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秋山 秀敏, イスラム ナズムル, 綿打 敏司, 田中 功
セッションID: 1PD09
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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Ca12Al14O33は、FZ法による育成では溶融帯の固液界面が凹となるため育成速度が0.2 mm/hより速いと溶融帯中の気泡が結晶に取り込まれ易く、透明な結晶を育成することが困難であると報告されている。我々は固液界面の形状と結晶径との相関に着目し、結晶中の気泡の残存と固液界面の形状との関係を調べた。育成結晶径を5から25mm範囲で変化させた条件で育成し、育成結晶に残存する気泡を調べた。また各条件での溶融帯を急冷固化し、固液界面の形状変化も調べた。これらの結果から気泡の残存について固液界面形状と結晶径の相関について議論した。
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掛本 博文, 樋口 透, 柴田 肇, 和田 智志, 鶴見 敬章
セッションID: 1PD10
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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beta-FeSi2はこれまで, 熱電素子への応用が提案されている。しかし, 結晶中のFe-Si結合によりsmall polaronが形成され, 移動度(v)は減少し, 性能指数Z=m*2/3(m/kph) (m*:有効質量, v:移動度, kph:フォノンの熱伝導率)は小さな値となる。しかし, 電子密度分布の解析から, a軸に沿って, Fe, Si層が交互に並んだ構造になっており, [100]配向化を行うことで, b-c面内のFe-Si結合を介さない伝導パスが形成され, vの増大が見出された。本報告では, beta-FeSi2 [100]配向膜の作製を行い, 輸送特性および熱電性能指数の向上を検討したので報告する。
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堀江 忠司, 三井 実, 有元 圭介, 山中 淳二, 中川 清和
セッションID: 1PD11
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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多結晶Si薄膜の低温形成は液晶ディスプレイの大面積化に必要な技術である。試料構造は石英基板上にアモルファスSi膜を100 nm堆積し、さらにNiを10-30 nm蒸着させた。アニールを行うとNiの拡散が起こり、本来結晶化しない温度域(500℃以下)で結晶化が起こることが知られている。この結晶方法は金属誘起固相成長(MILC)法と呼ばれているが結晶過程については未だ解明されていない。この結晶化過程を解明するため、アニール時間ごとのSi膜の変化やNi拡散の様子を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察を行った。
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野澤 明子, 三井 実, 有元 圭介, 中川 清和, 宇佐美 徳隆, 福田 幸夫
セッションID: 1PD12
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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現在、Siに比べキャリア移動度の高い歪SiGeをチャネル部に使用した、歪SiGeチャネルFETの開発が期待されている。酸化膜の成膜時には、結晶構造の違いにより酸化膜と半導体界面に界面準位が生じるが、この界面準位はクーロン散乱を引き起こし、移動度を低下させるのでデバイスの性能に大きな影響を及ぼす。したがって、界面準位密度の評価及びその制御は、SiGe半導体素子の更なる高性能化を図る上で重要である。そこで我々は、Si基板上に分子線成長法を用いてSi1-xGex膜を成長し、酸化時間を変えてdry酸化をすることにより、界面状態の異なったMOS構造試料を作製した。その後、LCRメータによりC-V、G-V特性を測定し、それぞれの試料における界面準位密度を導出して評価を行った。
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工藤 邦男, 岡田 繁, 飯泉 清賢, 宍戸 統悦
セッションID: 1PD13
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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REB50化合物では、未知の純安定化合物であるために、近年までその特性は報告されていない。しかしREB50化合物にSiを添加することで、REB50-type化合物がFZ法で単結晶の育成やアークメルト法による合成によって得られ、その構造解析と、磁気特性が報告されている。しかしそれら化合物の機械的と熱的性質については報告例が見当たらない。本研究では、Siを添加したREB50-type化合物をアークメルト法で合成し、化合物の機械的、熱的性質について検討した。その結果、硬さは、REの原子半径の増加とともに硬くなり、耐酸化抵抗は、REの融点に依存し酸化開始温度が高くなることが分かった。
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山下 勲, 津久間 孝次
セッションID: 2D01
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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種々のHIP処理条件を系統的に変化させることによって3Y-TZPセラミックスの高強度化機構を検討した.HIP焼結体の強度は,一次焼結温度の低下およびHIP処理温度の上昇に伴い増加した.HIP焼結体強度は,一次焼結体粒径と相関があることがわかった.破壊源となる粗大気孔が超塑性変形による粒界すべりによって収縮するというHIP高強度化モデルを提案し,数値計算を実施した結果,HIP焼結体強度の一次焼結体粒径,HIP温度依存性を定性的に説明できることがわかった.
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山下 勲, 津久間 孝次, 東條 壮男, 川路 均, 阿竹 徹
セッションID: 2D02
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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高輝度放射光XRDを用いたY-TZP相分離構造の精密構造解析を実施した.3Y, 4YのRietveld解析の結果,平衡状態図に従ったC相+T相モデルではプロファイルは再現できず,C相もテトラゴナリティ(c/a)が1に近いT相としたテトラ2相モデルによって解析できた.テトラ2相モデルを用いて解析した結果,3Y,4Y-TZPについては,Y濃度の低いT相(t1相)と高いT相(t2相)が共存する状態であることがわかった.いずれの組成においても焼結温度の上昇と共にT相のY濃度が変化する様子が観測された.2Y-TZPにおいては,焼結温度の上昇に伴ってY濃度は若干低下し,3Y,4Y-TZPでは,焼結温度の上昇と共にt1相のY濃度は低下,t2相のY濃度は上昇する傾向が観測された.水熱劣化特性等の種々の焼結体特性と相分離構造との相関を議論した.
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金 成浩, 関野 徹, 楠瀬 尚史, Ari T. Hirvonen
セッションID: 2D03
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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セラミックは耐熱性、耐酸化性、断熱性などの優れた特性を持つ。そのためセラミックはガスタービンやジェットエンジンなどの熱遮蔽コーティングとして用いられている。また熱遮蔽コーティング材料としてはその他に、低熱伝導率および高熱膨張係数という特徴が求められている。このような材料としてこれまで主にジルコニアが用いられてきた。本研究では酸化物との反応性が低く界面特性が弱いモナザイトを複合化させることにより高温での安定性、低熱伝導率の付与に試みた。さらに合成した複合体に対して微細構造観察、熱的特性について検討した。
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北岡 諭, 川島 直樹, 前田 啓司, 久野 孝希, 野口 欣紀
セッションID: 2D04
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
フリー
半導体樹脂封止システム用の型材料には,エポキシ樹脂に対して優れた離型性を有することが切望されている.本研究では,型表面と樹脂間の酸・塩基反応抑制の観点から,セラミックス材料に高離型性を発現させる方法について報告する.
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山田 基宏, 李 採喆, 安井 利明, 福本 昌宏, 高橋 小弥太
セッションID: 2D05
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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窒化アルミニウム(AlN)は高熱伝導性や耐プラズマ特性など優れた特性をもつ材料であり、種々の用途への適用が期待されている。本研究ではAlNを保護皮膜として適用する目的で、溶射法を用いたAlN皮膜、特に100μm程度の厚膜作製を試みた。特に、本研究では金属元素粉末を原料とし、窒素プラズマとの反応により窒化物を形成する「反応性プラズマ溶射法」を用いて実験を行った。原料にAl粉末を用いた場合、窒化反応過程における粒子の凝集が問題となったが、原料として機械的混合(MA)を施したAl/AlN混合粉末を用いることにより、凝集を抑制し、ほぼ完全にAlN相からなる皮膜の作製が可能であった。
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楠瀬 尚史, 坂柳 伸彰, 関野 徹
セッションID: 2D06
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
フリー
ホウ酸、シリカ、カーボン粉末を出発原料として用い、窒素雰囲気中で熱処理を行うことにより、SiC/BNナノ複合粉末の合成を行った。まず、800℃でホウ酸とシリカが反応し、ホウケイ酸ガラスが生成する。このホウケイ酸ガラスは、1550℃以上で炭素還元窒化され、SiC/BNナノ複合粉末が合成される。
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松平 恒昭, 和田 匡史, 北岡 諭, 中條 幸司, 鍵谷 幸生
セッションID: 2D07
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
フリー
機能性Environmental Barrier Coating膜の開発において,耐酸化性改善効果(腐食種吸着・拡散抑制等)を明らかにするためには,セラミックコーティング膜の酸素透過率を正確に評価する必要がある.
そこで,1700℃級の超高温においてキャリアガス中の酸素および水蒸気を低レベルに低減した条件下で,セラミックス膜の酸素透過率を評価した.
アルミナ等,典型的なセラミックス膜の超高温における酸素透過率評価結果,および外部場付与の酸素透過性に及ぼす影響を評価した結果等を報告する.
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中川 翼, 坂口 勲, 柴田 直哉, 松永 克志, 山本 剛久, 羽田 肇, 幾原 雄一
セッションID: 2D08
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
フリー
転位や粒界などの格子欠陥においては、しばしば原子の拡散が完全結晶内に比べて非常に高速になり、比較的低温下における材料の劣化や変形を引き起こす重要な因子の一つとなることが知られている。一方、このような格子欠陥における高速拡散を利用して、ナノオーダーの領域に、マトリックス中に無い特性を付加する試みもなされている。しかし、定量的な評価が難しいことや欠陥構造の複雑さから、欠陥領域の拡散のメカニズムについては不明な点が多く残されている。本研究では、低次元であり、単純な格子欠陥である転位を高密度・高配向に導入したアルミナ単結晶(サファイヤ)を用いて、転位拡散の定量的な評価を行った。
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中村 馨, 溝口 照康, 柴田 直哉, 松永 克志, 山本 剛久, 幾原 雄一
セッションID: 2D09
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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粒界すべりは多結晶材料の高温変形における重要な素過程の一つと考えられているが、原子レベルでの知見は未だ不十分である。そこで本研究では、セラミックス粒界における粒界すべりの原子論的メカニズムを理解する為に、代表的な高温構造用セラミックスであるアルミナの対応格子粒界に分類されるΣ13粒界をモデルとして第一原理バンド計算による粒界すべりシミュレーションを行った。すべり変形中の粒界原子構造の発展を議論すると共に、化学結合状態計算を行う事で、粒界コアにおける特異なAl-O結合が粒界すべり変形挙動に大きな影響を及ぼす事が明らかになった。
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日向 秀樹, 吉田 克己, 近藤 直樹, 北 英紀, 蒲 隆弘
セッションID: 2D17
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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ZrO2を添加した反応焼結窒化ケイ素の作製を行った。ジルコニアの添加によってケイ素の窒化が促進されることが確認された。その窒化挙動は、ZrO2の添加量に応じて低温域での窒化反応が促進される。ZrO2を添加しない場合、1200℃では重量増加率が67%であった。一方、ジルコニアを添加した場合、その重量増加率は添加量とともに増加し20 mass%のZrO2を添加することで80%と明らかな窒化促進の効果が確認された。また、1300℃においては、さらに窒化促進の効果が顕著となっており、ZrO2を添加しない場合、69%であったのに対して10, 20 mass%のZrO2を添加した場合において約95%となった。またそれ以上の温度においても、重量増加率はほぼ同一の値を示した。
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矢吹 裕昌, 脇原 徹, 多々見 純一, 米屋 勝利, 目黒 竹司, 近藤 直樹, 日向 秀樹, 北 英紀
セッションID: 2D18
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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窒化ケイ素焼結体作製法の一つであるポスト反応焼結法は,焼結助剤を添加したSi圧粉体を直接窒化した後,さらに高温で緻密化させる手法で,低コストの生産プロセスとして注目されている。しかし,試料の均一な窒化や焼結体の高強度化が課題となっている。試料の均一な窒化の手法として,急激な発熱反応による窒化を抑制する希釈剤の添加が考えられるが,その影響の詳細については明らかとなっていない。そこで本研究では,ポスト反応焼結法における希釈剤としてSi
3N
4およびSiO
2添加が焼結体特性に及ぼす影響を解明し,緻密化と高強度化への指針を明らかにすることを目的とした。
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小林 亮太, 多々見 純一, 脇原 徹, 米屋 勝利, 目黒 竹司, 塗 溶, 後藤 孝
セッションID: 2D19
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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炭窒化ケイ素アルミニウム固溶体(Al-Si-C-N固溶体)を緻密なAlN-SiCコンポジットを熱処理して作製し,その微構造と特性を調査した.最初に,放電プラズマ焼結法(SPS)を用い,相対密度が99%以上の緻密なAlN-SiCコンポジットを作製した.このコンポジットは6Hと2HのAlN-SiC固溶体の混合物であった.次に,作製されたAlN-SiCコンポジットを高温で熱処理することにより緻密なAl-Si-C-N固溶体を試みた.得られた固溶体は2Hの固溶体単相であり,熱処理後の相対密度は99%以上であった.熱処理条件を適切にコントロールすることにより,いずれの組成でも緻密で均一なAl-Si-C-N固溶体の作製が可能であることが明らかとなった.
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前田 朋之, 平田 好洋, 鮫島 宗一郎, 松永 直樹, 吉留 俊史
セッションID: 2D20
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
会議録・要旨集
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平均粒径800 nmの炭化ケイ素粉体をpH 5の硝酸イッテルビウム水溶液(0.3 mol/l)に入れ、焼結助剤の200 nmアルミナ粉体を加えた。サスペンションには、分散剤としてポリアクリル酸を添加した。石膏型を用いてサスペンションを固化し、得られた成形体(SiC / Al
2O
3 / Yb
2O
3 = 1 / 0.017 / 0.007 体積比)をAr雰囲気中、1950℃で2時間、39 MPaで加圧焼結した。3×4×38 mmの試験片、15本の4点曲げ強度は585-726 MPaで、ワイブル係数は15.0であった。
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松澤 菜々子, 小林 亮太, 多々見 純一, 脇原 徹, 米屋 勝利, 目黒 竹司
セッションID: 2D21
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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粒径の異なる2種類のSiC粉末の配合比を変えて作製されたSiC多孔体の焼結収縮挙動をレーザー変位計でその場測定した。その結果、粉末の配合比によって、焼結挙動に差異が見られた。粗粒子の割合が多い試料は、1700℃の熱膨張以外の膨張量が相対的に大きく、成形体と比べて冷却後の寸法は大きくなった。また、焼結体の気孔径分布は微粒子の多い試料ほど小さくなり、重量減少も増加した。これは、粉末の不純物含有量や粒径の影響であると考えられる。
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小寺 康博, 白井 健士郎, 今井 崇人, 大柳 満之
セッションID: 2D22
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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メカニカルアロイ法を用いて合成した積層無秩序構造を有するナノSiCを緻密化することで、焼結助剤を添加せずとも緻密焼結の作製に保持温度1900℃の条件で成功している。そこで今回は、SiCと固溶体を形成するAlNを少量添加することで焼結温度の低温化を試みた。その結果、熱力学的に不安定な積層無秩序構造から安定な3C-SiCへの構造秩序化および緻密化にAlN添加が大きな影響を与えることが明らかになった。また、AlNを微量添加することで緻密化が比較的低温で進行し、保持温度1700℃の条件でナノ構造を有するSiC焼結体の作製に成功した。
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矢野 豊彦, 松本 英輝, 今井 雅三, 橋本 和明, 戸田 善朝
セッションID: 2D23
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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炭化ケイ素長繊維に炭素被覆材および炭化ケイ素マトリックスを、電気泳動法を応用して沈積し、乾燥後、積層して、ホットプレス法により長繊維強化材を作製した。また、別途、ドクターブレード法により、マトリックスシートを作製し、繊維と交互に積層したものをホットプレス焼結した。複合材の破壊特性ならびに、微細構造を明らかにした。
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中村 智, 田中 諭, 加藤 善二, 植松 敬三
セッションID: 3D01
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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脆性材料であるセラミックスは、焼結体の構造、特に焼結以前のプロセスで導入されてしまう亀裂や気孔などといった粗大欠陥によってその強度や信頼性などが支配される。また、最も一般的な成形法の一つであるプレス成形法では、原料粉体を顆粒状の二次原料とした後に金型などによって加圧し成形することが一般的である。そこで本研究では、プレス成形法における顆粒径に着目し、それが焼結体の内部構造と機械的特性に及ぼす影響について調査した。
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武藤 浩行, 西山 宏人, 二見 貴俊, 松田 厚範, 逆井 基次
セッションID: 3D02
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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焼結粒子径をナノサイズまで低減させることが出来れば、従来のセラミック材料とは異なる低温超塑性等の優れた機械的特性を引き出せると考えられる。本研究では、メカニカルミリング法を用いた微細粉末の作製、及びこれを用いたナノ焼結体の力学特性の評価を行う。
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嶋津 季朗, 三浦 正嗣, 井須 紀文, 小河 俊哉, 市川 明博, 石田 秀輝
セッションID: 3D03
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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Al2TiO5-MgTi2O5固溶体系セラミックスは、長大な柱状の粒子が複雑に生成し、粒界に多数の亀裂状の気孔が生じている微構造をもっており、高い内部摩擦を示す・応力に対して大きな歪みを示す等の特徴的な性質を持つ。また、この粒界に高分子を導入し、複合化することでヤング率を大幅に向上させることができ、その高分子の性質を制御することで、より高い内部摩擦を得ることもできる。一般に材料のヤング率と内部摩擦は一方を高くすれば一方は低下する相反する性質であるが、Al2TiO5-MgTi2O5固溶体-高分子複合系では高いヤング率と高い内部摩擦を共存させることができる。このような材料を、精密加工や電子顕微鏡等、高精度・高解像度が要求される加工・計測機器の構造材料として用いることで、より高いレベルでの加工・測定を可能にすると期待されている。
今回は、複合化に際しセラミックスの表面と高分子の関係について着目し、セラミックス表面を改質することで高分子との濡れ性・接着性を高めた場合の複合材料の各特性について検討を行った。シランカップリング剤による表面改質の結果、複合材料のヤング率は向上し、内部摩擦は低下した。また、研削加工面の表面粗さも低下した。高分子とセラミックス表面の接着性が向上したことでセラミックスの粒子同士を拘束する力が向上したためと考えられる。
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淡路 英夫, 千 承昊, 崔 成珉
セッションID: 3D04
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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セラミックスの破壊靱性を高めるためには粒内ナノ複合構造が必須である.そのために我々は溶液浸漬法を開発し,アルミナ・ニッケルナノ複合材料を作製した.さらにこの材料を適度にアニールすることによって高靱性ナノ複合材料とすることができた.高靱性となったナノ複合材料は大きな臨界損傷域寸法を有し,損傷域の拡大によって破壊エネルギを高め,その結果,破壊靱性を向上させることが示された.
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赤津 隆
セッションID: 3D05
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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薄膜などのような先端材料は,一般的な材料力学試験を適用することが困難な場合が多い.ナノインデンテーション法は,測定対象の寸法や形状に対する制限が小さいことから,それら先端材料に対する力学的特性評価法として,期待されている.本発表では,一般的なナノインデンターの構造や得られた押込み曲線に対する一般的な解析法における様々な問題点を指摘する.それらへの対処法として,押込み深さをキャリブレーションなしに正確に測定できるナノインデンターを開発し,理論やモデルに依存することなく押込み曲線から力学特性を導出できる逆解析法を開発した.それらの詳細について紹介する.
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吉田 智, Jean-Christophe SANGLEBOEUF, Tanguy ROUXEL
セッションID: 3D07
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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ダイヤモンド圧子をガラスやセラミックスに押し込むと圧痕が表面に形成され,圧痕周囲には残留応力が発生する。残留応力の大きさは塑性変形や高密度化などの圧痕形成メカニズムに影響を受け,高密度化は体積収縮を意味するため残留応力には寄与しないと予想される。本研究では,圧痕体積のうち高密度化された体積は熱処理により回復するという仮定のもと,原子間力顕微鏡を用いてビッカース圧痕の体積を熱処理前後で測定し,圧痕体積に対する高密度化体積の割合を決定した。さらに,押し込み荷重と,高密度化割合との関係を評価し,ビッカース圧痕周囲の残留応力の荷重依存性が,高密度化の荷重依存性と密接に関係していることを明らかにした。
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羽切 教雄, 石垣 知徳, 宮島 達也, 逆井 基次
セッションID: 3D08
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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従来の圧子圧入試験による材料の力学物性評価において、圧子と材料表面の接触面積の決定に弾性近似などの仮定を用いた手法が広く採用されており弾性率や硬度を決定する際、特に金属材料のような塑性変形が支配的な材料においては得られる物性値に大きな誤差を生じる。
本研究では、この問題を回避するため従来のインデンテーション装置に光学系を導入し、接触面積をその場定量計測する「顕微インデンター」を開発し、これを用いた弾塑性解析を提案する。
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宮崎 広行, 日向 秀樹, 平尾 喜代司, 大司 達樹
セッションID: 3D09
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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微細な組織の窒化ケイ素と粗大で針状粒を有する窒化ケイ素を用いて,押込み荷重を変化させてIF法で破壊靱性を評価した.破壊靱性をき裂長さでプロットすることにより,微細組織ではほとんどRカーブがないのに対し,粗大針状粒の組織では顕著なRカーブが認められた.4種の算出式を用いてIF法で測定した破壊靱性とSEPB法で求めた値とを比較したところ,Miyoshiの式は,微細な窒化ケイ素試料を高荷重で押し込んだ時にSEPBと一致し,一方,Niiharaの式は粗大な窒化ケイ素試料を低荷重で押し込んだときの値がSEPBと一致した.この結果をRカーブ挙動の観点から考察した.
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若林 千智, 松尾 陽太郎, 安田 公一, 塩田 忠
セッションID: 3D13
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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脆性材料の破壊強度分布として現在用いられているワイブル分布は,漸近極値分布の一種である.
一方,破壊源の欠陥寸法と破壊強度との関係は破壊力学においてよく知られている.
しかし強度信頼性解析において重要な情報である欠陥寸法分布とその最大値の分布との関係を,破壊強度分布と関係づけて理論的に明らかにした研究は、著者らによる漸近極値分布
に基づく解析を除くと,まだない.
そこで本研究では極値統計論に基づき上記の関係を明らかにし,欠陥寸法分布から推定される破壊強度分布と,ワイブル分布との関係を比較検討した.
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安田 公一, 古嶋 亮一, 松尾 陽太郎, 塩田 忠
セッションID: 3D14
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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多結晶黒鉛や耐火物の引張り試験や圧縮試験を行うと,応力/ひずみ曲線に非線形性が現れ,材料固有の塑性変形やマイクロクラックの発生などで説明されることが多い.今回,マイクロクラックだけが発生する材料を仮定して,その負荷/除荷試験における応力/ひずみ曲線の非線形挙動から,マイクロクラックの発生応力分布を求める理論を導出した.その方法を具体的に述べると,負荷中にマイクロクラックが発生すると,除荷時のヤング率が負荷時最初のヤング率よりも減少することになる.このヤング率の減少分と,応力/ひずみ曲線の形状から,マイクロクラックの発生応力分布を推定することができる.
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古嶋 亮一, 松尾 陽太郎, 塩田 忠, 安田 公一
セッションID: 3D15
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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多結晶黒鉛に圧縮応力を負荷・除荷した際の応力-歪曲線の傾きは負荷時、除荷時とも非線形を示す。この原因として、負荷時にはマイクロクラック発生によるヤング率の低下にる傾きの減少が、除荷時には試験片の端面拘束による影響よる傾きの変化が考えられる。そこで、圧縮応力負荷による材料の損傷評価を行う一手段として、負荷過程における応力-歪曲線の傾きの変化からマイクロクラック発生応力分布を計算し、損傷の定量化を行った。また、得られた結果を多結晶黒鉛の圧縮応力負荷過程におけるAE測定の結果と比較し、多結晶黒鉛材料における理論の適用の妥当性と問題点を検討した。
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吉田 克己, 日向 秀樹, 近藤 直樹, 北 英紀
セッションID: 3D16
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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黒鉛は層状構造を有し,摩擦係数が小さいため,固体潤滑剤として利用されているが,高温大気中では酸化されやすく,低温域での使用に限られる.黒鉛の耐酸化性を改善し,摩擦係数をより小さくできれば,固体潤滑剤として,さらに広く活用できる.本研究では,リン酸ランタン,リン酸アルミニウムおよびリン酸マグネシウムを用いて処理した黒鉛粉末を合成し,得られた黒鉛粉末の耐酸化性を評価した.その結果,リン酸塩処理することにより,未処理の黒鉛粉末よりも耐酸化性が向上することが明らかとなった.
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吉田 英弘, 森田 孝治, 金 炳男, 平賀 啓二郎
セッションID: 3D17
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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正方晶ジルコニア多結晶体(TZP)の高温変形は、0.1_から_数mol%という微量のカチオン添加によって大きく変化し、そのカチオン種や微細組織を制御することで超塑性の発現が可能となる。また、2種類のカチオンを添加することで、個々のカチオンの添加効果以上に顕著な高温延性を示す例も見出された。例えば、Ti
4+およびGe
4+を適量添加することによって、TZPの引張り伸びは約1000%に達する。微量のカチオンはTZPの結晶粒界に偏析する傾向があり、添加効果やその添加量依存性はカチオンの粒界偏析挙動に起因すると考えられる。微構造と変形挙動との関連から、TZPの高温延性向上の要因を考察する。
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吉田 道之, Arturo Dominguez-Rodriguez, 若井 史博
セッションID: 3D18
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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粒径70nmのY
2O
3安定化正方晶ZrO
2ナノセラミックス(nano Y-TZP)の1100℃における圧縮クリープ挙動を16-317MPaの応力域で調べた.nano Y-TZPのクリープでは,歪み速度と応力の間に超塑性金属材料に特有なS字関係が見出された.nano Y-TZPのクリープ変形における支配的な変形メカニズムは,高応力域では粒界すべり(n≈2),低応力域では拡散クリープ(n≈1)であることが,実験結果から示唆された.中間の応力域で観察された高い応力指数(n>3)は,しきい応力に起因するものと考えた.
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千原 健太朗, 稲葉 賢一, 篠田 豊, 赤津 隆, 若井 史博, 平塚 大佑, 多々見 純一, 米屋 勝利
セッションID: 3D19
発行日: 2006年
公開日: 2007/10/24
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共有結合性セラミックスの一種であるSi
3N
4および、それにAlとOが固溶したSiAlONの高温特性および耐食性は、粒界相の化学組成また体積分率等に著しい影響を受ける。炭素還元窒化法により合成されたナノ粉末を固相焼結したβ-SiAlON多結晶体は、粒界ガラス相を含まず耐食性に優れている。本研究では、β-SiAlON多結晶体を圧縮試験に供し、その高温変形特性を評価した。窒素雰囲気中で高温圧縮試験を行ったところ、β-SiAlON多結晶体は液相焼結した窒化ケイ素系材料に比べ 変形応力が10倍以上高く、また 液相の存在に由来するSiAlONの応力指数の遷移現象(shear-thickening)を示さなかった。試験後の試験片破面の観察より、β- SiAlONのガラス相を含まない粒界構造により、優れた高温強度がもたらされたことが示唆された。
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