昨年4月より,物理学会の会長を拝命しています.このたび,『大学の物理教育』誌上に巻頭言として一筆書かせていただく機会を頂戴しました.『大学の物理教育』は,1994年の創刊以来今日に至るまで途切れることなく,現在は年3回の
1.はじめに
基礎的な物理実験の新しいテーマとして,よい精度で音速を測定する実験を立ち上げた.この実習は大部屋で行うので,他の実験の邪魔にならないように超音波を活用した.
「座学の講義ならともかく,自分で手を動かす学生実験で学んだことはよく覚えているだろう」という期待は必ずしもあたらないという経験をお持ちではないだろうか.学生の能動的な講義への
香川大学では,文系学生向けに「自然科学基礎実験」を開講している.以前からあった漠然とした構想を平成26年(2014年)頃に具体化し,翌27年に試行,28年から本格実施した.本稿では,
大学進学率が50%を超えたことにより,大学は非常に大きな問題に直面している.とくに,地方の小規模私立大学にとって,問題は深刻である.日本の大学は国公私立合わせて約780校だ
現在多くの大学で,新入生の基礎学力の養成のため多彩な試みがなされている.中でもいわゆる全入大学では,十分な学力をもたない学生が入学してくるため,その対策にはどこも頭を痛めてい
国際物理オリンピック(以下IPhOと略す)には毎年5人の代表が派遣されますが,その選考までに国内で約1年をかけていくつかの選抜テストと研修が行われています.
干渉縞や等電位線は条件に依存してどのように変化するだろうか.高校物理でも出てくる内容であるが,解析的に関数として求め,さらに図示するのは,大学生であっても手間がかかる問題である1).そこで,別の方法でこの問題を簡便に近似
最近,2016年に大ヒットしたアニメ『君の名は。』がテレビ放映され,録画で鑑賞した.話は,東京の男子高校生と飛騨の山奥の女子高校生の2人の身に「入れ替わり」が起こり,そこへ,約千年ぶりに接近する彗星による危機が絡む.内容に
衆議院予算委員会(2018年1月29日)において,林芳正文部科学大臣が「文部科学省の中に外部からの入試ミスに対応する専用の窓口を設ける」と発言したとの新聞記事を読んだ.「個別の大学の個々の入試問題の正解を文部省が決める」
本学物理学科では1学年約150名が学んでおり,必修科目の物理学実験では,約180名の学生が同時に実験を行う.この科目は実験I,II,IIIに分かれており,実験I,IIでは8テーマ,実験IIIでは9テーマを,教員9名(内非常勤2名)で
昨夏,教員免許更新の講義を受け持った.高校の先生方が物理を教えるのに苦労される場面をいろいろうかがい知ることができ,よい経験となった.講義,質疑,議論を通して,先生方が混乱され曖昧にされてきた点をいくつか見つけることが
学部低学年生向けの講義で授業アンケートに,2つの回答があった.「初めて知ることが多く,大変でした」,「講義が簡単すぎるので,もっと難しい事柄を扱ってほしい」.これらの回答は覚悟していた.この講義には,高校で物理を履修した
羽根と本を使った落下の講義実験を見たことはあるだろうか.「羽根を本の上に載せて本から手を離すと,羽根と本が同時に落下する」という,シンプルな実験である(これにはいくつかのバリエーションがあり,羽根を風船,本をお盆とした
2017年末,マスメディアの一部で湯川秀樹の日記が話題となった.湯川日記にはいくつか種類があり,公開された日記は主に1940年代に彼が記した『研究室日誌』の1945年分である.話題の理由は,1945年という太平洋戦争の終戦時期
2017年度から,物理学科の専門科目「科学史」と大学院物理学専攻の専門科目「科学史特論I・II」を担当している.講義内容は,先代担当者の講義ノートやシラバスを参考にしながら,少しずつ改良していきたいと考えている.
編集後記
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