理科離れ,特に物理離れが言われて久しい中,ここでは物理オリンピック日本委員会 (以下,JPhO) が小中高生に物理への興味と関心を喚起し,物理好きの生徒を増やすために取り組んでいる活動について紹介します.「物理オリンピック」
2024年度の第15回物理教育シンポジウムは上記の表題をテーマとして2025年3月に開催されました.今回のテーマである「高大接続」は,2020年3月開催予定であった第10回と同じですが,この回はコロナ禍のため中止となりました1).
1.はじめに
近年,日本では高大接続が重要な課題となっている.科目間での高大接続の動向への関心のみならず,中等教育段階においての探求学習の導入と広がり,および2000年代初期から高校から大学
近年,平成24年 (2012年) に諮問された「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について」1)を契機とし,高大接続システム改
今後の大学の在り方については,大学入学者数の減少を踏まえ,「学修者本位の教育への転換」,「知の総和向上」などの文言が中央教育審議会の資料において散見される1).大学進学率は6割近
2014年の中教審答申では,高校,大学ともに主体的・協働的な学習・指導方法であるアクティブ・ラーニングの充実を強く訴えている.2018年に公示された現行の高等学校学習指導要領でも
本連載における,「横の接続問題」は「文脈依存性の問題」であり,「横の接続」は「教科間連携」に相当する.本稿はこれまでの実践1)をまとめたものである.
古典電磁気学において電気双極子放射は,大学の物理専攻学生が学習する基本的な項目の一つである.空間の局所的な領域に激しく振動する電荷や時間的に変化する電流を給電する線状アンテナ
天文,測距などの分野で重要な角度を定量的に測るために,古代からさまざまな道具や単位が用いられてきた.現在でも広く用いられている単位である度 (°, degree) はバビロニア起源といわ
物体の流体中での運動を記述するには,物体の運動を支配するニュートンの運動方程式と,流体の流れを支配するナビエ-ストークス方程式 (以下NS方程式と略) の2つが必要である.前回の
近年,大学における学びは細分化と専門化が進み,異なる分野にまたがる学生どうしの交流は限られたものとなっている.また,各専門領域に目を向けると,数学や物理では数物セミナー1)など
比重が1よりも大きい物体が表面張力により水に浮く現象は,アルキメデスの原理に反しているのだろうか.表面張力がはたらく場合にはこの原理は成立しない,という見解がある1).一方で,
1.力のモーメントに関する誤解
角運動量は基準点を指定して定義されるベクトルであるため,異なる基準点で角運動量保存則を適用したり,異なる基準点の角運動量の和をとったりすることはできない.このことは意外と見落
笠耐 (りゅうたえ) 先生は,病気療養中のところ,2025年3月6日に91歳でご逝去されました.
笠先生は1957年にお茶の水女子大学を卒業し,依頼されて産休補助の中学校理科の臨時教師など
笠 (高岩) 耐さんに初めて会ったのは,1963年,私が東大教養学部助手になった時である.物理学生実験専従の助手として,うるさい野郎どもを働かせておられた.すぐに,修猷館高校の先輩と分かり,以後頭が上がらない.後に,物理教育
先生は東大から上智へ移られて間もなく,ハーバードプロジェクト物理 (HPP) のSummer Instituteに参加された.先生はかねてから実質的に義務教育化した高校において,物理教育はこのままでよいのかという想いをお持ちで,この研修
笠耐先生との出会いは,物理教育の研究会ポスターを見て,偶然参加した時です.当時僕は東京学芸大修士で,理論物理を目指していたのですが,この研究会で教育研究の重要さに気づかされ,国際基督教大学ICU理科教育法博士課程に
笠耐先生 (元上智大学理工学部物理学科) が,2025年3月6日に逝去された.享年91歳.ここに謹んで哀悼の意を表します.
何年か前に,山手線のなかで,笠先生にお会いしたことがある.お元気のごようすであった.こ
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編集後記
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