宇宙の創成や物質の起源などの知を極め，地球という生命環境を存分に活用するヒトの出現はこの広大な宇宙に極めて特異的な希有な出来事である．ヒトは生きるために獲得した知を教育という手段により次世代に継承し，地球の歴史から言え

1．教えたいのに教えていない

ある県立教育研究所の主任より，実験器具の予算請求に対して「観察実験をするとどんな成果が上がるのかを示せ」と財務部に言われ困ったと相談された．私は「体育のために跳び箱を買い，音

1．はじめに

大学で物理教育に関係している多くの方々は学生にもっと物理を理解して楽しんでもらいたいと思ったことがあると思います．そこで，いくつかの工夫をしてみるのですが，うまくいったりいか

1．はじめに

大阪府立大学では，専門基礎科目として工学域(3学類) と生命環境科学域(4学類) の1年生に物理学実験を開講している．物理学実験には必須課題と力学，光学および電気の3分野20テーマ

1．はじめに

高校物理で学ぶいわゆる「波を表す式」

y=A sin 2π(t/T - x/λ)　(1)

は，tとxの2変数関数であるため，生徒はなかなか波動をイメージしにくいことはよく知られて

1．はじめに

日本が国際物理オリンピック(IPhO)に初めて参加したのは，IPhO2006シンガポール大会(第37回大会) である．それから10年を経て，本年(2016年)5月18日に国際物理オリンピック2022

アリストテレスの思想が世界を席巻していた時代には，質量と重量(重さ)の区別はなかった．自然の仕組みが次第に明らかになると，多くの科学用語が創造された．わが国では，江戸・明治には，諸外国の科学用語が翻訳され，科学を日本語

『大学の物理教育』誌最近号の編集後記に大原繁男編集委員が「日本の大学における物理教育がいまどうなっているのかを垣間見たい」という思いで編集委員を引き受けられたと書いておられます．

本誌教育実践に掲載されたことで，春の応用物理学会物理教育分科会において「物理チャレンジと物理教育：出場経験者としての視点から」という題での講演依頼を頂いた．たしかに物理チャレンジ出場経験者であったものの，その文脈では教

5年ほど前に，「わざ言語」というものを知った．東北大学の生田久美子氏を中心とするグループの研究によるもので，初めは伝統芸能の伝承場面におけるわざ言語研究であったようだが，対象はプロスポーツや看護などの領域まで広がってい

1年生に力学と電磁気学を教えて，問題に感じることがあります．高校での学習は，ともすれば問題をパターンに分け，どの公式が使えるかを即座に判断できるように訓練することに終始してしまっており，論理的に考える訓練がおろそかに

群馬大学理工学部では独自に作成した問題を用いて学生の力学素朴概念について調査を行っている．その問題について学生どうしで議論させる機会を設けてみた．まず学生どうしで相談しながら解答させ，次に，意見が異なる学生どうし互いに

開催情報

『大学の物理教育』総目次(vol.22)

編集後記