藤岡由夫の報告1)によれば70年前の1951年10月10日,東京大学教養学部講堂において日本物理学会 (以下,物理学会) の主催する第1回科学教育シンポジウムが開催された.物理学会が教育に関わる事業を実施したのは恐らくこれが初めて
1.はじめに
教授学 (didactics) という学問の名称は,「教え」「授ける」という漢字から,古臭いという印象をもたれてしまうことが多い.実際,17世紀に始まる長い歴史を持っている.
2006年に東京で開催された物理教育国際会議1)をはじめ,ICPE (International Conference on Physics Education) が日本の物理教育研究の発展に果たした役割は小さくないといえるだろう.
日本学術会議は24期 (2017-2020) に,物理学委員会のもとに物理教育研究分科会 (委員長,笹尾真実子) を設置し物理教育研究の推進策を検討し提言にまとめた1-3).本稿は提言に至る歴史的,
筆者は2015年に素粒子理論で博士号をとった物理学の研究者であるが,最近は機械学習を理論物理に応用する研究を行っている.機械学習を一言で言えばデータに潜む未知の情報を取り出し運
電束密度の時間微分である変位電流密度∂tD (∂t:=∂/∂t) は電磁気学のパズル完成のための最終ピースであった.マクスウェルは理論的考察から変位電流の存在を導き,通常の伝導電流にこれ
円柱が水平な床面を滑ることなく転がる問題は,平易な力学の例題として,教えられています.通常は,円柱も床も剛体として扱い,床からの接触抗力を考え,滑ることなく転がる条件下
学習が進みやすい学生の資質として,学習意欲や学習習慣,生活態度などが知られているが,STEM科目に対しては抽象的論理能力が重要要素の一つである.本稿では大学における論理能力
本学は1910 (明治43) 年に英国のエディンバラで開催されたエディンバラ世界宣教大会での決議「東洋に女子の高等教育機関を設置すること」により,北米プロテスタント6教派の援助のもと
新型コロナウィルス感染拡大に伴い,本学でも令和2年度前期は,ほぼすべての授業がオンラインで実施されることとなりました.物理実験科目については,単なるデータ解析にとどまらないよ
筆者らは福井大学医学部に所属し,医学部学生に対して物理教育を行っている.担当授業のひとつに医学科1年生を対象とした基礎物理の講義および実験実習がある.今年度 (令和2 (2020) 年
昨今のコロナ禍の影響は大きく,広くテレワークが増加しました.大学でも,急きょデジタル資料を用いた遠隔授業が導入されました.こういった背景により,大学教育は変革期を迎えていると
大学物理教育の一環として,学生の力学分野の理解度を測定するため,学生自身に問題を作問させ,模範解答とともに提出させることを試みた.ここではその試行結果について簡単に報告すると
近年では入試形態の多様化に際し,各大学は工夫しながら対応している1-5).
工学院大学学習支援センターは,大学での学習に不安を覚える学生をサポートし,リメディアル
2020年1月28日 (火)~2月9日 (日) に,上野の国立科学博物館 (科博) にて,科博と東京大学の共催による企画展「物理はふしぎで美しい!磁石と水からひろがる相転移の世界」1)が開催さ
大学教員の業務は年々複雑化し,予算や体の削減にも苦しめられている.そのような中で教育の質を維持するためにカリキュラムの改変を試みると,どうしても教養教育を削減する方向に行って
2020年度は,新型コロナウイルスの流行に伴い,多くの大学で年間を通じたオンライン授業の実施をよぎなくされた.物理学実験については,オンラインを通じた遠隔実験の実施例も多数報告
激動の2020年度を終えるにあたり,オンライン講義に翻弄された一年を振り返ってみたいと思います.筆者は,担当している大学1,2年生対象の「電磁気学」で,内容理解の他に,①ノートの取り方の習得,②参考書の読破を目標にしてい
編集後記
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