運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
16 巻, 1 号
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巻頭言
総説
  • Brian W. Martin, Sonja Kahlmeier
    2014 年 16 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2020/12/22
    ジャーナル フリー

    The first countries to develop comprehensive policy approaches to population based physical activity promotion in the modern sense were Finland and Canada. Other parts of the worlds saw comparable developments in countries or large metropolitan areas towards the end of the 20th century, examples are Australia, São Paulo in Brazil and Japan. The US Surgeon General’s report on Physical Activity and Health of 1996 was a health policy document with important international repercussions. Around the same time, the World Health Organisation (WHO) began to integrate physical activity in its Active Living Strategy and a little later in its Global Strategy for the Prevention and Control of Non-Communicable Diseases (NCDs). In 2004, physical activity featured more prominently in the WHO’s Global Strategy on Diet, Physical Activity and Health. In the 2008-2013 Action Plan to WHO’s NCD strategy, physical inactivity was for the first time explicitly and prominently named as one of the four main NCD risk factors. In 2010, WHO issued the first Global Recommendations for Physical Activity and Health, its role for global public health was confirmed in the 2011 UN High-Level Meeting on NCDs. So physical activity is a relatively new concept in international public health. Many institutions can play an important role in physical activity promotion, but for most this is only one of their tasks amongst others. There are a limited number of organisations that focus on physical activity and health alone: the international physical activity promotion networks and the International Society for Physical Activity and Health (ISPAH). Agita Mundo, the Global Physical Activity Promotion Network, the four existing regional networks (RAFA/PANA, HEPA Europe, APPAN and AFPAN), ISPAH and its advocacy council GAPA work together not only in the dissemination of tools and information, but also in lobbying for physical activity as an important aspect of public health.

  • 柴田 愛, 石井 香織, 井上 茂, 岡 浩一朗
    2014 年 16 巻 1 号 p. 9-23
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2020/12/22
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は,成人の座位時間を減らすことを主目的とした介入研究についてシステマティックレビューを行い,この分野の研究の最新動向を整理した。

    方法:国内外における複数の文献データベースを用いて,座位時間改善を目的とした介入効果を検討した研究を“sitting”,“sedentary”,“television”,“screen time”および“intervention”のキーワードにて検索した。採択基準(成人を対象,アウトカムに座位行動を含むなど)を基に,該当論文採択の可否を判断し,各論文の概要 (介入研究デザイン,介入期間,対象者,アウトカム指標,介入内容,結果の概要) を抽出した。また,ランダム化比較試験では,研究方法の質 (内的妥当性) について評価した。

    結果:検索論文の整理および精読の結果,18編が該当論文(前後デザイン5編,準実験デザイン6編,ランダム化比較試験7)として選定された。ランダム化比較試験における方法の質評価得点にはばらつき(26/7)がみられた。職場や自宅場面における環境や組織介入,行動技法を応用した個人・集団プログラム,これらを組み合わせた包括的介入が主流であった。また,ほとんどの研究で客観的測定法によって座位時間を評価していた。研究デザインや介入内容を問わず,多くの研究で座位行動指標に有意な改善が報告されていた。

    結論:座位時間の改善を主目的とした介入の有効性は,ある程度示されたが,方法論的問題点も明らかとなったため,更なる質の高い介入研究による成果の蓄積が望まれる。

原著
  • 本田 貴紀, 楢崎 兼司, 陳 涛, 西内 久人, 野藤 悠, 松尾 恵理, 熊谷 秋三
    2014 年 16 巻 1 号 p. 24-33
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2020/12/22
    ジャーナル フリー

    目的:地域在住高齢者において,加速度計によって測定された座位行動時間と肥満との関係を明らかにする。

    方法:追跡中の前向きコホート研究である篠栗元気もん研究のベースラインデータを用いて横断解析を行なった。対象者は福岡県糟屋郡篠栗町に居住する要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者1,401(女性849)であった。座位行動時間の測定には,3軸加速度計Active Style Pro(HJA-350IT, オムロンヘルスケア社)を用い,1.5メッツ以下の活動の合計時間(分/日)を算出した。体重,体脂肪量の測定には,生体インピーダンス法(DC-320, タニタ社)を用いた。Body mass index(BMI)25を肥満と判定した

    結果:年齢,教育年数,仕事の有無,現在の飲酒・喫煙状況,手段的日常生活動作,および中高強度身体活動量を調整した回帰分析を行なった結果,男性では座位行動時間は体重,体脂肪量,および体脂肪率と関連した(全てp<0.01)。さらに女性では,これらに加えてBMIも正の関連を示した(全てp<0.01)。男女ともに,座位行動の長い群では,肥満のオッズ比が有意に高い値を示した

    結論:地域在住高齢者において,座位行動時間と肥満指標との間に正の関連が示された。肥満,体脂肪の蓄積予防を目的としたポピュレーション・アプローチにおいて,座位行動に注目することの有用性が示唆された。

実践報告
  • 種田 行男, 浜崎 一良, 浦 正広, 大竹 杏奈, 宮崎 慎也
    2014 年 16 巻 1 号 p. 34-41
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2020/12/22
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は新しい健康教育システムとしてのデータ放送サービス(地上波デジタル放送)の活用を提案すること,およびその実用性について検討することである。

    方法:本研究の対象者は軽度の膝痛を有する在宅自立高齢女性6名であった。我々は膝痛を緩和するための体操の動きをアニメキャラクターが演じるデータ放送コンテンツを制作した。このコンテンツを搭載したハードディスクレコーダーを,対象者の自宅のテレビに接続することによって,データ放送サービスの配信をシミュレーションした。対象者はコンテンツ内のキャラクターの動きを見ながら2か月間体操を行った。

    結果:介入期間中における全対象者の平均体操実施率は86.5±28.4%であった。介入後に実施したグループインタビューの結果,「動機づけ」,「強化」,および「体操の習慣化」の3つのカテゴリーが抽出された。更に,「動機づけ」には「使いやすさ」,「わかりやすさ」,「キャラクターへの愛着」,および「コンテンツへの苛立ち」などのサブカテゴリーがあり,「強化」には「効果の実感」と「モニタリングの効果」のサブカテゴリーが抽出された。

    結論:我々が考案したデータ放送を活用した健康教育コンテンツは,自宅で実施する運動の習慣化を支援する可能性を示唆した。

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