一部変更承認と,市場拡大再算定の状況について,調査することを目的とした.2008年度から2019年度までに承認された433医薬品について,2020年12月までの一部変更承認の審査レポートを(独)医薬品医療機器総合機構から,市場拡大再算定の報告について厚生労働省の中央社会保険医療協議会から情報を得た.433医薬品のうち,36.5%にあたる158医薬品が一部変更承認を得ていた.効能追加に該当する一部変更承認は,131医薬品にのべ214回行われていた.腫瘍用薬の50.5%(46医薬品)に一部変更承認(新効能)が行われており,薬効分類の中で最も多かった.一品目当たりののべ一部変更承認(新効能)の回数も,腫瘍用薬において0.87回/品目と高かった.初回承認から一部変更承認(新効能)までの期間の最小値は,薬効群別では,消化器官用薬の13.7±5.5カ月(mean±S. D.)および中央値11.0カ月が最も短かった.続いて,生物学的製剤の23.5カ月,腫瘍用薬の24.0カ月,アレルギー用薬24.5カ月であった.一部変更承認(新効能)が行われた131医薬品のうち,25医薬品に27回の市場拡大再算定が行われていた.中枢神経系用薬,その他の代謝性医薬品および腫瘍用薬で,市場拡大再算定を受けた品目が多かった.一品目当たりののべ一変回数(新効能)は,再算定対象品目では2.2回,再算定対象外品目では1.5回であった.
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