レギュラトリーサイエンス学会誌
Online ISSN : 2189-0447
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9 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
巻頭言
総説
  • 築茂 由則, 鈴木 孝昌, 内藤 幹彦
    2019 年 9 巻 1 号 p. 5-15
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    体内診断薬は, 疾病の診断または診断補助の目的で血管や消化管, 気管, 皮下など人体に直接投与する医薬品である. 体内診断薬の範疇は胃部エックス線検査などで使用する造影剤やPET検査で使用する放射性医薬品, さらには蛍光特性を利用し腫瘍を可視化する術中迅速診断薬のような最先端のものまで多岐にわたる. 本稿では, 体内診断薬について概説した後, 最近の開発動向や課題についても取り上げる.

特集(AIを利用した医療機器の将来とその課題~画像診断システムを中心として~)
  • 中井 清人
    2019 年 9 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    AIを活用した医療機器は, 市販後に当該機器の性能が変わりうるということ, また, 教師データの質により性能が向上もしくは悪化しうるということが, その最大の特徴といえる. AI活用医療機器は, これまでの医療機器とは根本的に異なる特徴をもつこととなり, その薬事規制はきわめてチャレンジングな課題ともいえる. 厚生労働省では, 保健医療分野におけるAI活用推進懇談会の提言をふまえて, これまでにも, 最新の知見をふまえた評価指標の作成や評価体制の整備などを行ってきたところである. これらは, 現時点での最新の知見をふまえたAIを活用した医療機器の評価指標といえるが, あくまでも現時点のものであり, 今後, 技術発展に伴い, 当然, 改訂が求められるものと考えている. AIを活用した医療機器のような革新的な製品に関しては, 柔軟でありながら, その一方で, 安心・安全を確実に医療現場に提供できるよう, その時々の科学技術の発展に合わせ, また, 医療機器の特性に合わせたレギュラトリーサイエンスを考慮・検討していくべきと考えている. 本稿においては, AIを活用した医療機器のレギュレーションについて, その現状と現時点での対応方針について, 画像診断機器を中心として, 概説したい.

  • 橋爪 誠
    2019 年 9 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    人工知能 (AI) を利用した医療画像診断支援システムが近年市販化されつつある. しかしながら, AIには市販後の性能変化や処理過程のブラックボックス化, データの信頼性などの問題があることが知られている. そこで, 日本政府はAIを利用した医療用画像診断支援装置審査評価指標策定を目的として, 関係学会や厚生労働省, PMDAなどを構成メンバーとするワーキンググループを立ち上げ, 考え方や留意すべき点について検討している. AIを利用した医療機器を診療に用いた場合の最終責任は医師にある. 製造販売業者は, 学習用データの入手元などを申請時に報告し, 性能範囲を規定して規定範囲を逸脱した場合の対策を講じる必要がある. 使用者や製造販売業者は, リスクマネージメントに関して適切な対策をあらかじめ講ずることが求められる.

  • 鎮西 清行, 清水 昭伸, 森 健策, 原田 香奈子, 武田 英明, 橋爪 誠, 石塚 真由美, 加藤 進昌, 河盛 隆造, 許 俊鋭, 永 ...
    2019 年 9 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    近年, 人工知能〔Artificial Intelligence (AI)〕の研究の著しい発展に伴い, AI技術を搭載する医療機器とその他の医療システムの研究開発が急速に進められている. AI医療システムには開発者や審査において考慮すべき, 従来の医療システムにはない新しい要素がある. それは学習によりシステム性能などが変化しうるという可塑性, ブラックボックスとしての性質がもたらすシステムの振る舞いの予測困難さ, 高度な自律能に伴う医師らと患者の関係性の変化である. AI医療システムは, 今後急速に医療の場に導入されてくると考えられ, これらの特徴を十分考慮した研究開発や審査の体制を早急に構築しなければならない.

  • 藤田 広志
    2019 年 9 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    2018年は, 医用画像を対象としたコンピュータ支援検出/診断 (CAD) システムにおいて, 米国における商用化20周年の記念の年であった. 20年が経過し, 特にAI (人工知能) におけるディープラーニング技術の発展とともに, CADがAI-CADとして進化・多様化している. それに伴い, FDAでもCADやその関連領域の審査状況にも変化が起きている. 本稿ではその現状の一端に触れる.

シリーズ(医薬品・医療機器評価をめぐる最近の話題)
  • 合田 幸広
    2019 年 9 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    In 2017, National Institute of Health Sciences (NIHS) moved to King SkyFront from Yoga in Tokyo. King SkyFront is located in Tonomachi in Kawasaki and faces Haneda airport across the Tama river. It was launched in 2013 as a base for scholars, industrialists and government administrators to work together to devise real life solutions to global issues in the life sciences and environment. The NIHS has engaged in regulatory science (RS) and the four priority areas in research and study are as follows: 1) RS research supporting R&D of cutting-edge medical products, 2) RS research for foods and environmental chemical safety, 3) national test and examination and RS for health crisis management and, 4) establishment of big database of various chemicals for risk assessment and management and development of basic technology of human health risk assessment by using AI. In this report, I introduce research and study missions of NIHS, and then joint research projects of NIHS with King SkyFront members.

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