AIを活用した医療機器は, 市販後に当該機器の性能が変わりうるということ, また, 教師データの質により性能が向上もしくは悪化しうるということが, その最大の特徴といえる. AI活用医療機器は, これまでの医療機器とは根本的に異なる特徴をもつこととなり, その薬事規制はきわめてチャレンジングな課題ともいえる. 厚生労働省では, 保健医療分野におけるAI活用推進懇談会の提言をふまえて, これまでにも, 最新の知見をふまえた評価指標の作成や評価体制の整備などを行ってきたところである. これらは, 現時点での最新の知見をふまえたAIを活用した医療機器の評価指標といえるが, あくまでも現時点のものであり, 今後, 技術発展に伴い, 当然, 改訂が求められるものと考えている. AIを活用した医療機器のような革新的な製品に関しては, 柔軟でありながら, その一方で, 安心・安全を確実に医療現場に提供できるよう, その時々の科学技術の発展に合わせ, また, 医療機器の特性に合わせたレギュラトリーサイエンスを考慮・検討していくべきと考えている. 本稿においては, AIを活用した医療機器のレギュレーションについて, その現状と現時点での対応方針について, 画像診断機器を中心として, 概説したい.
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