Chem-Bio Informatics Journal
Online ISSN : 1347-0442
Print ISSN : 1347-6297
ISSN-L : 1347-0442
4 巻, 2 号
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Original
  • 蕪山 典子, 立野 玲子, 後藤 敏行, 影井 清一郎, 富樫 卓志, 菅野 純夫, 恒川 隆洋, 野村 信夫
    2004 年 4 巻 2 号 p. 27-37
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/07/15
    ジャーナル フリー
    ヒト遺伝子の機能解明の手かがりとして、その産物であるタンパク質が細胞のどの小器官に局在するかに注目している。産生タンパク質をEYFPとの融合タンパク質として発現させると、タンパク質局在は蛍光顕微鏡下で各小器官に対応した蛍光像として観察される。約3万2千個と判明したヒト遺伝子の完全長cDNAクローンに対して網羅的に客観的な尺度によって局在する小器官を高速に判定するシステムを開発している。顕微鏡像を画像として記録し、パターン認識手法によって画像を小器官のカテゴリに分類するシステムである。ある遺伝子を導入しても細胞によって、現れる局在の像は多様である。本論文では、この多様性に適合する画像の分類を提案する。各小器官を標識する局在ベクターを用いた試行実験で97.9%の認識率が得られ、提案手法の有効性が検証された。今後は対象を完全長cDNAクローンによる局在へと拡張する予定である。
  • 水上 里美, 鈴木 徳英, 北河 恵美子, 岩橋 均
    2004 年 4 巻 2 号 p. 38-55
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/07/15
    ジャーナル フリー
    近年トキシコゲノミクス分野において、マイクロアレイは強力な道具の一つになりつつある。しかしマイクロアレイは未だ発展段階にあり、標準的な解析方法は確立されていないのが実状である。これら解析方法の違いは遺伝子発現プロファイリングにおいて、データーのばらつきの原因になると考えられる。この問題を解決するため多くの解析方法が提案されているが、これらの方法をトキシコゲノミクス分野に用いた場合、環境サンプルが少ないこと、実験コストが高いことなどの問題点から、実際に用いることが難しいと考えられる。本研究ではトキシコゲノミクスにおけるcDNAマイクロアレイ解析の標準化を試みるため、酵母cDNAマイクロアレイの基礎的なデーター解析について検討した。特に実用的解析方法の確立に焦点を置き、少ない実験回数から信頼性の高いデーターを得る方法について検討を行った。その結果YPD培地で増殖した対数増殖期の酵母細胞(A660=1.0)においては相関係数が約9.0を示し、高い再現性があることを明らかにした。また誘導遺伝子を選択する場合、独立した3回の実験のうち2回以上の実験において2.0倍以上の遺伝子を選択すると、再現性の高いデーターが得られることを提案する。 キーワード:トキシコゲノミクス、酵母、cDNAマイクロアレイ、実験回数、再現性 領域区分:ゲノムワイドな実験データーの解析
Review
  • 張 慶偉, 牛嶋 理恵, 河合 隆利, 田中 博
    2004 年 4 巻 2 号 p. 56-72
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/07/15
    ジャーナル フリー
    マイクロアレイ技術の進歩と発達にともない、そのデータ解析手法が、複雑な生物機構を解明する上でますます重要なステップとなってきた。マイクロアレイのデータ解析方法は、異なる技術プラットフォームから得られるデータの違いや、多様な研究目的に合致した結果を導くため、これまでに多くのものが提案されてきた。しかしながら、それらのデータ処理方法の仕組みを知らずして個々のデータ解析の場面で最適なものを選ぶことは容易なことではない。本レビューは現在のデータ解析の「入力」と「出力」部分、すなわち生データの規格化と代表値算出、そこで得られる興味ある遺伝子に関するオントロジー解析とメタ・アナライシスに焦点を当てたものである。広く使われるようになった手法と最先端の手法の両者について詳細な解説を加え、マイクロアレイのデータ解析のトレンドを概観したい。
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