近年トキシコゲノミクス分野において、マイクロアレイは強力な道具の一つになりつつある。しかしマイクロアレイは未だ発展段階にあり、標準的な解析方法は確立されていないのが実状である。これら解析方法の違いは遺伝子発現プロファイリングにおいて、データーのばらつきの原因になると考えられる。この問題を解決するため多くの解析方法が提案されているが、これらの方法をトキシコゲノミクス分野に用いた場合、環境サンプルが少ないこと、実験コストが高いことなどの問題点から、実際に用いることが難しいと考えられる。本研究ではトキシコゲノミクスにおけるcDNAマイクロアレイ解析の標準化を試みるため、酵母cDNAマイクロアレイの基礎的なデーター解析について検討した。特に実用的解析方法の確立に焦点を置き、少ない実験回数から信頼性の高いデーターを得る方法について検討を行った。その結果YPD培地で増殖した対数増殖期の酵母細胞(A660=1.0)においては相関係数が約9.0を示し、高い再現性があることを明らかにした。また誘導遺伝子を選択する場合、独立した3回の実験のうち2回以上の実験において2.0倍以上の遺伝子を選択すると、再現性の高いデーターが得られることを提案する。 キーワード:トキシコゲノミクス、酵母、cDNAマイクロアレイ、実験回数、再現性 領域区分:ゲノムワイドな実験データーの解析
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