Chem-Bio Informatics Journal
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2 巻, 1 号
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Original
  • 岡本 正宏, 櫻庭 健司, 吉村 淳, 田中 康司, 上野 純一, 森 正和, 下之坊 匡弘, 関口 達也
    原稿種別:  
    専門分野: 分子計算
    2002 年 2 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/02/28
    ジャーナル フリー
    質量作用則に基づく微分方程式と定常状態近似式が混在した数理モデルでも非線形連立微分方程式が導出できる、新しいバージョンのシミュレータMassAction++を開発した。利用者は理論的アプローチにおける数理モデルの導出や数値計算について全く意識することなく、反応系の動的挙動を快適にシミュレートすることができる。また、JAVAアプレットとして開発したことにより、インターネットに接続されているマシンであれば、機種に関係なく利用できる。使用する際には、WebブラウザでBEST-KITのホームページ(http://helios.brs.kyushu-u.ac.jp/~bestkit/)にアクセスするだけでよい。シミュレータ内に予め反応物質や反応ステップを表す各種のシンボルを用意しておくことにより、利用者がマウスを使ってそれらのシンボルを自由に組み合わせて、任意の反応系を視覚的に構築できる。シミュレータをクライアント・サーバ型に設計し、全ての数値計算をC言語で開発された計算プログラムを用いてサーバ側で行うことにより、JAVA言語の処理速度に関するデメリットを解消した。これにより、解析対象が大規模なものであっても、利用者が快適にシミュレーションを実行することができる。シミュレータにセーブ・ロード機能を実装させたことにより、JAVAアプレットでありながら、利用者は構築した反応スキームや計算結果を自身のマシン上に保存でき、また保存したデータをシミュレータに読み込ませることが出来るようになった。さらに、タイムコースシミュレーション機能だけでなく、パラメータフィッティング機能(最適化による未知パラメータの推定)も備わっている。
  • 村田 善則, 百瀬 祐子, 長谷川 実加, 岩橋 均, 小松 泰彦
    原稿種別:  
    専門分野: ゲノムワイドな実験データの解析
    2002 年 2 巻 1 号 p. 18-31
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/02/28
    ジャーナル フリー
    バイオインフォマティックス・ツールを用いて酵母におけるDMSOの影響を調べた。酵母DNAマイクロアレイによる全遺伝子発現プロファイルと各ストレスや培養条件の違いによる遺伝子発現データをクラスター解析により比較した。酵母DNAマイクロアレイを用いてDMSOにより発現した遺伝子5,535個のうち、発現が上昇した遺伝子は、147個、発現が減少した遺伝子は、246個であった。DMSOの遺伝子発現パターンを各種ストレスと比較したところ、DMSOはDTTとdiamideの遺伝子発現と同じクラスターに分類された。また、DMSO処理により細胞壁の生合成に関わる遺伝子発現が誘導された。これらの結果から、DMSOはDTTやdiamideと同様に、ERにおけるタンパク質のフォールディングとプロセッシングを阻害し、不適切なジスルフィド結合の形成の結果として細胞壁にダメージを与えることが示唆された。また、DMSOはエタノールやガラクトースを炭素源とした場合と培養の定常期における遺伝子発現を含む同じクラスターに分類されたことから、DMSO処理により、グルコースの欠乏あるいは枯渇を促されることが考えられた。DMSO処理によりミトコンドリアを介する呼吸系が抑制されていたことから、DMSOを炭素源として利用する新たなエネルギー合成系や代謝経路の存在が示唆された。
Communication
  • 根本 直, 上林 正巳, 古明地 勇人
    原稿種別:  
    専門分野: 分子計算
    2002 年 2 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/02/28
    ジャーナル フリー
    最近、カイコのフェロモン結合タンパク質とその基質との複合体の結晶構造が明らかになった [Chem. Biol. 7, 143-151 (2000)]。その構造から、アミノ酸残基60-69からなるループは、結合ポケットの柔らかな蓋の役割を果たしていることが示唆された。この仮説を検証するために、複合体の結晶構造を基に、基質と結合していないアポタンパク質の分子動力学シミュレーションを行った。シミュレーションでは、問題のループは、結晶構造とは別のコンフォーメーションを取り、しかも、タンパク全体の中で一番柔軟性に富む部位であった。よって、このループが蓋の役割をしているという仮説の妥当性が、強く示唆された。
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