Chem-Bio Informatics Journal
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5 巻, 3 号
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  • 鈴木 歩, 安藤 格士, 山登 一郎, 宮崎 智
    2005 年 5 巻 3 号 p. 39-55
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/08
    ジャーナル フリー
    構造ゲノムプロジェクトの進展によってタンパク質立体構造情報の蓄積は膨大な量になり、機能未知の立体構造も増加してきている。タンパク質の機能を予測する手法として配列相同性検索が一般的であるが、機能既知の遺伝子との相同性が見られない配列が多数存在することから、この手法には限界があると考えられている。そこで配列よりも機能部位における保存性が高く、機能と密接に関わっているタンパク質立体構造情報を利用した機能予測法が注目されてきている。これを受けて、私達は立体構造情報を利用した高速・高精度な機能予測法FCANALの開発を行ってきた。本手法では機能部位とそれ以外の部位のアミノ酸残基のCα原子間の距離と、その出現頻度を比較することによってスコア行列を作成し、機能予測に用いている。前回の報告では、スコア行列の作成にモチーフ配列を必要としたが、本報告では配列類似性の低いタンパク質に対しても適用できるように発展させた。31種の酵素タンパク質を対象として作成したスコア行列を用いて、Protein Data Bankに登録されているすべてのタンパク質立体構造に対してFCANALを実行したところ、高い精度で機能部位を予測することができた。今後、構造データベースの拡充とともに、機能未知のタンパク質立体構造が増えることにより、本手法の有用性はさらに高まるものと考える。
  • 五味 雅裕, 澤田 隆介, 園山 正史, 美宅 成樹
    2005 年 5 巻 3 号 p. 56-64
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/08
    ジャーナル フリー
    分泌タンパク質は細胞間のやり取りを橋渡しする役目を持っており、生物種の生存戦略と密接な関わりがある。膜タンパク質予測システムSOSUIとシグナルペプチド予測システムSOSUIsignalを用いて248種の原核生物ゲノムから分泌タンパク質の予測を行った。分泌タンパク質の数とゲノムのORF数には正の相関がみられた。詳細な解析より、原核生物をいくつかのグループに分けることができた。ORF数が1200以下の生物は真核生物細胞内共生、寄生生物で、一つの線形近似が可能だった。2500以上の生物種は独立的に生存できる生物であり、3つのカテゴリに分けられた。線形近似のX軸切片は共生-寄生生物種では300、独立生存グループでは700であった。また、GC含量もORF数と同様に、生物のカテゴリを分ける主な要因であった。最後に原核生物の生存戦略を分泌タンパク質の解析に基いて議論した
  • 今井 賢一郎, 朝川 直行, 辻 敏之, 園山 正史, 美宅 成樹
    2005 年 5 巻 3 号 p. 65-77
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/08
    ジャーナル フリー
    二次構造ブレイカやヘアピン構造形成は、タンパク質の構造形成に対して強い制限を与える。そこで、典型的なall-α型のタンパク質であるミオグロビン、ヘモグロビンに注目し、二次構造ブレイカとヘアピン構造のメカニズムについて解析を行った。以前の研究で、我々は、二次構造ブレイカにはプロリン、グリシン、両親媒性残基の3種類があることを示した。これら3種の二次構造ブレイカを予測する方法でミオグロビン、ヘモグロビンのアミノ酸配列を解析したところ、ループ構造の7本中5本がこれらのブレイカによって折りたたまれていることがわかった。さらに電荷分布の対称性を調べたところ、電荷分布の対称性とヘアピン構造には高い相関があることが見出され、電荷分布の対称性がヘアピン構造形成の駆動力になっていることが示唆された。これらのことから電荷の対称性と二次構造ブレイカに注目することで、ミオグロビン、ヘモグロビンのすべてのループの折りたたみをとらえることができた。
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