Chem-Bio Informatics Journal
Online ISSN : 1347-0442
Print ISSN : 1347-6297
ISSN-L : 1347-0442
15 巻
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Communication
  • 平山 令明
    2015 年 15 巻 p. 1-4
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/27
    ジャーナル フリー
    Her-2/neuを過剰発現する乳がんの治療において、トラスツズマブを用いた受動免疫治療法は大きな成功を収めてきた。しかし、耐性出現等による再発の問題が深刻な問題として起こることも分かってきた。そこで、ペプチド・ワクチンを用いる能動免疫治療法の試みがされている。これまでに何種類かの有効なペプチドが見いだされ、少なくともE75とGP2という9量体ペプチドが治験に進んでいる。また、20量体のCH401MAPというぺプチドも乳がん・ワクチンとして使用することに期待が寄せられている。これらのペプチドの免疫活性発現において、ペプチドがHLA分子と結合することが第一の必須段階である。次に、ペプチドがT細胞受容体(TCR)に提示される。しかし、これらのペプチドがどのようにHLAと結合してTCRに提示されるか、その分子メカニズムはこれまで解明されていない。そこで、本研究では、日本人に最も普遍的にみられるHLA-A*24:02をこれらのペプチドがどのように分子認識するかをドッキング・シミュレーションにより解析した。20量体のCH401MAPについては、すべての9残基とHLA-A*24:02との相互作用を解析し、DTILWKDIFという配列を持つ9量体ペプチドが相互作用上重要であることを示した。本研究の結果、分子認識機構に関して二つの重要なことが明かになった。第一は、これらの3種類のペプチドが結合するHLA-A*24:02の抗原ペプチド結合溝には、これらのペプチドを認識する共通のアミノ酸残基があることである。第二は、TCRとの相互作用には、これらのペプチドに共通に見られる3種類の類似原子団が関与していることである。これらの知見は、より治療効果の高いペプチド・ワクチンを今後分子設計する上で非常に重要な手がかりになると思われる。
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