分子の3次元構造に基づいた原子電荷の計算方法を開発した。この方法は、Goddardらの電荷平衡法を基に、クーロンポテンシャルの計算に西本-叉賀の式を用い、連立一次方程式の反復計算を不要にし、計算時間の大幅な短縮を実現した。この方法で計算された原子電荷から分子の双極子モーメントを計算し、AM1法、ab initio 分子軌道法による計算値および実験値との比較を行い、よい一致を得た。この方法を分子力学および分子動力学計算に組み込むことにより、分子構造の変化による電荷分布の変化をシミュレーションに取り込むことが可能になり、タンパク質のような非結合相互作用が重要な系の解析に有用であると考えられる。