Drosophila melanogasterゲノムからの全タンパク質の正味電荷分布を正規分布と比較することによって、進化のプロセスにおけるアミノ酸配列のランダム性と自然選択のバランスを調べた。電荷分布は、正規分布にかなり近い分布を示したが、体系的なずれが見られた。しかし、タンパク質の大きさ別に11個のサブセットについて電荷分布を調べたところ、正規分布からのずれは見られなかった。さらに、分布の平均値と分散がタンパク質の大きさに対して線形に依存することから、電荷分布はほとんど完全に正規分布で表現できることが分かった。また、
D.melanogasterゲノムからのタンパク質の電荷密度は100残基に約1個の正電荷という値を中心にランダムな変動をしていることが分かった。この分布をランダム配列の場合と比較してみると、実際のタンパク質では、電荷が正の相関を示すことが分かった。このことは、進化のプロセスで体系的な何らかの選択メカニズムが存在することを示唆している。
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