高ピッチ音に対する高位置キー反応は,低位置キー反応よりも速く実行される(Rusconi et al., 2006)。また刺激と反応の特性を入れ替えた,高位置刺激に対する高ピッチ発声も,低ピッチ発声と比べて,実行が速い(鈴木・永井, 2020)。これらは刺激-反応間で位置-ピッチ対応が生じることを示し,入出力モダリティに依存しないレベルでの表現を示唆する。本研究では手指運動とピッチ発声という異なる運動反応間でも本対応が生じるか検討した。参加者はキューにしたがって,一致条件では高/低位置への手指運動と高/低ピッチ発声を,不一致条件では高/低位置への手指運動と低/高ピッチ発声を同時に行った。結果,一致条件では不一致条件と比べて,どちらの運動反応も素早く行われた。これは入出力モダリティに依存せず高次レベルで対応が表現され,両運動反応に処理重複が生じることで相互に運動反応を促進することが示唆された。
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