問題と目的:愛着安定性と情報処理プロセスとの関連が議論されているが,未来に関する情報処理との関連はあまり検討されていない。未来について考えるのは普通であり,重要である。そこで本研究は,愛着安定性はエピソード的未来思考に反映されることを検討した。
方法: 155名の中国人参加者に未来に起こりうる個人的出来事を生成させた。また,生成された内容を,人間関係との関連性,感情価,感情の強さ,内容の質から,参加者に自己評定させた。ECR-RS (Komura et al., 2016) で愛着を測定した。
結果: 共分散構造分析により,愛着回避と人間関係(standardized estimate: -.271),鮮明性(-.188),感情価(-.190),感情の強さ(-.245)のパスが有意であり,愛着不安と人間関係(.181),感情価(-.181)の関連が有意であった。
考察:愛着回避の脱活性化方略と愛着不安の過活性化方略は,未来に関する情報処理プロセスにも反映されることが示唆された。
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