E-journal GEO
Online ISSN : 1880-8107
ISSN-L : 1880-8107
8 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
調査報告
  • 池 俊介, 杜 国慶, 白坂 蕃, 張 貴民
    原稿種別: 調査報告
    2013 年 8 巻 2 号 p. 208-222
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/01
    ジャーナル フリー
    中国の雲南省では,1990年代後半から農村地域における観光地化が著しく進んだ.しかし,外部資本により観光施設が建設され,観光地化が地域住民の所得向上や地域社会の発展に寄与していない事例も存在するため,地域住民による内発的で自律的な観光施設の運営を実現し,観光収入が農民の所得水準の向上に着実に結びつくような経営を行ってゆくことが大きな課題となっている.本稿では,納西族の農民により観光乗馬施設の自律的な共同経営が行われている雲南省北西部の拉市海周辺地域を対象として,その形成プロセスと共同経営の実態について調査した.その結果,平等な収益分配,投票によるリーダーの選出など,きわめて民主的な観光乗馬施設の運営が行われ,地元住民の所得向上にも貢献していることが明らかとなった.
  • 淺野 敏久, 金 枓哲, 平井 幸弘, 香川 雄一, 伊藤 達也
    原稿種別: 調査報告
    2013 年 8 巻 2 号 p. 223-241
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,韓国で2番目にラムサール登録されたウポ沼について,登録までの経緯とその後の取り組みをまとめ,沼周辺住民がそうした状況をどのように受け止めているのかを明らかにした.ラムサール登録されるまでの過程や,その後のトキの保護増殖事業の受け入れなどの過程において,ウポ沼の保全は,基本的にトップダウンで進められている.また,湿地管理の姿勢として,「共生」志向というよりは「棲み分け」型の空間管理を志向し,生態学的な価値観や方法論が優先されている.このような状況に対して,住民は不満を感じている.湿地の重要さや保護の必要性への理解はあるものの,ラムサール登録されて観光客が年間80万人も訪れるようになっているにも関わらず,利益が住民に還元されていないという不満がある.ウポ沼の自然は景観としても美しく,わずか231 haほどの沼に年間80万人もの観光客が訪れ,観光ポテンシャルは高い.湿地の環境をどう利用するかが考慮され,地元住民を意識した利益還元や利益配分の仕組みをつくっていくことが課題であろう.
地理教育総説記事
  • 阪上 弘彬
    原稿種別: 地理教育総説記事
    2013 年 8 巻 2 号 p. 242-254
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/01
    ジャーナル フリー
    ESDは地理教育における重要なテーマとなっている.国際地理学連合・地理教育委員会(IGU-CGE), ドイツ地理学会(DGfG)では,ESDの観点が盛り込まれた諸宣言や教育スタンダードを作成し,地理教育におけるESD推進を進めている.国際地理学連合・地理教育委員会は,社会,環境の変革に対するアプローチは諸宣言の重要な要素であると述べている.社会変革という点でESDとIGU-CGEの地理教育は共通点を有しており,諸宣言の地理的能力においても社会の変革の要素をみることができる.また各国に対し諸宣言を取り組むことを求めており,ドイツ地理教育では諸宣言の内容を反映したレールプラン(カリキュラム)が提案されてきた.ESDはドイツ地理教育においても重要なテーマの一つであり,「ドイツ地理教育スタンダード」では,ESDの要素とともにドイツ独自の観点をみることができた.
解説記事
  • 江崎 雄治, 西岡 八郎, 鈴木 透, 小池 司朗, 山内 昌和, 菅 桂太, 貴志 匡博
    原稿種別: 解説記事
    2013 年 8 巻 2 号 p. 255-267
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
    本稿は,国立社会保障・人口問題研究所の『日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)』の手法と結果について解説するものである.まずコーホート要因法による将来人口推計は,コーホートの安定的な経年変化を将来に延長することをその手法の基礎に置いていることから,少なくとも近い将来に関する限り,かなり高い精度を有することを説明する.2025年までの推計結果については,特に非大都市圏の人口減少の加速とともに,大都市圏郊外地域における急激な高齢化について指摘している.さらに大都市圏では,その後の死亡数の増加により,2040年までの期間に非大都市圏の後を追う形で人口減少局面に入る.
2013年秋季学術大会シンポジウム記事
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