学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
1 巻 , 4 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
目次
原著
  • 元井 冬彦, 畠 達夫, 有明 恭平, 川口 桂, 石田 晶玄, 水間 正道, 中川 圭, 亀井 尚, 内藤 剛, 海野 倫明
    2019 年 1 巻 4 号 p. 216-226
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    【目的】膵臓がん周術期栄養不良の臨床的特徴を明らかにする.【対象および方法】当院において2007年~2014年の間に膵臓がん切除術(以下,膵がん切除と略)を行った症例255例で単施設後ろ向き観察研究を行った.CONUT法で術前・退院時の栄養状態を評価,栄養不良あり・なしで,臨床/治療因子および生存率を比較した.【結果】栄養不良は術前15%から退院時57%に増加していた.術前栄養不良は,やや高齢で男性に多かったが,進行度・入院期間・補助療法に差がなく,生存率においても差を認めなかった.退院時栄養不良は,長時間手術・出血量過多・膵頭切除・血管合併切除・長期在院が有意に多く,生存率が低かった.多変量解析において,コレステロール低値・切除可能境界・長時間手術・出血量過多・長期在院が退院時栄養不良に関与した.【結論】膵がん切除の予後は術前より退院時の栄養状態に強い影響を受ける.低コレステロール・進行がん・長時間手術・出血量過多・長期在院がリスク因子であり,退院後も栄養評価・介入が必要である.

  • 阿部 聖, 呉屋 英樹, 吉田 朝秀
    2019 年 1 巻 4 号 p. 227-235
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    在胎34~35週の早産児の栄養管理法は明確に定まっていない.我々は2012年1月から2018年6月に当院NICUに入院した在胎34~35週の早産児146例について,parenteral nutrition(以下,PNと略)を併用したcombined nutritional therapy(以下,CNTと略)群と経腸栄養群に群別し,栄養管理の状況や体格への影響を後方視的に検討した.CNT群は在胎34週76例中74例,在胎35週70例中22例であった.在胎35週の児において,出生体重はCNT群と経腸栄養群間で有意差を認めたが,退院時体重は両群間で有意差がなかった.在胎34週CNT群の退院時体重は在胎35週の児と同等で,生後3カ月時点での体格も有意差を認めなかった.PN関連有害事象は認めなかった.在胎34~35週の早産児において,CNTが体格差を改善する可能性が示唆され,PN導入を検討すべき対象であると考えられた.

  • 伊丹 優貴子, 熊谷 厚志, 望月 宏美, 井田 智, 峯 真司, 中濵 孝志, 比企 直樹
    2019 年 1 巻 4 号 p. 236-241
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    【目的】血清プレアルブミン(Prealbumin;以下,PreAlbと略)値は胃切除後の合併症発生を予測する有用な指標であると報告がある.しかし,肺切除術との関連は明らかでない.そのため,本研究では肺がん手術患者の術後呼吸器合併症の発症と術前PreAlb値の関連を検討した.【対象および方法】2014年1月から2016年12月に,当院において胸腔鏡下肺葉切除を施行した原発性肺がん患者を診療録より後方視的に調査し,術後呼吸器合併症を認めた患者と認めなかった患者の臨床病理学的背景を比較検討した.さらに,ロジスティック回帰分析を用いて術後呼吸器合併症のリスク因子を抽出した.【結果】449名中,術後呼吸器合併症を29例(6.5%)に認めた.合併症あり群ではPreAlb,body mass index(以下,BMIと略)が有意に低く,男性,糖尿病,重度喫煙者の割合が有意に高かった.多変量解析ではPreAlb,BMI,喫煙指数が術後呼吸器合併症と有意に関連していた.【結語】術前PreAlb低値は,低BMI,喫煙と並び,術後呼吸器合併症予測の簡便かつ有用な予測因子となる可能性が示唆された.

  • 高木 久美, 峯 真司, 熊谷 厚志, 井田 智, 望月 宏美, 中濱 孝志, 比企 直樹
    2019 年 1 巻 4 号 p. 242-249
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    【目的】当院では2015年より管理栄養士の病棟常駐を開始したが,管理栄養士の病棟常駐効果に関する報告は少ない.膵頭十二指腸切除術後の患者に対して,管理栄養士の常駐前後の短期成績を後方視的に調査した.【方法】常駐前は医師からの依頼時のみ,常駐後は定期的に栄養指導を実施した.非常駐群と常駐群において,静脈・経腸・総エネルギー投与量,術前術後の栄養指標,静脈栄養の投与期間,カテーテル関連血流感染症(catheter related blood stream infection;以下,CRBSIと略)疑いの件数を検討した.【結果】非常駐群が187名,常駐群が230名であった.術後7~14日目の静脈エネルギー投与量は常駐群で少なく,経腸・総エネルギー投与量は常駐群で多かった.術前栄養指標に有意差はなかったが,術後14日目のプレアルブミンは常駐群で高値な傾向であった(p =0.0502).静脈栄養の投与期間は常駐群で短かった(非常駐12:常駐10日,p=0.0012).CRBSI疑い件数は常駐群で少なかった(非常駐4.8%:常駐1.3%,p=0.0324).【結論】管理栄養士の病棟常駐により,総エネルギー投与量が増加した.

  • 陣内 暁夫, 福原 一世, 山田 幸, 村島 果奈, 有吉 由妃, 戸次 千佳子, 福田 沙織, 住田 英二
    2019 年 1 巻 4 号 p. 250-256
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    【目的】NST対象者の舌圧,現在歯数と血清アルブミン値(以下,Albと略),body mass index(以下,BMIと略)との関連と,食事摂取,食形態への影響を検討した.【方法】対象は2018年2月から2019年1月の期間に当院nutrition support team(以下,NSTと略)の対象となった入院患者27名で,NST介入時の舌圧および現在歯数と,Alb,BMI,年齢,喫食率との相関を分析した.また,舌圧が20kPa未満の低舌圧群と20kPa以上の高舌圧群の,Alb,BMI,年齢,現在歯数,喫食率を比較した.さらに,常食を摂取している群と調整食を摂取している群(以下,調整食群と略)のAlb,BMI,年齢,舌圧,現在歯数,喫食率を比較した.【結果】舌圧と喫食率および年齢に相関を認めた.現在歯数とBMIに相関を認めた.調整食群の舌圧は有意に低下し,現在歯数は有意に減少した.【結論】舌圧は食形態と食事摂取に影響し,現在歯数は食形態とBMIに影響した.

臨床経験
  • 原田 学, 張替 徹, 池浦 とう子, 古川 美弥子, 今井 亜希, 鈴木 佐智代
    2019 年 1 巻 4 号 p. 257-261
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    【目的】栄養サポートチーム(nutrition support team;以下,NSTと略)が介入後,目標エネルギー量を投与できなかった症例の予後について検討する.【方法】2016年4月~2017年3月の期間,当院にてNSTが介入した135例のうち,目標エネルギー量を投与できなかった症例をA群(89例),投与できた症例をB群(46例)とし,両群における予後について検討した.【結果】A群ではアルブミン値やリンパ球数では有意な変化が認められなかったが,B群では有意な上昇が認められた(p<0.05).体重はB群では有意な変化は認められなかったが,A群で有意な減少を認めた(p<0.05).1年生存率はA群39.5%,B群70.6%で,Kaplan-Meier法による生存曲線にて全生存率はA群でB群より有意に低かった(p<0.05).【結論】目標エネルギーを投与できなかった症例は,栄養状態の改善が悪く生命予後が不良であった.

  • 山下 翠, 田中 智美, 湯田 華奈美, 島田 文, 鐵野 麻美, 吉田 健太郎, 田本 英司, 中村 文隆
    2019 年 1 巻 4 号 p. 262-269
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    【目的】結腸ERAS®における早期固形食摂取の安全性を検討した.【対象および方法】2015年4月~2016年10月にERAS®で管理された結腸がん患者214例において,術後1日目スープ食,術後3日目から固形食を開始した従来群115例と,術後1日目スープ食,術後2日目から固形食を開始した早期群99例を後方視的に比較検討した.評価項目は,術後合併症,術後2~3日目の栄養摂取量,腹部膨満の発生率等とした.【結果】両群間の術後合併症に有意差は認められなかった(従来群7.0%,早期群7.0%,p=0.230).術後2日目の栄養摂取量は,早期群で有意に増加し(エネルギー従来群1,092kcal,早期群1,153kcal,p=0.001),腹部膨満の発生率は,早期群で有意に減少した(従来群49.6%,早期群33.3%,p=0.019).【結論】結腸ERAS®では,術後2日目からの固形食提供は安全に施行可能である.

症例報告
  • 鈴木 恵美子, 武藤 充, 久保 美佐子, 大橋 宏史, 村田 明俊, 真方 美紀, 指宿 卓也, 町田 美由紀, 茨 聡, 野口 啓幸
    2019 年 1 巻 4 号 p. 270-276
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    多職種で連携支援した超短腸乳児の自験例について,管理栄養士の視点で報告する.症例は在胎29週4日,1,420gで出生した男児.16生日に劇症型壊死性腸炎を発症,小腸結腸亜全摘となり腸管不全に陥った.長期中心静脈栄養合併症回避のため,暦齢6カ月(修正月齢3カ月半)から固形離乳食の経口栄養管理にチームで着手した.適切な口腔内馴化,喫食姿勢の安定保持,腸管粘膜低刺激性の食品選定,非賦形剤形の蠕動制御薬処方,徹底した臀部スキンケア,実生活に即した栄養指導,両親の介護ストレスケア等,各々の専門知識を発揮した集学的な支援が奏功した.管理栄養士として食事を通じた母子関係形成促進にも寄与することができた.暦齢1歳4カ月(修正月齢1歳2カ月)の現在,経口で50 kcal/kg/dayを摂取し,自宅での安定的な成長がみられている.多職種で腸管リハビリテーションに取り組むことで,超短腸児であっても理想に近い栄養管理が実践できた.

  • 松井 亮太, 高 礼子, 苗代 時穂, 的場 加代子, 柳澤 優希, 井出 浩希, 金沢 一恵
    2019 年 1 巻 4 号 p. 277-282
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    症例は80歳代女性で右片麻痺あり.来院2日前より38℃の発熱を認め,当院内科を受診.誤嚥性肺炎の診断で入院となった.入院時に意識障害を認め,禁飲食で静脈栄養と抗生剤治療を開始した.加療後は意識レベルの改善を認め,入院後6日目に改訂水飲みテストを実施したところ,前傾座位で判定3,右下完全側臥位法で判定5だった.入院後7日目の嚥下造影検査では,前傾座位で嚥下後の下咽頭残留を認め,右下完全側臥位法では嚥下後の中下咽頭残留を認めるが追加嚥下でも誤嚥は認めず,右下完全側臥位法でペースト食摂取を開始した.発熱なく経過し,入院後14日目に前傾座位で嚥下造影検査を施行したところ,嚥下後の咽頭残留を認めず,以後は普通型車椅子で経口摂取の方針とした.退院調整を行い,入院後28日目に自宅退院となった.今回,急性期に完全側臥位法で早期より安全に経口摂取を開始し,座位での摂取へ切り替えが行えた症例を経験したので報告する.

  • 高田 暢夫, 尾崎 和秀, 十萬 敬子, 佐賀 啓子, 小谷 小枝, 楠瀬 和佳奈, 安田 春奈, 坂本 一美, 吉松 香絵, 福井 康雄
    2019 年 1 巻 4 号 p. 283-288
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    症例は66歳の女性で,難治性潰瘍性大腸炎に対して腹腔鏡下大腸全摘術,回腸嚢肛門管吻合,予防的回腸双孔式人工肛門造設を施行した.縫合不全のために人工肛門が閉鎖できず,high output stomaの状態が持続していた.術後11カ月目に脱水症で入院し,入院2日目に一過性の意識障害,痙攣発作を認めた.脳疾患や心疾患は否定的で,血液生化学検査で低Mg,低Ca血症を認めた.Mg補充療法を行ったところ,これらの改善を認めた.しかし,Mg補充療法を中止した20日後に再び同様の電解質異常を伴う意識障害,痙攣発作を認め,再度Mg補充療法を行った.低Mg血症は腸管からの吸収障害によるもの,低Caは低Mg血症による二次性のものと考えた.吸収障害の病態は持続しており,一時的なMgの補充療法では再燃の可能性があるため,Mgの経静脈投与を継続する方針とした.退院後から現在まで週1回の外来でのMgの経静脈投与を継続中である.

  • 跡地 春仁, 松尾 彩加, 森本 瑞代, 井之上 佐由利, 山口 郁恵, 竹采 京子, 村上 耕一郎, 高橋 朗
    2019 年 1 巻 4 号 p. 289-296
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    【症例1】71歳男性.肝肺症候群で他院入院加療中,週1回程度の腹水ドレナージと酸素投与で経過観察されるも,転院希望があり当院へ紹介入院となった.転院後,同様に加療するも腹水減少は認めなかった.カルニチン投与開始後8日間で5.6kgの体重減少を認め,1カ月後のCT検査で腹水消退が確認された.【症例2】76歳男性.嘔吐,食欲不振がありCT検査で大量の腹水を認め入院.上部消化管内視鏡検査を施行し進行胃がんおよびがん性腹膜炎と診断した.腹水ドレナージを週1回行い第18病日に化学療法目的で転院,転院先でも同様にドレナージ施行されるも全身状態不良で化学療法中止,41日後に再入院となった.第1病日に腹水ドレナージを1回施行,カルニチン投与を開始.第5病日には体重が9.8kg減少し,1カ月後のCT検査で腹水減少が確認された.ATP消費増大が疑われる病態での難治性腹水に対して,カルニチン投与の有効性が示唆された.

研究報告
  • 脇坂 典子, 畑中 那奈子, 玉田 千秋, 三宅 元子, 松田 由紀
    2019 年 1 巻 4 号 p. 297-303
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    急性期病床において入院時から低栄養もしくは低栄養リスクのある高齢患者は多く,日常生活動作(activities of daily living;以下,ADLと略)の維持・向上,在宅復帰のためには,入院早期からの適切な栄養療法やリハビリテーションによる骨格筋量の維持が必要である.血液検査値から得られる栄養指標であるcontrolling nutritional status(以下,CONUTと略)値と患者背景・炎症・在院日数・転帰等との関連を調査した結果,入院時CONUT値5以上は在院日数の長期化に繋がり,死亡転帰の危険因子である可能性が示唆された.主観的包括的評価のみの栄養評価では体重減少のない炎症に関連する低栄養リスクを見逃す可能性がある.CONUT値は炎症に関連する低栄養リスクも抽出し得る指標であり,栄養療法が必要な患者を抽出するための栄養評価項目の一つとして入院時CONUT値算出は有用と考える.

  • 徳永 裕香, 武村 謙吾, 鈴木 知美, 髙橋 洋平
    2019 年 1 巻 4 号 p. 304-309
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    【目的】テルモ株式会社では半固形・とろみ栄養食品シリーズの製品に計14の品種を揃え,より良いパッケージ(容器)デザインを目指し改善を重ねている.本報告では,2016年にパッケージの表示デザインをリニューアルした際,その改善効果を検証するため医療現場で行ったアンケート調査について報告する.【対象および方法】12施設25名の医療従事者の協力を得て,リニューアル前後のパッケージを対象に,識別性や感性表現に関する16の項目(「新しい」,「かっこいい」等)について7段階で評価し,Wilcoxonの符号付順位和検定(p<0.05)を用いて比較した.【結果】識別性はリニューアル後,有意に評価が向上した.また,感性表現については評価が上がった項目,下がった項目の両者がみられた.【結語】識別性と感性表現が両立するパッケージのデザインを実現できるよう,今後も引き続き開発を進める.

プロジェクト報告
  • 丸山 道生, 栢下 淳, 高見 澤滋, 渡邉 誠司, 高増 哲也, 東口 髙志
    2019 年 1 巻 4 号 p. 310-316
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    本邦では2019年末より,現行の経腸栄養用誤接続防止コネクタである医薬発第888号広口タイプコネクタ(以下,現行コネクタと略)が廃止され,誤接続防止コネクタに係る国際新規格であるISO80369-3(以下,ISOコネクタと略)が導入される.ISOコネクタのオス型コネクタは内腔の最小口径が狭いため,ミキサー食の注入に際し,注入圧の上昇によって注入が困難になる懸念がある.今回,小児病院3施設それぞれにおいてミキサー食の胃瘻注入を行っている患児の家族3名,看護師3名の計6名に対し,各施設の標準的ミキサー食の注入を行い,現行コネクタとISOコネクタの比較を行った.同時に,用いたミキサー食の物性も検討した.注入実験において,観察項目のミキサー食の投与時間,シリンジ持ち替え回数,主観的評価の「負担感」と「問題なく使用できるか」,いずれにおいても現行コネクタとISOコネクタで統計学的な有意差は認められなかった.この結果から,ISOコネクタでのミキサー食の注入は現行コネクタと変わりなく可能と判断された.

フェローシップ賞
編集後記
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