学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
5 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
目次
原著
  • 神崎 憲雄, 小野 幸子, 稲沼 千春, 小林 奈緒美, 鈴木 悠里, 木村 純子, 國井 恵理, 四家 文恵, 日置 清子, 黒川 友博
    原稿種別: 原著
    2023 年 5 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/24
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    【目的】PEG症例における胃食道逆流の発生率を算出し,胃瘻造影に基づいた経腸栄養アクセスの選択を行った.【対象および方法】対象は2016年5月~2021年7月までに当院でPEGを施行した158例.PEG 後1日目に胃瘻より希釈したアミドトリゾ酸ナトリウムメグミン250 mLを注入し,上中部食道までの胃食道逆流を認めた症例に対しPEG-Jへの入れ換えを行った.【結果】上中部食道までの逆流は37例(23.4%),下部食道までの逆流は5例(3.2%)であった.PEG症例のうち33例でPEG-Jに交換した.術後の嘔吐は,胃瘻4例,PEG-J 0例であった.術後3カ月以内の肺炎発症は,胃瘻31例(24.8%),PEG-J 9例(27.3%)であった.早期死亡および長期生存において,胃瘻とPEG-Jで差はなかった.【結論】潜在的に胃食道逆流を起こしうる症例でも,PEG-Jに入れ換えることによって,嘔吐は認めず,肺炎の発症数も増加しなかった.胃瘻造影等の検査を行い,適切に経腸栄養アクセスを選択することが重要と考えた.

  • 福原 麻希, 児玉 直樹, 真壁 昇, 森兼 啓太, 当麻 哲哉
    原稿種別: 原著
    2023 年 5 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/24
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    多職種横断的なNutrition Support Team(以下,NSTと略)のチームメンバーがチーム活動に充実感を持つときのチームの状態,および,メンバーの意識・行動に関する主観的な回答を得て多変量解析を行った.全国1,667病院へ調査票を郵送し,NSTの構成職種全員に回答を依頼した.218病院18職種1,047人分の回答を因子分析し,最尤法で抽出された16設問を対象に,チーム活動により「病院の診療レベルが上がっている」「患者・家族の満足度が高くなっている」を合成した目的変数で重回帰分析をした.その結果,(1)チーム活動が病院や病棟から評価されている(2)チームの方針や考え方が柔軟に見直されている(3)メンバーが「チームはうまくいっている」と感じている(4)メンバーが気分的な充実感を感じている,の4点が見出された.さらに,メンバー間のモチベーションの差が大きい場合や特定の人に依存している場合は,チームがうまくいっていないと感じる傾向があった.

  • 石田 園光, 廣野 靖夫, 上原 佳子
    原稿種別: 原著
    2023 年 5 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/24
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    【目的】消化器病棟における看護師の栄養管理実践力と相談行動が専門職連携実践力(Inter professional Work competency;以下,IPWCと略)におよぼす影響を検討した.

    【方法】500床以上のnutritional support team(NST)稼働病院(53施設)の経験年数3年以上の消化器病棟看護師517名に無記名自記式質問紙調査法にて,属性,背景,栄養管理実践力,相談行動,IPWCを調査した.

    【結果】栄養管理実践力は経験年数と正の相関,栄養勉強会参加回数と正の相関を認めた.相談行動は多職種連携勉強会参加回数と正の相関,栄養勉強会参加回数と正の相関を認めた.IPWCは多職種連携勉強会参加回数と正の相関,栄養勉強会参加回数と正の相関を認めた.栄養管理実践力と相談行動とIPWCの間に各々正の相関を認めた.重回帰分析ではIPWCに影響している要因は栄養管理実践力と相談行動であった.

    【結語】栄養勉強会参加回数と栄養管理実践力や相談行動,IPWCは関連しており,栄養管理実践力と相談行動の向上がIPWCの向上におよぼす影響が明らかになった.

臨床経験
  • 藤野 滉平, 西條 豪, 竹谷 耕太, 堂前 理紗子, 竹内 裕貴, 安元 浩司, 森 大輔, 良本 佳代子
    原稿種別: 臨床経験
    2023 年 5 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/24
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    【目的】管理栄養士による栄養サポート強化の効果を,誤嚥性肺炎患者を対象として検討した.

    【対象および方法】誤嚥性肺炎にて入院した患者を対象に,栄養サポート強化前後の期間で強化前群(48例),強化後群(52例)に分け,後ろ向き観察研究を行った.主要評価項目は在院日数とした.

    【結果】強化後群において,管理栄養士の初回介入までの日数が短縮し,開始食の内容や食事内容の調整を始めとした食事内容変更提案の承認回数が増加した.その結果,経口摂取開始,および経口摂取での目標たんぱく質充足までの期間は短縮し,在院日数は短縮した(強化前群:20日,強化後群:16日,p = 0.028).多変量解析の結果,管理栄養士による栄養サポート強化は在院日数に関連する独立した要因であった(オッズ比:0.26,95%信頼区間:0.08–0.79,p = 0.017).

    【結論】管理栄養士による栄養サポート強化は,誤嚥性肺炎患者の在院日数を短縮する可能性がある.

症例報告
  • 中山 由希子, 山本 純子, 新野 真純, 小島 成浩, 市原 広太郎, 神田 大輔
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 5 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/24
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    ひきこもりとなり,即席麺の極端な偏食によってビタミンB12と葉酸の欠乏による巨赤芽球性貧血を経験したので報告する.症例は31歳男性.16歳から一人暮らしを始め,26歳から家にひきこもるようになった.金銭的な理由もあり食事は約5年間ほとんどカップ麺で済ませていた.歩行困難となり入院となった.BMI 14.1 kg/m2の高度のるい痩と25.5%の高度体重減少を認め,著明な大球性貧血(Hb 2.8 g/dL)を伴う汎血球減少,筋力低下と下肢の位置覚・振動覚低下も認められた.血中ビタミンB12および葉酸の欠乏が確認され,補充したところ症状は回復し退院となった.社会情勢の変化により失業やひきこもりが増加すると,経済的困窮などにより安価で簡便な即席麺に頼り,若年者においても重度の栄養障害が引き起こされる.社会問題を抱える人には栄養障害を未然に防ぐ予防的な視点も重要であり,社会的仕組みの構築が求められる.

  • 郷右近 祐介, 中西 渉, 鳩山 恵一朗, 阿部 隆之
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 5 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/24
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    【はじめに】甲状腺未分化がんは極めて予後不良で稀な組織型である.嚥下障害をきたした際の胃瘻の適応は明確でない.この度,切除不能甲状腺未分化がんに対し胃瘻を造設し栄養管理を試みた症例を報告する.【症例1】診断時は全身状態が保たれており,胃瘻造設後の薬物療法を計画した.しかし,日単位で原病が進行し,胃瘻造設後第4病日に上気道閉塞により死亡した.【症例2】胃瘻を用いて栄養を維持しつつ外来で化学放射線療法を約4カ月間施行し,一定の疼痛緩和と嚥下困難感の改善が得られた.終末期には自己排痰が困難となったため,経管栄養を漸減した.【結論】嚥下障害を伴う甲状腺未分化がんの診断となれば,局所の進行が早いため,速やかに胃瘻を造設し栄養管理を行い,集学的治療によりQuality of lifeの改善と延命を図ることが肝要である.一方で,予後が厳しい症例や喀痰排出障害が著しい症例は,経鼻経管栄養の選択や,経管栄養の減量および静脈栄養への移行を考慮すべきと思われた.

研究報告
  • 髙橋 俊介, 田中 美和, 清水 彩子, 大木 直子, 樋口 恵利子, 井出 忍
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 5 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/24
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    【目的】入院患者の簡便な栄養スクリーニング方法として,主観的包括的指標(Subjective Global Assessment;以下,SGAと略)を基準としてControlling Nutritional Status変法(CONUT変法;以下,変法と略)の有用性を検証し,さらに変法をベースに,より良いスクリーニング方法を作成することを目的とした.【方法】変法とSGAの栄養評価の一致度および関係,変法スコアのカットオフ値の検討,変法と体重or食事量減少とを組み合わせた指標とSGA中度不良以上との関係を解析した.【結果】変法とSGAの栄養レベルの一致度はκ = 0.122,相関はrs = 0.276であった.SGA中度不良以上となる変法スコア≥5の感度は81.8%,特異度は41.8%(p = 0.042)であり,変法スコア≥5かつ体重or食事量減少有の組み合わせでの感度は77.3%,特異度は67.1%(p < 0.001)であった.【結論】SGAを基準とした場合,変法単独のスクリーニングでは特異度が低かったが,変法に体重減少or食事量減少の有無を組み合わせることで特異度が上昇し,簡便で有用なスクリーニング法となると考えられた.

編集後記
撤回
  • 堤 理恵, 瀬部 真由, 別府 香名, 渡辺 涼乃, 尾平 優, 黒田 雅士, 阪上 浩
    2023 年 5 巻 1 号 p. i
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/04
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    「(旧)日本静脈経腸栄養学会雑誌,(現)学会誌JSPEN」編集委員会では,本誌に掲載された下記総説が,先に発表された下記書籍の内容と一部重複しており,独立した総説として認められないとの結論に達しました.また著者からも本総説の撤回依頼を受けております.これに伴い下記総説の掲載を撤回することといたしました.これは,総説中に当該書籍からの引用が適切になされておらず,内容の重複について審査段階で認識できなかったためにおこったことであり,編集委員会としても誠に遺憾な事態と考えております.

    今後,下記総説を引用することのないようにご注意ください.

     

     

    総説(撤回総説)

    特集 化学療法時の栄養管理 (2)各論

    「化学療法に伴う味覚・嗅覚障害への対応」(堤理恵,他)日本静脈経腸栄養学会誌 第33巻4号(2018年)

     

    書籍

    『【がん看護実践ガイド】がん治療と食事 治療中の食べるよろこびを支える援助』

    一般社団法人 日本がん看護学会,2015年

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