学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
6 巻, 2 号
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目次
原著
  • 山根 泰子, 広田 将司, 中本 直樹, 西野 芙季, 隈元 理香, 矢田 光絵, 川田 真大, 本告 正明, 岩瀬 和裕
    原稿種別: 原著
    2024 年6 巻2 号 p. 75-82
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/15
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    電子付録

    【背景】重症新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19と略)の集中治療期は入院時の栄養に関する検査項目やprognostic nutrition score(以下,PNIと略)やcontrolling nutritional status(以下,CONUTと略)などの臨床指標が予後と関連すると報告されている.後方療養期の患者においてこれらの指標と予後との関連は不明である.

    【方法】2020年12月~2021年6月の間,大阪コロナ重症センター(後方療養施設)退院の132例について,栄養に関する検査項目を含む入院時の患者因子と予後との関連を多変量解析で検討した.

    【結果】死亡退院は39例(29.5%)で,receiver operating characteristic(ROC)解析で死亡検出のカットオフを定めて多変量解析を行うと,総リンパ球数(total lymphocyte count;以下,TLCと略)(≤400/μL),血清アルブミン値(albumin;以下,Albと略)(≤2.1 g/dL)CONUT(≥8),PNI(≤24.5),投与熱量(≤17.7 kcal/kg/day)は有意な死亡関連因子であった.

    【結語】重症COVID-19患者において,後方施設入院時のTLC,Alb,PNI,CONUT,投与熱量は予後因子であり,集中治療期からの栄養管理の重要性が示唆された.

  • 小倉 実希, 松岡 宏, 田中 毅, 山下 千鶴, 一丸 智美, 篠原 彩恵理, 平野 好, 伊藤 明美, 須田 康一
    原稿種別: 原著
    2024 年6 巻2 号 p. 83-89
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/15
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    【目的】胃がん手術後の体重減少は,生活の質の低下など影響をおよぼす重要な課題である.今回,低侵襲胃がん手術後1カ月の体組成変化と除脂肪体重減少の要因について検討した.【対象および方法】2021年4月から2022年8月で低侵襲胃がん手術の術前および術後1カ月に体組成測定した88例を対象とした.術後1カ月の除脂肪体重減少率の中央値(2.4%)以下46例をLow群(以下,L群と略),中央値より大きい42例をHigh群(以下,H群と略)とし比較検討した.また,重回帰分析にて除脂肪体重減少のリスク因子を検討した.【結果】L群,H群の術後1カ月の変化は体重–5.4%,–7.1%,体脂肪量–16.3%,–13.9%であった.重回帰分析の結果,術前体脂肪率(p < 0.01)が有意な変数として抽出された.【結論】術前体脂肪率低値は,術後1カ月の除脂肪体重減少の有意な危険因子であり,術前からの介入を要すると考えられた.

臨床経験
  • 青木 はるか, 遠藤 美織, 産本 陽平
    原稿種別: 臨床経験
    2024 年6 巻2 号 p. 91-96
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/15
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    【目的】食欲不振は化学療法患者に高頻度の副作用で,治療意欲やquality of life(QOL)の低下と関連する.今回,個別対応食(味彩食)のがん支持療法としての効果を検討した.

    【対象と方法】2022年4月~2023年3月に味彩食を利用した化学療法中の患者を対象とし,背景,味彩食導入理由,食事摂取量等を後方視的に調査した.摂取量は介入前後でエネルギー,蛋白質量を評価し前後比較した.統計学的分析はEZRを用い,Wilcoxon符号付順位和検定で検討し有意水準はp < 0.05とした.

    【結果】対象20名[年齢66 ± 9.7歳,男性12名,女性8名],導入理由は食欲不振が最多であった.味彩食を提供した夕食ではエネルギー量(kcal)が中央値[interquartile range(IQR)]で94[50–309]から332[221–412](p < 0.001),蛋白質量(g)が4.0[2.0–12.2]から11.5[9.8–20.8](p < 0.001)へ増加した.

    【結論】個別対応食はがん化学療法中の食欲不振に対し摂取栄養量の増加に寄与する可能性が示唆された.

症例報告
  • 大平 正典, 羅本 彩奈, 山田 愛梨, 城 克彦, 清藤 貴子, 宮﨑 絵美, 吉原 正和, 本濱 諭, 中澤 敦
    原稿種別: 症例報告
    2024 年6 巻2 号 p. 97-101
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/15
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    症例は胃がんに対する幽門側胃切除術既往のある72歳男性.左被殻出血を発症し,以後全介助,経口摂取困難となり経鼻栄養チューブによる経腸栄養管理が行われていた.急性期治療後に療養型病院へ転院したが,仙骨部に巨大褥瘡を発症し当院へ再入院となった.液体栄養剤投与が行われていたが,長時間のギャッチアップが褥瘡悪化因子と判断され褥瘡予防対策チームと栄養サポートチーム合同での介入を開始した.胃切除の影響から胃瘻造設は困難であったため,既存の8 Fr経鼻胃管を12 Frに変更し,とろみ状流動食F2ショットEJへ変更した.1回投与時間を3時間から1時間以内へ短縮することが可能となり,褥瘡処置も計画的に施行可能となった.以後褥瘡は縮小が得られ,再入院から99日後に自宅退院可能となった.とろみ状流動食はギャッチアップ時間が短縮可能となることから褥瘡症例では有効であり,胃切除後症例においても安全に使用可能であった.

研究報告
  • 国島 正義, 竹田 明希子, 岩崎 泰昌
    原稿種別: 研究報告
    2024 年6 巻2 号 p. 103-106
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/15
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    【目的】末梢挿入型中心静脈カテーテル(Peripherally Inserted Central Catheters:以下,PICCと略)挿入手技であるエコーガイド下での血管穿刺において,血管穿刺回数とPICC挿入血管の関係を明らかにすることを目的とした.

    【方法】血管穿刺回数では,血管穿刺が1回だった症例を単回穿刺とし,2回以上の症例を複数回穿刺とした.血管穿刺の関連要因は性別,穿刺血管,血管径,血管の深さとし,t検定,χ2検定およびロジステック回帰分析を用いて解析した.

    【結果】対象507症例中,単回穿刺425症例,複数回穿刺82症例であった.単変量解析では穿刺血管と血管径で有意差を認め,ロジステック回帰分析において,上腕静脈より尺側皮静脈の方が単回穿刺であった.また,血管径では6 mm以上が単回穿刺であった.

    【結論】PICC挿入におけるエコーガイド下血管穿刺では,血管径が太い血管を第一選択とし,尺側皮静脈と上腕静脈が同程度の血管径であれば尺側皮静脈を選択すると単回穿刺で行いやすい.

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