情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
第2回情報プロフェッショナルシンポジウム
選択された号の論文の36件中1~36を表示しています
A1 特許情報 1
A11
  • ―特許調査に不慣れな技術者または初心者でも精度の良い調査結果を得る手法―
    有賀 康裕, 内藤 和幸
    p. 1-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
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    最近の傾向として、研究開発部門自身での特許調査の必要性が高まっている。このような中、多くの技術者はキーワードだけを使用して調査していることが多い。この場合、調査結果に漏れを生ずることも多く、知らずに開発を進めると、特許出願後に先行技術による拒絶、さらには製品化まで進んでしまうと侵害問題を引き起こすことさえもある。一方、知的財産部門の情報担当者の調査テクニックは専門性が高く習得するのに時間を要するという面を持っている。そこで本発表の内容は、技術者などの特許調査に不慣れな人たちでも特許データベースの検索式の作成が容易にできる手法を示すものである。具体的にはパテントマップソフトを利用し、IPC、FI、Fタームなどのランキングリスト中に含まれる特許を見て、その特許が該当であるか否かの判断結果を検索式に反映すると言うものである。そして得られる結果は、プロの調査マンが行った調査に匹敵する良い結果になる。
A12
  • ―「Fターム解析マップ」による効率化―
    高橋 昭公
    p. 5-8
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
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    特許評価指標(技術移転版)の権利固有評価を行なうには、当該技術分野のパテントマップを作成して、基本技術、代替技術、抵触可能性などを評価することになる。このパテントマップは、個々の特許の技術内容を評価する必要があるので、その作成にはマニュアル方式が採用され、その作成負荷が大き過ぎるという課題があった。「Fターム解析マップ」は、FI若しくはFタームの全桁を用いて特許情報を解析できるので、マニュアル方式並みに個々の特許の技術内容を評価できる。さらに、機械方式で解析が行えるので、マニュアル方式に比べて、作成負荷を大幅に軽減できる。本検討の目的は、権利固有評価の基本技術、代替技術、抵触可能性などの評価に「Fターム解析マップ」を適用して、負荷軽減された評価手法を開発することである。検討の結果、特許評価の負荷が「Fターム解析マップ」によって著しく軽減できる見通しが得られた。
A13
  • ―Honeywell社のLCD特許訴訟をめぐる攻防―
    高島 有治, 関崎 裕司, 宮入 暢子
    p. 9-12
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
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    2004年10月にHoneywell社が34社に対して起こしたLCD特許訴訟を事例として、特許侵害訴訟における先行技術調査の方法について考察する。調査方法としては、当該米国特許5,280,371の先行特許・文献について提訴したHoneywell側と提訴された側の企業双方の立場から行った。Honeywellは2005年7月現在、上記34社のうちの1社を含む数社と当該特許に関するライセンス契約を結んでいる。これら34社およびライセンスを結んだ企業の選定がどのようにして行われたのかを検討した。また、提訴された側のうちの一社は、論文の引用文献に着目した調査を行うことにより、当該特許に類似する先行特許・論文を見つけ出し、Honeywellとの係争を有利に進展できるものと考えている。同特許に関する係争の今後の動向に注目していきたい。
A14
  • ―米国特許の引用文献による類似度算出と可視化について―
    国司 洋介, 堀越 節子, 川本 敦子, 岩本 幸夫
    p. 13-17
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
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    引用文献情報をもとに1,000件程度の特許を可視化する「サイテーションマイニング」について、米国特許で有効性を検討した。サイテーションマイニングは、日本EPI協議会における「日本特許情報に対するテキストマイニング」の検討過程で生まれたもので、可視化対象に含まれる2件の公報の類似度を、共通する引用文献の数と重要度から求め、類似する公報をスプリングモデルにより、適切な場所に配置する手法である。同一分野の日本公開公報のテキストマイニング処理と比較した結果、解析対象が複数のIPCセクションを含むような広い技術分野にまたがる場合はテキストマイニングが有効であるが、IPCサブグループまで絞り込んだ物品形状にかかわるテーマでは本手法が有効であった。テキストマイニングとサイテーションマイニングは相互補完の関係にある手法であり、状況に応じた使い分けも必要である。
A15
  • ―多観点分類と引用分析―
    渡部 勇, 小川 知也, 田中 一成
    p. 19-23
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
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    近年,ビジネス資産としての特許の価値が重要視されるようになってきている。特許を企業経営の中で戦略的に活用し、ライセンス収入の増加や企業競争力の強化へと結び付けていくためには、自社保有特許の位置付けや他社の技術戦略などを正確に把握することが不可欠であるが、そのための検索・分析・評価の作業に多大なコストと時間がかかるという問題があった。以上のような問題を解決するために、富士通研究所では、特許検索・分析・評価を支援するためのナレッジマネジメントツールとして、ビジュアルテキストマイニング技術を応用した特許マイニングツールを開発し、社内利用を推進するとともに、製品化を進めている。本稿では、特許マイニングツールの概要を紹介するとともに、分析・評価支援技術として研究開発を進めている多観点分類と引用分析について説明する。
B1 医学情報
B11
  • ―「からだ情報館」の場合―
    荒木 良子, 清水 まつ江, 東金 和子, 桑原 文子
    p. 25-29
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
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    「からだ情報館」は患者、家族、地域住民に病気や体について学習する場を提供するため、東京女子医科大学病院総合外来センターに、2003年6月開設された。開設時のスタッフは図書館司書1名と看護師ボランティア3名であり、2,3名の一般ボランティアも参加した。翌2004年、看護部への再度の働き掛けが実り、受診相談の看護師3名がスタッフに加わった。「からだ情報館」で受けた様々な相談(レファレンス)について、その分析を通して、医療職(ここでは看護職)の患者図書館への関わり方を紹介し、その必要性、重要性について、事例をもとに報告する。
B12
  • ―その情報科学的分析―
    鈴木 博道, 重永 敦, 葉山 和美, 長瀬 典子
    p. 31-35
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    EBMの考え方に基づかない、即ち文献のシステマティック・レビューを伴わない診療ガイドラインが、最早診療ガイドラインと呼ばれないことは国際的なコンセンサスと言える。このコンセンサスに基づいて発表者等がこれまで開発に関わってきた診療ガイドライン、我が国のコンセンサスに適った診療ガイドライン、を対象として、その開発手順、情報源、エビデンスの選択結果、そして完成した診療ガイドラインの外形、などに関する国内外事例の比較、検討、評価等を行った。一般的に、わが国の診療ガイドラインが海外のエビデンスに基づいて開発されている傾向が強いと言われているが、個々に分析すると必ずしも単純にその様な断定はし難いことが明らかとなった。なお、厚生労働科学研究費補助金を受けて実施しているEBMに基づく診療ガイドライン開発をサポートするためのホームページ(http://www.ebmguideline.com/, http://www.ebmguideline.jp/)も、併せて紹介する。
B2 情報教育
B21
  • ―グループ企業内におけるマーケット・リサーチ教育の試み―
    岡本 和彦, 出口 昌信
    p. 37-40
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    エンドユーザー情報検索システムが普及、拡大している今日、企業の研究開発部門におけるエンドユーザー情報検索は一般化している。本発表では、宇部興産(株)研究開発本部及びグループ企業全体でのエンドユーザー教育とその中で取り組んでいるマーケット・リサーチの導入教育について述べる。研究開発本部においても、研究者に対するマーケット・リサーチ教育の必要性から、年に1回の(株)日本能率協会総合研究所 マーケティング・データ・バンク(MDB)のユーザー教育を開始し、普及活動に努めている。加えて、山口大学と宇部興産(株)の包括連携協定に基づく産学連携活動の一環として、山口大学大学院技術経営研究科(MOT専門職大学院)の教官による、マーケット・リサーチの出前講義も年1回のペースで導入している。教育にあたっては、エンドユーザーである、研究者、技術者、及び知的財産部員各自が目的に応じたマーケット・リサーチ活動の方法論、考え方を習得できることを目標にしている。
B22
  • 田中 雅章, 松本 亜紀
    p. 41-45
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    大学に入学する学生は,何らかの教員免許を希望することが多い.教員養成課程では教育方法の進化に対応できる知識や指導技術を学び,教育現場に即応できる知識と活動が重視されている.大学は学生に現場に即応できる知識と活動を身につけてから教育実習に送り出したいが,入学してから教育実習までが限られた制約の中では専門教科や専門技術の習得が優先されがちとなる.結果的には子ども達にわかりやすく説明するといった,現場に立つ教師として身につけたい本質的な部分がおろそかにされてしまう傾向になる.本研究では,作品評価データベースを作成する作業に受講者が参加することによって,教員養成課程学生に教育の目的を自覚させ,教員として主体性を向上させる効果が認められた.また,それを実現するための方法として,Webを用いて実装化を試みた.さらにこの方法に基づいて実践したカリキュラムについて報告し,その有効性を検証する.
B23
C1 データベース作成
C11
  • ―CAplusファイルタイトルの英日機械翻訳―
    岩崎 和人, 福井 美笑子, 菊池 綾, 一ノ瀬 桂子, 廣田 勇二
    p. 53-57
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    英文の化学データベースに日本語機能を付与するシステム開発の一つとして,機械翻訳システムを用いて,CAplusファイルの英文タイトルの日本語化の実用化を行った.システムの中核になる翻訳ソフトは市販品を用いている.化学文献タイトルの翻訳のために,細分化した分野ごとに最適な翻訳環境を構築して,分野特有の辞書選択や訳語の優先順位の設定などを行うことで,分野に適した訳出ができるようにした.また,翻訳前のタイトル文に対して,分野ごとに違った前編集処理を行えるようにした.化学文献に頻出する体系的化合物名を一つの単語として翻訳する方法や,タイトル特有の文体の処理法も取り入れた.一定の翻訳品質を保ちながら短時間内に翻訳処理を実行するために,校正を要する誤訳と未翻訳語を含むタイトルのみをプログラムで抽出して校正する方法を確立した.このシステムによる翻訳の品質を専門用語の翻訳正答率と,意味の正しさの2通りに分けて評価した.
C12
C13
C14
  • 吉井 隆明, 石塚 英弘
    p. 69-72
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    現在、行政情報のWebサイトがあり、全文検索が可能である。しかし、特に行政情報では検索語の選択と表記の問題が難しい。そこで、我々は行政情報の全文検索に資するため、環境白書を例として、その全文データから特徴語の候補を正規表現式を用いて抽出し、若干含まれる不適切な語を除いて特徴語を得た。次いで、環境白書における特徴語の出現頻度の年による推移を調査した。また、特徴語の例として「環境税」「酸性雨」「花粉症」の3つを採り上げ、環境白書と、行政に関係が深い国会会議録の2つの全文データにおいて、3つの特徴語の出現頻度の推移を昭和47年から平成16年までの間、年毎に調査した。その結果、環境白書と国会会議録の相違点が明らかになったが、これは行政官庁と国会の違いを表している。また、環境白書の全文データから法律名が抽出可能なことを示した。さらに本調査の結果、用語の表記と同義語についても種々の実例を得た。
C15
  • 菊池 葉子, 岩澤 まり子
    p. 73-76
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    医療消費者の視点で捉えた病気に関わる経験が記述されている闘病記は、病気の経験を共有するための情報媒体になりうると考えられる。しかし闘病記へのアクセスポイントは、書誌事項や病名に限られていることが多い。本研究では、闘病記に記述されている様々な観点を闘病記へのアクセイポイントとして供するために、闘病記の索引方法を検討した。闘病記の個別性を保持するために、書誌情報に加えて、医療情報および患者情報を索引項目として選定した。医療情報については、疾病、治療法、副作用、医療機関、支援者などの情報を、また患者情報については性別、年齢層などを、個別の索引項目として選定した。さらに選定した索引項目を採用した闘病記データベースを試作し、闘病記のインデキシング方法について検討した結果を報告する。また、個別性の保持に着目したインデキシングによる、類似した闘病経験を記録した闘病記の識別可能性について報告する。
ラウンドミーティング「日本・アジアにおける電子ジャーナル化の現状」
RM1
  •  
    尾身 朝子, 時実 象一, 山崎 匠
    p. 77-80
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    電子ジャーナルのオープンアクセスの動きは,米国の国立衛生研究所(NIH)の助成研究成果論文公開の方針で新しい段階を迎えた。NIHは2005年2月に助成研究の成果については、論文刊行後12ヵ月以内にNIHの電子ジャーナルサービスPubMed Centralにその最終原稿の電子版を提供し、無料公開するように求める方針を発表し,この方針は2005年5月2日から実施された。また,英国の有力な研究助成団体であるWellcome 財団も,5月にオープンアクセスの方針を発表した。これら海外の動きが日本の学協会へ与える影響も少なくない。日本化学会が6月にオープンアクセスオプションを発表した。オープンアクセスの議論点を整理し、考えられる影響や必要な対応について述べた。
RM2
RM3
  • 和田 光俊, 久保田 壮一, 尾身 朝子
    p. 87-90
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    独立行政法人科学技術振興機構(JST)が提供している科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)は、日本の学協会が発行する学術論文誌等を公開するための電子ジャーナルサイトである。2005年7月末現在、227誌のジャーナルと85種の予稿集、6種の報告書が公開され、登載記事数は約15万件である。総アクセス数は月間100万件を超え、毎月30万件以上の論文がダウンロードされている。J-STAGEへのアクセスの約7割は海外からであり、国別では115ヶ国に及んでいる。また、論文へのアクセスの約6割は他サイトからのリンク経由によるものであり、そのほとんどはPubMed等の文献データベースから全文記事へリンクされたものである。過去に発行された論文へのニーズも多く、2005年度からは、主要なジャーナルを創刊号にまで遡って電子化してJ-STAGEで公開する電子アーカイブ事業を開始した。
RM4
  • ―日本化学会の取り組み―
    林 和弘, 太田 暉人, 小川 桂一郎
    p. 91-94
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    日本化学会は1989年から英文論文誌の電子化に着手し,試行錯誤の末,J-STAGEを効果的に利用した日本独自の電子ジャーナルを構築した.その結果,読者数の増大と,投稿数の増大につながり,出版期間の短縮と事業収支の改善にも成功した.この結果を踏まえて,2005年より電子ジャーナル有料制限を開始した.本稿では日本化学会電子ジャーナル事業の現状と,オープンアクセスへの対応,さらに,より良質のジャーナルを目指して行っている取り組みを紹介する.
A2 電子ジャーナル
A21
  • ―電子投稿・電子査読システムの現状と課題―
    荒川 紀子, 和田 光俊, 時実 象一
    p. 95-99
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    J-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)は電子論文の制作、Web上での公開、内外電子ジャーナルやデータベースとのリンクをサポートする、総合的な電子ジャーナル・プラットフォームである。J-STAGEでは学会から「投稿査読審査システム」の開発を強く要望され、2000年よりいくつかの学協会へ提供してきた。この経験をもとに、今回より汎用的なシステムの拡張をおこなった。新システムは、多様な審査フローに対応してカスタマイズ可能なシステムであり、さらに日本語の全面サポートやJ-STAGE制作工程との一貫した流れを実現したものである。本システムでは、投稿者、編集事務局、編集長、編集委員、査読者などの複数のロールをサポートし、同一人が複数のロールを兼ねることも可能である。また容易な入力エラーの修正、要処理件数の表示された業務ボタン、学会事務局での各種カスタマイズ管理機能、など、各ロールにおいて使いやすいシステムを目指している。
A22
  • ―J-STAGEとGoogleの連携と電子ジャーナルにおける論文の引用・被引用関係表示―
    久保田 壮一, 荒川 紀子, 和田 光俊, 近藤 裕治, 小久保 浩, 山崎 匠
    p. 101-104
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    電子ジャーナルでは、論文間をリンクで結べることが重要な利点となっている。JSTが運営する電子ジャーナルサイトJ-STAGEのリンク機能を担うJSTリンクセンターに関連した新しいトピックをいくつか紹介する。一つは、GoogleでJ-STAGEに登載した論文が検索できるようにするというものである。J-STAGE利用学協会から多く要望頂いていた。学術誌をターゲットにし、被引用数や被引用リンクなどの付加機能のついたGoogle Scholarにも対応する。但し、検索結果から論文本文PDFに直接飛ばさないように工夫している。もう一つはJ-STAGE登載論文が他の論文から引用された場合の被引用リンクサービスである。これまでJ-STAGE登載論文間では実現されていたが、CrossRefと連携することで、他の電子ジャーナルサイトで公開されている論文からの引用にも対応できるようになった。
A3 化学・創薬情報
A31
A32
  • ―MODYを中心として―
    加藤 亮, 橋本 博之, 辻河 登, 榊原 良一
    p. 109-113
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    ゲノム解析の技術が発達し、疾患の分類も従来の病態を中心とする方法から遺伝子異常にもとづく成因分類へと移行し、それに合わせて疾患の分類名(疾患名)も変遷する傾向にある。一方、遺伝子関連の情報量も飛躍的に増大し、またそのデータベースを運用するシステムの機能整備も進んだ。今回、そのような環境の変化に適した効率的な情報の収集と活用の方法について、糖尿病の一種であるMODYを題材として検討した。その結果、疾患原因遺伝子名とWHOのような公的な機関が採用する疾患名を使用することにより、疾患の公式名称に変遷があっても、効率のよい情報収集が可能であることが分かった。また、DGENEを利用することにより研究動向と新しい研究の芽の探索などを効率よく行うことが可能であることも分かった。さらには、研究者は特許出願よりも先に公共DBを使用して、疾患原因遺伝子の配列情報を登録する傾向を示唆する結果も得られた。
A33
  • ―CAplusにおける作用機作の機械抽出と活用および化合物の解析の試み―
    小島 史照, 荒木 孝友, 岡 紀子, 佐々木 享子, 須藤 公夫, 長澤 優, 長野 美智代
    p. 115-119
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    エンドユーザー検索がますます進む中、インフォプロも変化を求められている。我々は依頼に基づく受動的な情報提供だけでなく、積極的な情報の活用と発信を目指し、創薬テーマ立案支援の具体例として動脈硬化、高脂血症を対象に合成研究が活発化しているテーマの把握と、注目したテーマの化合物情報の提供方法を検討した。上記テーマを簡便に見出すため、CAplusのフリータームから作用機作を機械的に抽出するアルゴリズムを考案し、大量データからの迅速な研究動向の把握を可能にした。さらに注目したテーマについて、CAplusから最終生成物のみ抽出した後、STN ExpressのR-Group解析を行い、その結果と他の特許データベースの情報をマージして、特許明細書を読まなくても化合物のバリエーションと活性の強弱が迅速かつ的確に把握できる資料を作成した。我々はインフォプロの各種ノウハウを活用し、研究者とは異なる視点の情報を積極的に発信すべきであることを提言する。
A34
  • ―分類などによる化合物の生理活性の定量的予測方法―
    辻河 登, 平野 弘之, 石川 智久
    p. 121-124
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    我々は、今回、既存の化合物の構造(Markush方式の化合物を含む)を登録した化合物データベースから、当該データベースに実測値、推算値が登録されていない化合物の物性、生理活性を定量的に予測、推算する方法を見出し、そのシステムを開発した。一方、多様な構造を持つ化合物ライブラリーを収集し、目的とする生理活性を評価するには多額の費用を要する。しかし、我々が開発したシステムを利用することにより、特許などのデータベースに保存された膨大な化合物の中から、多額の費用をかけずに評価すべき化合物の選択収集が可能となった。
B3 特許情報 2
B31
  • ―ダウンロードから検索データの加工まで―
    松村 泰成
    p. 125-128
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    サーチャーの仕事として、情報検索をして検索結果そのままを依頼者に渡すだけの場合もあるが、その結果を整理して解析するためにデータベース(DB)化したり、パテントマップを作成することがある。データベース化は商用データベースのダウンロードデータを加工をするのが便利であるが、出力料金が高額であり、著作権の問題もある。本発表ではインターネットのホームページ(HP)のデータを利用して、出来るだけ手間をかけずに、無料でデータベースやパテントマップを作成する方法を研究した。事例として、「ヨーロッパ特許庁(EPO)HPの抄録からデータベースの作成およびPDF特許公報のリンクの作成」ならびに「特許番号と発明者の2次元パテントマップの作成」を報告する。また、サーチャーの仕事全般に役立つ便利なソフトも紹介する。
B32
  • ―調査マニュアル作成―
    鉅鹿 明弘
    p. 129-132
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    特許出願の経過情報調査は、特許制度の目的である権利の存在あるいは権利化の状況を把握する重要な調査である。しかしながら、経過情報は調査結果の判断が難しいことが多く、調査方法が分からない場合もある。そこで経過情報に関連する事項を網羅的に解説した調査マニュアルを作成中である。基本的な知識として経過情報の基となる手続の概要、特許庁が保管する手続等の書類の実情、特許庁より提供される経過情報データを解説する。実際の経過情報調査に関しては現時点で利用されている各社の経過情報データベースをレヴューし、オンラインでの各種の調査の具体例と出力の読取り方を解説する。経過情報から審決や判決などの書面の探し方、さらに実際の手続書面の内容を見るための特許庁のファイルや包袋等の閲覧についても解説する。ここでは日本特許の経過情報調査の概略を説明するが、米国、EP,韓国等についても調査マニュアルの作成を検討している。
B33
  • ―プロフェッショナル・ディベロップメントとテック・マイニング―
    桐山 勉, 田中 宣郎, 川島 順, 都築 泉, 大山 勝弘, 長谷川 正好, 玉置 研一
    p. 133-137
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    INFOSTA-SIG-パテントドクメンテーション部会では2005年の年間活動の一環としてプロフェッショナル・ディベロップメントを目標にRapid Technology Intelligence Process(RTIP)の検討を開始した。このRTIPは今年の3月に南スペインで開催されたIPI-ConfExにおいて発表されたものである。具体的な演習テーマとしては、結果が図で理解しやすい「階段を昇降可能な車椅子」に対してRTIPの演習を行った。その結果についてまだ検討が完了はしていないが、考え方と検討事例の一部を報告する。この演習を通じて、高速情報収集のためには特許マップソフトによる膨大情報可視化整理とテックマインングの重要性を痛感した。また、自動切り出しまたはキーワードによるテキストマイニングと、種々のソフトから得られるCSVデータのデジタルハンドリングの工夫についても検討したので報告する。
B4 ビブリオメトリクス
B41
  • ―自然科学系雑誌における引用分析から―
    角田 裕之, 小野寺 夏生, 天野 晃, 児玉 閲
    p. 139-142
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    論文の被引用率等の科学技術指標を国の間で比較する研究では、調査に用いる情報源における採択方針の影響等により、同一条件での比較が難しい。本論では、国別の被引用率を、多数の雑誌の平均化されたデータで調査・比較するのではなく、国際流通性の高い特定の雑誌を選定し、雑誌別に調査することにより、学術研究に対する各国の影響度(被引用率)を比較・分析する。さらに、論文の被引用数の多寡がどのような因子と関係するかを探るため、被引用数と、著者数、参考文献数等の諸書誌情報の間の相関を分析した。その結果、雑誌ごとの被引用率については、医学・生物分野は欧州各国、物理・化学はアメリカ、工学はドイツが高く、複合分野は日本とアメリカが1位と2位を独占していることがわかった。被引用数と著者数が有意であった3雑誌の傾向から、日本とフランスが著者数の増加によって、被引用数を高くしていることがわかる。これに対して、アメリカは著者数に寄らず個々の論文の被引用数が他の4カ国よりそもそも高いため、被引用率が高くなる傾向を示すと考えられる。
B42
  • ―参照文献の記述、電子投稿、著作権を中心として―
    藤田 節子
    p. 143-146
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    学術雑誌の体裁や記述のしかたを規定した投稿規定は、その学会誌や分野の特徴をよく表わしている。しかし、投稿規定は学会毎に独自に作成されているため、規定内容がそれぞれ異なり、研究者の論文作成に煩雑さを招いている。国内科学技術分野の学協会の投稿規定調査は、以前から行われてきたが、近年の電子ジャーナル化や電子投稿の増加などにより、その形態や内容が変化している。投稿規定や学術論文の書誌的構造等の標準化を推し進めるために、投稿規定を収集し、その記載項目やその内容の詳細を調査分析し、過去の調査結果と比較した。特に、参照文献の記述、電子投稿、著作権について詳細に考察し、SIST02(参照文献の書き方)の改訂や普及、投稿規定の標準化、著作権規定の必要性を考える。
C2 オントロジー
C21
  • ―材料用セマンティックWeb構築を目指して―
    芳須 弘, 藤田 充苗, 原田 幸明, 芦野 俊宏
    p. 147-151
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    セマンティックWebの技術的環境が整いつつあるので、この技術を材料分野の問題解決に応用できれば、より充実した問題解決の支援が可能になるであろう。そのためには、材料情報のXML記述、必要な情報の所在、材料特性の数値データベースおよびデータ解析ツールなどの機能や情報源が必要であり、さらにそれらを材料オントロジにしたがって有機的に連携する手順などの技術の確立が必要である。しかし、材料オントロジの確立は容易でないので、まずクリープ特性の専門領域に限定して、その世界を記述する主要な語彙のオントロジをこの領域に関わる問題を解決するための支援システムに応用し、材料分野のセマンティックWebを構築する際の問題点を検討した。このWebを構築するには、問題解決に必要な情報の記述言語、問合せ方法、解決のためのデータ解析ツールなど多くの機能や情報源のより広範囲の共有化が必要である。
C22
  • 徐 一斌, 飯室 茂, 山崎 政義, 八木 晃一, 藤田 充苗
    p. 153-156
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    我々は、XMLやRDFなどの技術を用いて、複合材料の熱物性に関する材料科学の理論知識を管理、編集、およびWeb上で表示する知識ベースシステムを開発した。概念ネットワーク知識モデルを利用して、従来、非構造化データ形式で記述されてきた材料知識を、XMLとRDFフォーマットの構造化データとして整理・記述し、各概念間の関係を表示するコンセプトマップ、および各概念の内容を説明するWebページをコンピュータにより自動生成することを実現した。さらに、本システムは、材料熱物性データベースと複合材料熱物性予測システムと連携されており、材料知識の表現ページから材料の物性データを参照したり、方程式を利用して新しい材料の物性を計算したりすることができる。
C23
C3 システム構築
C31
  • 吉田 裕明, 寺井 秀明, 辻丸 詔, 高 明慧, 梅野 健
    p. 163-166
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    2005年4月より個人情報保護法が制定され、個人情報に関する取り扱いが厳格になった。その結果、セキュリティーポリシー・暗号化セキュリティ・トレーサビリティを柱とするセキュアな情報管理が求められるようになった。現行の情報管理システムのほとんどはサーバベースを基本としているが、サーバベースはシステムが大掛かりな上、セキュリティーポリシーがシステムに依存するため、運用面での柔軟性に欠ける。また、サーバのメンテナンスコストがかかる。一方、クライアントベースの情報管理システムはまだ未開拓である。しかし、サーバベースに比べてシステムの柔軟性やコストに優れているため、システム次第でサーバベースに勝る安全性を実現することができる。そこで本稿では、クライアントベースの情報管理システムのモデルを提案する。
C32
  • ―農林水産研究情報センターにおける事例―
    林 賢紀
    p. 167-171
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    農林水産研究情報センターにおいて、RSS(Rich Site Summary)を利用してOPACから新着図書・雑誌受入情報の提供を行うシステムの開発を行った。これにより利用者は、農林水産研究情報センター及び農林水産関係研究機関の機関別新着図書・雑誌受入情報や雑誌別新着受入情報を、OPACで検索することなくWebブラウザのみならずRSSリーダなどで直接かつ迅速に確認可能となったほか、XMLの特性を生かし利用形態に即した各種のフォーマットに変換し、各研究機関図書室等で独自に構築したWebページにて表示、提供できるなど、多様な形態での利用が可能となった。
C33
  • 原田 隆史, 横山 瑠美, 長井 英夫, 佐々木 雅吾
    p. 173-176
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/19
    会議録・要旨集 フリー
    現在,Linuxをはじめとして多くのオープンソース・ソフトウェアが使用されている。医療や教育の現場においても,これらを開発・利用して効率化を計ろうとする動きがある。図書館においても,諸外国ではオープンソースの図書館用システムが数多く開発されており,いくつかの統合図書館システムが実際に使用されている。これらのオープンソース図書館システムを日本に導入する場合,日本特有の問題などが存在すると考えられ,単に表示を日本語化すれば解決するという問題ではない。そこで,本研究においてはニュージーランドで開発されたKohaを日本語化して,実際に図書館員に試用していただき,その問題点についてまとめた。その結果,特に書誌記述の問題ならびに日本語特有の読みや表記のゆれの問題,個人情報の管理に関する問題が大きな問題であることが明らかとなった。その詳細および,それに対する対策についての提言を発表する。
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