日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2014年年会
選択された号の論文の243件中151~200を表示しています
R5:地球外物質
  • 瀬戸 雄介, 市村 隼, 森家 智嗣, 松野 淳也, 土'山 明, 高橋 竜平, 小原 真司
    セッションID: R5-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    本研究では、還元雰囲気・多成分系でのコンドリュール組織の再現を目指して浮遊加熱法による溶融急冷実験を行った。天然の炭素質コンドライトの粉末体に対して、ArとH2混合ガスを用いて浮遊させ、無接触下状態でレーザー加熱し全溶融させた後、急冷回収物をXCT、SEMなどを用いて観察・分析した。実験の結果、金属鉄とケイ酸塩鉱物からなる、棒状カンラン石コンドリュール組織の再現に成功した。本研究で示した手法は、金属鉄とケイ酸塩鉱物の集合体であるコンドリュール組織を再現する有効な手法であるといえる。
  • 松本 恵, 留岡 和重, 瀬戸 雄介, 桐石 美帆, 梅原 まり子, 山本 由紀子, 三宅 亮, 浜根 大輔
    セッションID: R5-07
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    NWA1232CO3隕石は異なる熱変成度を示す3つの岩相A、B、Cからなる角礫岩である。これまで角礫岩組織を持つCO隕石の報告はほとんどなく、この隕石からCO母天体について新しい情報が得られる可能性は高い。本研究では、岩相AをSEM、EPMA、STEM、SR-XRDを用いて調べた。岩相Aのコンドリュールのオリビン斑晶のFe/Mg組成は、コンドリュールごとに大きく異なり、岩相B、Cに比べてばらつきが非常に大きい。これは、岩相A内に互いに熱変成度の異なるコンドリュールが混在していることを示している。また、岩相Aの多くのコンドリュールは細粒リムを持ち、リムの構成物の種類、粒径、組成は内部のコンドリュールの熱変成度により異なる。以上のような岩相Aに見られる化学的・組織的な不均質性は、岩相Aが、均質な熱変成を受けた岩相ではなく、熱履歴の異なる複数の岩相由来のクラストの集合からなることを示唆している。
  • 森家 智嗣, 留岡 和重, 瀬戸 雄介, 前田 誠, 三宅 亮, 浜根 大輔
    セッションID: R5-08
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    我々は,Y-81020(CO3),Murchison (CM2),Cold Bokkeveld (CM2) 隕石のマトリックスから,水質変成の影響を大きく受けたと思われるCI隕石に似た多くの微小なクラストを発見した。これらの岩相が混在する角礫岩の形成メカニズムについては現在よくわかっていない。そこで,これら3つの隕石から見つかった異質なクラストの形成環境,ホスト隕石との成因的関係を明らかにすることを目的として観察・分析を行った。結果,Y-81020隕石 のクラストのマグネタイトや層状ケイ酸塩の鉱物学的特徴から,クラストはCI 隕石に似た環境下で水質変成を受けたと考えられる。一方,Murchison, Cold Bokkeveld 隕石のクラストもY-81020隕石のクラストと同様に水質変成を受けたと考えられるが,水質変成の程度はより大きかったと推定され,これらの形成過程の違いを示している。
  • 村井 拓朗, 奥野 正幸, 荒砂 茜, 奥寺 浩樹, 濵田 麻希, 水上 知行, 荒井 章司, 阿藤 敏行
    セッションID: R5-09
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    彗星のモデル物資として、シリカゲル―グリシン複合体を用いて、その衝撃圧縮による構造変化を、X線回折測定、赤外・ラマン分光測定法により分析した。得られた結果から、グリシン分子は18GPaの衝撃圧縮でも分解せずに残存することを明らかにした。この結果は、初期地球の生命起源物質が宇宙起源である可能性を示している。
  • 富永 裕貴, 留岡 和重, 瀬戸 雄介
    セッションID: R5-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    炭素質コンドライトのコンドリュールの多くは,マトリックスに似た細粒鉱物からなるリムに覆われている。リムの成因については,星雲中でコンドリュールが表面に塵を集積させてできたとする「星雲説」と,隕石母天体中のプロセスでできたとする「母天体説」の間で議論が続いている。最近Tomeoka and Ohnishiは, Mokoia CV3隕石には層状ケイ酸塩に富むリムとオリビンに富むリムがあることを明らかにし,それらリムと内部のコンドリュールは,実は隕石母天体内のホスト隕石があった場所とは異なる領域からやって来た破片(クラスト)だというモデルを提出した。Vigarano CV3隕石にもコンドリュール/リム形成モデルが適用できるかを検証する研究を行った。
  • 三河内 岳, 小松 睦美, 萩谷 健治, 大隅 一政, Zolesnky Michael, Hoffmann Viktor, 佐竹 渉, 青 ...
    セッションID: R5-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    はやぶさ探査機が回収した7粒の小惑星イトカワ塵に対して、光学顕微鏡、SEM、EPMA、ラマン分光、放射光XRD・XANESによる鉱物学的研究を行った。分析した塵は主にカンラン石と斜長石から成り、弱い衝撃変成を受けていた(衝撃ステージ:S2)。カンラン石はFo70-73で、放射光XRDで得られた格子サイズと調和的であった。また、斜長石はAn13-10Or5-7で、結晶構造から見積もられる平衡温度は約800度であった。斜長石のFe放射光XANESから得られた高いFe3+/Fe2+比は酸化的環境での形成を示唆し、カンラン石組成と合わせてLLコンドライトと類似する。また、斜長石は20ミクロン以上あり、カンラン石がほぼ均質化していることから岩石学タイプは5以上である。以上のことから、分析した塵はいずれも弱い衝撃を受けた平衡LLコンドライトである可能性を示しており、初期分析結果を再確認するに至った。
  • 中牟田 義博
    セッションID: R5-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    200ミクロン大の板状炭素粒子の表面を走査電子顕微鏡で観察した.粒子表面には数ミクロン大の三角形のくぼみが存在し,ダイヤモンド粒子の中には,そのくぼみに囲まれ,三角形の結晶面示すものが存在する.三角形のくぼみで得られたラマンスペクトルは1580 cm-1に幅広いバンドを示すが,これに伴うD-バンドが認められず,このスペクトルは四面体非晶質炭素 (ta-C) によるものと同定された.Ta-Cの存在は三角形のくぼみが,高圧下での炭素の溶融と急冷により出来たことを示している.
  • 宮原 正明, 大谷 栄治, 山口 亮, 小澤 信, 境 毅, 平尾 直久
    セッションID: R5-13
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    4 Vestaで起きたインパクトイベントを明らかにするためにEucriteの1つBérébaを調べた。Coesiteとstishoviteが衝撃溶融の内部とその周囲で発見された。放射年代を考慮すると,coesiteとstishoviteを形成したインパクトイベントは41億年前であり,これは4 Vestaのインパクトベーズンの形成年代(約10区年前)とは一致しない。
  • 山口 亮, Barrat Jean-Alix, 白井 直樹, 海老原 充
    セッションID: R5-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    ダイオジェナイト隕石は、HED隕石の一つで、小惑星ベスタの下部地殻もしくは貫入岩体が起源だとされる. NWA 5480は、主にかんらん石と斜方輝石から構成されるダイオジェナイトである.かんらん石、輝石、クロマイトは、化学的ゾーニングを持ち、これは、この隕石が、比較的早く冷却したことを示す。一見角レキ化を受けていない結晶質な隕石であるが、非常に不均質な組織を示す.他の結晶質ダイオジェナイトに比べ、プラチナ属元素の含有量が非常に高く(10-3×CI)、コンドライト的な存在比を示す.これらの事実から、NWA 5480は、大規模な衝突の結果形成された衝突溶融岩であることが考えられる.  
  • 竹之内 惇志, 三河内 岳, 小暮 敏博, 井上 紗綾子, 山口 亮
    セッションID: R5-15
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    強い衝撃を受けた火星隕石にはカンラン石が黒色化しているものが見られ,カンラン石内部に晶出した鉄ナノ粒子が原因とされている。しかしナノ粒子の詳しい形成過程や形成条件は不明な点が多い.衝撃によるカンラン石の黒色化は火星に特有であり,その形成条件を明らかにすることで火星での天体衝突現象の理解につながると考えられる.そこで我々は5つの火星隕石 (NWA1950, LAR06139, RBT04262, NWA 1068, Tissint) と1つのコンドライト(L6; NWA4719) の比較観察を行い,形成条件に制約を与える事を試みた.観察によると着色したカンラン石を含む隕石では高圧鉱物があまり見られないことがわかり,そのような温度圧力履歴がカンラン石の着色に関連している可能性が示唆された.これには高い到達圧力に起因する衝撃残留熱の影響などが強い可能性が考えられるため考察を進めて報告する.
  • 鹿山 雅裕, 富岡 尚敬, 関根 利守, 宮原 正明, Götze Jens, 西戸 裕嗣, 大谷 栄治, 小澤 信
    セッションID: R5-16
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    月隕石からシリカ高圧相が最近発見され、月の天体衝突史が明らかとなってきた。今回、月隕石NWA2727からコーサイトと共存するモガナイトが初めて見出された。本研究では地球に産するモガナイトのDAC実験から相転移の温度・圧力条件を決定し、それをもとにNWA2727が受けた衝突過程を明らかにする。DACを用いたラマン分光分析によるその場観察から、モガナイトのラマンピークはその場観察ならびに回収物ともに23 GPa付近で強度の急激な減少を示し、37-42 GPaの試料ではピークは検出されなかった。NWA2727には衝撃溶融脈が存在し、それから離れた領域にモガナイトは石英と微晶質をなし、外縁部にはコーサイトが認められる。溶融脈中ではモガナイトがクリストバライト、コーサイトおよびシリカガラスと共存する。相転移条件から、溶融脈の最大到達温度は900℃以上、衝撃圧力は23 GPa以下と推定される。
  • 長谷川 輝, 三河内 岳, 長尾 敬介, 羽場 麻希子, Bizzarro Martin
    セッションID: R5-17
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    NWA7325はUngroupedなエコンドライトであり,近年水星起源の隕石である可能性が指摘され,注目されている.こうしたUngroupedなエコンドライトの研究は,太陽系物質進化過程において形成された小天体の多様性や原始惑星での火成活動に関しての新たな知見が期待できるという点で非常に重要である.本研究では,この隕石の母天体での火成活動の理解に向けて,薄片試料の光学顕微鏡による観察,EPMAによる元素マッピングおよび鉱物ごとの定量分析,FEG-SEMによる微細組織の観察を行うとともに, 希ガス同位体組成の測定も行った.その結果,NWA7325は太陽系最初期に母天体のマントルに相当する部分で徐冷によって集積岩として結晶化した後に, 衝撃により母天体が破壊されるような急冷イベントを経験したと考えられる.また,最終的にこの隕石が宇宙空間に飛び出したのは約2千万年前と推定される.
  • 鳥羽瀬 翼, 吉朝 朗, 王 玲, 本宮 秀朋, 菅原 正彦, 磯部 博志, 杉山 和正, 奥部 真樹
    セッションID: R5-18
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    K-T境界層粘土の局所構造はZr k端XANESとEXAFSを研究することで配位数と原子間距離の量的データを得ることが出来る。K-T境界層粘土におけるXANESスペクトルは流紋岩質火山ガラス(obsidian, pitch stone)やテクタイトに似ている。K-T境界層粘土とテクタイトの局所構造が似ているということはK-T境界層粘土のZr局所構造に隕石衝突の熱の急冷した痕跡が残っているということを指し示している。 K-T境界層粘土におけるZr-O間距離は2.164 Åであり、配位数は6.3である。  XAFS法によるXANESとEXAFSの解析によりK-T境界層粘土におけるZr局所構造は高温状況下で形成されており、火山ガラスの4よりも低い3.8と推測される酸化状態で形成されたことがわかる。
  • 大西 市朗, 門井 美純, 留岡 和重
    セッションID: R5-P01
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    酸化的CVコンドライトの変成条件に制約を与えるため,FIB/TEMを用いて,Allende隕石中のコンドリュール交代変成組織の岩石・鉱物学的研究を行った。その結果,コンドリュール中のエンスタタイト斑晶(1次鉱物)がへき開や割れ目に沿ってFeカンラン石およびCa輝石(2次鉱物)に変質し,1次鉱物と2次鉱物の間に特定の結晶学的方位関係があることが分かった。これらの結果から,2次鉱物がエンスタタイトとFe,Caに富む流体との反応によって生成し,エンスタタイト斑晶の割れ目やへき開に沿ってエピタキシャル成長したと考察した。
  • 川田 早月, 留岡 和重, 瀬戸 雄介
    セッションID: R5-P02
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    我々は,Yamato-82094炭素質コンドライト(ungrouped)のマトリックスが非常に少ないという特徴に着目し,この隕石のコンドリュールと周りを覆うマトリックスとの成因的関係を明らかにする事を目的として,詳細な観察・分析を行った。その結果,隕石全体に渡って似通った組織を示すマトリックスの中に,コンドリュール・リムと思われる物質を見出した。リムが囲むコンドリュールには,交代変成の痕跡が多く見られる。最も一般的なのは,コンドリュールのenstatite斑晶とFe-Ni metal・troiliteが反応し,細粒のFe-rich olivineに交代している組織である。変成生成物は,リムとよく似ている。また,この組織は隕石全体に渡って見られる。以上から,コンドリュール/リムはホストとは異なる領域で,ホストと同じ環境で変成を受け,後にクラストとして現在の岩相に取り込まれたと考えられる。
  • 安武 正展, 中牟田 義博
    セッションID: R5-P03
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    DaG999ポリミクトユレイライトは、約1cm大の粗粒岩片とそれを取り囲む数mm大の細粒な岩片の集合部により構成されていた。粗粒岩片は主に粗粒なカンラン石、Caに乏しい輝石から成り、グラファイトの自形と考えられる葉片状の炭素鉱物粒子を7.0vol%含む。細粒岩片集合部はカンラン石、輝石、長石から成り、細粒な葉片状またはアメーバ状の炭素鉱物粒子を1.5vol%含む。粗粒岩片中にはケイ素に富む微細鉱物脈がカンラン石、輝石の粒間またはそれらを横切るように存在し、その脈は主に10µm程度のCaに富む輝石、Caに乏しい輝石、斜長石などから成る。
  • 浦田 佳奈, 中牟田 義博
    セッションID: R5-P04
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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     偏光顕微鏡を用いた観察やEPMAを用いた化学組成分析により、NWA2092 LL6/7コンドライト隕石の形成温度を検討した。珪酸塩鉱物は主にカンラン石、輝石、斜長石の3鉱物から成る。全体として粗粒であり組織的に均質化している様子が確認できたことから、高い変成作用を被っていると考えられる。また、コンドリュールの外形は不明瞭であり、これはtype5~6の特徴である。輝石(Opx)中のFs成分量とカンラン石中のFa成分量からLLグループに属していることが分かった。輝石の平衡温度の推定はLindsley(1983)による輝石温度計を用いて求め、Cpxからは840±40℃が、Opxからは810±50℃が得られた。今回の結果は、これまでに得られたtype6 LLコンドライト隕石の温度と良い一致を示す。
R6:深成岩・火山岩及びサブダクションファクトリー
R7:岩石・鉱物・鉱床一般(共催:資源地質学会)
  • 細川 圭太, 赤坂 正秀
    セッションID: R7-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    久喜鉱山は石英斑岩を母岩とした鉱脈鉱床で,主要鉱石鉱物は黄鉄鉱,方鉛鉱,閃亜鉛鉱,硫砒鉄鉱,黄銅鉱である.黄鉄鉱は3期の晶出時期に区分される.As↔S置換による組成累帯構造を持つ.硫砒鉄鉱には2期の晶出時期が識別され,(Sb,Co)↔As置換による組成累帯構造を持つ.閃亜鉛鉱は黄銅鉱の離溶が顕著なドメインを粗粒の黄銅鉱粒子を含む閃亜鉛鉱が埋める.黄銅鉱は閃亜鉛鉱中に離溶して産出するほか,他の鉱石鉱物の粒間に産出する.方鉛鉱は黄鉄鉱などの粒間や周囲に産出する.銀鉱物は1)黄鉄鉱1に包有される自然銀と濃紅銀鉱; 2)黄鉄鉱の孔及びその周辺に分布する輝銀鉱と鉱染状自然銀粒子; 3)閃亜鉛鉱の孔に生成する自然銀,として産出する.前期鉱化期では黄鉄鉱1→1)の銀鉱物→黄鉄鉱2+硫砒鉄鉱→黄鉄鉱3+硫砒鉄鉱2,と晶出し,後期鉱化期では閃亜鉛鉱→黄銅鉱→方鉛鉱→)2および3)の銀鉱物,と晶出した.
  • 水田 敏夫, 緒方 武幸, Mercier-Langevin Patrick
    セッションID: R7-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    閃亜鉛鉱は多様な鉱床に産する硫化鉱物であり,多くの研究がある.黄鉄鉱+六方晶系磁硫鉄鉱と平衡にある閃亜鉛鉱の組成が地質圧力計となるとされている.閃亜鉛鉱-磁硫鉄鉱粒界周辺のFeS含有量の離溶現象に伴う濃度プロファイルから,拡散過程や変成作用の履歴を検討した.対象としたAbitibi greenstone beltに産するいくつかの火山性塊状硫化物鉱床は,角閃岩~グラニュライト相の変成作用を被っている.各塊状硫化物鉱床産のいくつかの鉱石のEPMA分析を行なった.離溶によって析出したラメラ状の磁硫鉄鉱,黄銅鉱などの包有物を含む閃亜鉛鉱の組織とその化学組成は, ラメラからはなれた鉄含有量平坦部,ラメラとの接触部,その間の拡散パターンの形状に着目し,拡散プロセスを解析した.
  • 緒方 武幸, Jamsran Erdenebayar, Sereenen Jargalan, Jargal Lkhamsuren
    セッションID: R7-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    南ゴビLugiin Gol岩体にはRE鉱物を含むカーボネイト脈が産する.Lugiin Gol岩体の岩石学的研究は報告があるが, REE鉱化作用に関する研究はあまり行われていない.本研究では,カーボネイト脈に産する希土類鉱物などの産状記載を行い,REE鉱化作用の検討を行った.その結果,Lugiin-Gol岩体に産する含REEカーボネイト脈はマグマ活動だけでなく,その後のマグマ性熱水活動によるREE鉱化作用の可能性が示唆された.
  • Khishgee Chinbat, Akasaka Masahide
    セッションID: R7-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    Gold occurrences and distributions in the orogenic type Boroo, Gatsuurt and Ulaanbulag deposits in the North Khentei gold belt of Mongolia were studied to recognize paragenetic relation between gold and sulfides. The result is concluded that gold continuously crystallized with ore-forming sulfides, but main gold deposition event took place after sulfide mineralization stage.
  • 小畑 正明
    セッションID: R7-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    閉鎖系内で半径方向に物質のセグリゲーションが起こった事例を報告する。サンプルはロンダかんらん岩にレイヤー状に産するざくろ石単斜輝岩。ざくろ石を置き換えて発達するケリファイトはOpx, Sp, Pl, Cpxからなる。Opx-Spシンプレクタイトパッチはサイズ,量ともにざくろ石から離れたケリファイト外周部に向かって増大する。ケリファイトのバルク組成は内側と外側で異なるが,全体としては,Na以外はざくろ石に一致することが分かった。
  • 江島 輝美, 赤坂 正秀
    セッションID: R7-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    熊本県阿蘇上米塚に産するスコリア構成鉱物における高温酸化の影響について研究した。特にかんらん石に関しては、Feの酸化数,Fo含有量と析出物の関係に着目し、高温酸化による変化を詳細に記載した。Feの酸化数の決定には、EPMA法を用いた。上米塚スコリア丘の外側は、層状に積み重なった黒色スコリアからなり、中心に向かって赤色度が強くなり、赤褐色部のスコリアは溶結している。黒色スコリアのかんらん石の斑晶は、リムにおいて少量のFe3+が検出され、空孔に接する部分に微細な析出物が観察された。赤褐色部スコリアのかんらん石斑晶は、リム及び割れ目に沿って析出物が生成し、かんらん石部分は著しくMgに富む。また、普通輝石は中心部分が淡黄色をしており、リムは褐色を呈し,Fe3+に富む特徴を示す。かんらん石と普通輝石に観察された組織または化学組成の違いは、高温酸化の影響により生じもたらされたものであると結論される。
  • 越後 拓也, 西間木 志野, 星野 美保子, 木股 三善, 清水 雅浩, 齋藤 静夫, 西田 憲正
    セッションID: R7-07
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    新潟県佐渡島の南端に位置する小木半島には、中期中新世に活動した玄武岩が広く分布する。今回、これらの玄武岩中に含まれる粒径1cm以上の灰長石巨晶およびその包有物について、詳細な観察と分析を行ったので、その結果を報告する。灰長石巨晶の化学組成は、波長分散型電子線プローブマイクロアナライザーを用いた局所化学分析の結果、中心部から縁辺部に至るまでほぼ均質な組成(An成分92–94%)を持つことが判明した。なお、斑晶の斜長石はAn成分79-84%を示し、巨晶とは明確に区別される。灰長石巨晶には、Fe-Cu-Ni硫化物や、イオウや塩素を含有する苦鉄質ガラスが包有されていた。火山フロント、例えば三宅島などに産出する灰長石巨晶には、融食したカンラン石が包有されていることが多く、日本列島の背弧側である小木半島での灰長石巨晶の生成環境が、火山フロントのものと大きく異なることが示唆された。
  • 遠藤 大介, 荒川 洋二, 池端 慶, 大鹿 淳也, 新村 太郎, 森 康
    セッションID: R7-08
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    伊豆弧北西部に位置する新島火山は、流紋岩を主体とする活火山で、少量の玄武岩~安山岩質火山活動があったことが知られている(一色, 1987)。筆者らはこれまで,本地域に産する流紋岩、玄武岩および深成岩捕獲岩類について記載岩石学的・岩石化学的研究を進めてきた(たとえば、遠藤ほか,2010)。今回の発表では、本地域より産するハンレイ岩質捕獲岩について記載岩石学的研究、鉱物の化学組成分析、全岩化学組成分析等を行なった結果を報告し、新島火山におけるハンレイ岩の起源や生成過程、および関連するマグマの性質や分化過程について議論する。
  • 佐津川 貴子, Piazolo Sandra, Colás Vanessa, González-Jiménez José-María, Gr ...
    セッションID: R7-09
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    クロミタイトはクロムの鉱床として重要であると同時に,その主要鉱物であるクロムスピネルは上部マントルにおける第4の鉱物であるが,その変形過程,特に流体−変形相互作用についての詳細は不明である.変形に伴う化学組成均質化について明らかにするため,南東ブルガリア・Golyamo Kamenyane蛇紋岩帯に産する変形したクロマイトを対象にSEM-EBSDを用いて研究を行った.これらは,角閃岩相における変成過程において,酸化した Fe3+に富む流体と反応しており,再平衡化に伴うこれらの反応により,動的再結晶と新しい核生成を伴う塑性変形が引き起こされた可能性があると示唆された.
  • 業田 顕行, 山元 正継, 笹沼 貴弘
    セッションID: R7-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    北部フォッサマグナ地域には中新世以降の火山岩が多数分布しており,その地球化学的水平変化はその直下のマントルの化学組成の影響を受けていると考えられる.Nd同位体比の異なる火山岩は大きく2つのグループに分けられ,それぞれ特定の分布域を持っている.Nd同位体比の低いグループは北部フォッサマグナ地域の西端および東端の北部に,Nd 同位体比の高いグループは中央部から南部にかけて分布している.HFS元素はおおむねMORB的であるが,低Nd同位体比グループの火山岩はZr/Nb比やHf/Nb比が低く,E-MORB的である.前者は相対的に肥沃なマントル,後者は枯渇的なマントルに由来すると考えられ,フォッサマグナ形成時に中央部に枯渇的なアセノスフェアが中央部に貫入したことを示唆している.
  • 荒井 章司, 三浦 真, 石丸 聡子, Shmelev Vladimir R.
    セッションID: R7-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    2013年8月に実施したロシア,北極圏ウラルのオフィオライトの調査結果の概要を発表する。3つのかんらん岩体があり,いずれもガブロ岩体を伴う。そのうちの1岩体(Ray-Iz)からダイヤモンドを含む超高圧クロミタイトが見いだされ注目を集めている。その産状を知ることを主要な目的の1つとした。かんらん岩は葉理構造の発達したハルツバーガイトが主である。ハルツバーガイトはFo92程度の組成を示すが,クロムスピネルはFe3価に富む特異な組成をしめす。しばしばかんらん石中の細粒包有物として産する。緑泥石,トレモライト,滑石と共存し,単斜輝石を欠く。脱蛇紋岩化を経験した変かんらん岩である可能性が高い。クロミタイトも多くの場合菫泥石に富む,変クロミタイトである。この変成作用と超高圧鉱物の関係は極めて興味深く,解析を行っている。
  • 三浦 真, 荒井 章司, 石丸 聡子, R. Shmelev Vladimir, 山本 伸次
    セッションID: R7-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    超高圧クロミタイトの成因を特定するために、北極圏ウラル、ライイズ・オフィオライトおよびチベットの超高圧クロミタイトの比較検討を行っている。ライイズ・クロミタイトは周囲の変成ハルツバーガイトの変形構造とほぼ調和的にダナイトに包まれる様にして産する。分散・塊状・ノジュラー組織を示す。クロミタイトおよび周囲のダナイト中のスピネルは高いCr# (0.75~0.85)、低いTiO含有量(0.1~0.2wt%)を示す。ライイズ・クロミタイトのスピネルはパーガス閃石・Naフロゴパイト等の初生的含水包有物を一切含まず、単斜輝石・ルチルより成る離溶ラメラを含む。これらの特徴はチベットの超高圧クロミタイトの特徴と酷似しており、超高圧クロミタイトの成因を特定する上で非常に重要な情報となりうる。
     
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