日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2017年年会
選択された号の論文の197件中151~197を表示しています
R6:深成岩・火山岩及びサブダクションファクトリー
  • 大場 司, 井村 匠, 伊藤 啓太, 南 裕介
    セッションID: R6-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    We observed volcanic ash of phreatic eruptions from Ontake, Tokachi, Kurikoma, and Azuma volcanoes. Various alteration conditions are interpreted from the alteration mineral assemblages. The difference in the alteration mineralogy is related to the frequency of magma eruptions. The volcanoes with high frequencies of magma extrusions tend to discharge the ash with the monotonous mineral assemblages of the low-T advanced argillic alteration, whereas those with low frequencies are related to the assemblages from porphyry-type hydrothermal systems.
  • 近藤 健太郎, 星出 隆志
    セッションID: R6-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    マグマの冷却速度はマグマプロセスのタイムスケールを見積もる上で非常に重要である.Holness (2014) は過冷却度に応じて変化するとされる斜長石のアスペクト比について,5つの岩床と1つの溶岩湖でその垂直変化を調べ,アスペクト比と熱伝導計算で得られる冷却時間との間に逆相関があることを見出した.しかしながら,本論文では組成の近いソレアイト質の岩体を対象とし,マグマの組成の影響についてはあまり議論されていない.そこで,我々は斜長石のアスペクト比のマグマ組成の違いによる影響を検討すべく,東北日本のアルカリ玄武岩質貫入岩体 (温海ドレライト岩床群; Kushiro, 1964) に対し,鏡下での斜長石アスペクト比測定と,熱伝導計算による岩体の冷却時間推定を行った.その結果,Holness (2014) と同様に,斜長石アスペクト比と熱伝導計算で見積もられる冷却時間の対数との間に逆相関があることが明らかとなった.しかしながら,斜長石アスペクト比の値は,温海ドレライト岩床の方がHolness (2014) の結果に比べて大きい.この原因として,元素拡散係数に対するマグマの粘性の影響が可能性の1つとして考えられる.
  • 日下 葵, ピトン マリ, 荒井 章司
    セッションID: R6-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    オマーンオフィオライトのマントルセクションのかんらん岩には,非常に多くの超苦鉄質~苦鉄質岩脈が貫入しており,特に輝石岩脈は全体のおよそ50%を占めている(Python and Ceulenner, 2003).オマーンオフィオライトで見られる輝石岩脈はマグマソースの一部である可能性があり,本研究では輝石岩脈が地球システム内で果たす役割を議論する.オマーンオフィオライト中央部に位置するMiskin岩体のマントルセクションを調査した結果,ほぼ全ての岩脈が輝石岩によるものであった.貫入様式から輝石岩脈を分類した結果,母岩であるハルツバージャイトとの境界が不明瞭であり,マントルの構造に調和的であるものを,レイヤーとした.鏡下観察から,レイヤー内の斜方輝石が溶融してかんらん石となっていることが分かった.また,レイヤーの鉱物化学組成はマントルかんらん岩と平衡していることが分かった.これらから,レイヤーの起源はリサイクルされた海洋地殻の溶け残りであると考えられる.
  • 海野 進, 金山 恭子, 北村 啓太朗, 田村 明弘, 石塚 治, 仙田 量子, 荒井 章司
    セッションID: R6-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    伊豆―小笠原―マリアナ弧形成前のフィリピン海~西太平洋下には,中央海嶺玄武岩のソースマントル(DMM)的なレールゾライトと高枯渇ハルツバージャイトからなる不均質なマントルがあった。52 Maに始まった太平洋プレートの沈み込みによって,深さ100 kmから不均質なマントルアセノスフェアが上昇し,DMM的なマントルは減圧溶融して中央海嶺玄武岩的なマグマ(原島弧玄武岩)を生じた。しかし高融点のハルツバージャイト塊は溶融することなく,高温のまま上昇した。沈み込み開始から400万年経って,原島弧玄武岩の融け残りマントルはスラブ流体の付加により再溶融して低シリカ無人岩マグマを生じ,高枯渇ハルツバージャイトの溶融で高シリカ無人岩を生じた。高シリカ無人岩と低シリカ無人岩,すなわち原島弧玄武岩が異なるソースマントルに由来することはPb-Hf-Nd同位体モデル計算によって支持される。また,Yb-Os同位体モデルは高シリカ無人岩及び原島弧玄武岩のソースマントルは,未分化マントルがそれぞれ1.5ー1.7 Gaに18ー30 wt%,3.6ー3.1 Gaに3.5ー4 wt%融解した融け残り岩であることを示す。
  • 田村 芳彦
    セッションID: R6-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    島弧の成長と海底カルデラの生成に関しては次のようなシナリオを描く。始新世から漸新世の伊豆弧の詳細な火山分布などはわからないが、地殻は現在と比較して明瞭に薄かった(厚さ10-20 km)。よって、上部マントルの融解による島弧マグマも安山岩を主体とするものであった(Tamura et al., 2016)。四国海盆の拡大以降、火山フロントの活動が再開したが、現在の小笠原弧のように地殻が薄かったと考えると、Tamura et al. (2016)で示されたように、噴出するマグマは安山岩を主体とするものであり、さらに中部地殻の成長にも大きな役割を果たしたに違いない。地殻が成長していくと、マントル上部が高圧になり、玄武岩マグマしか生成できなくなる。さらに重要なことは、この伊豆弧成長の後期に生成された玄武岩マグマは、地殻の薄いときに形成された安山岩質の中部地殻を選択的に融解し、海底カルデラ生成の原因となる。
  • 丸山 誠史, 森戸 茂一, 服部 健太郎, 平田 岳史, 鈴木 毅彦, 檀原 徹
    セッションID: R6-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    代表的な第四紀火山ガラス試料4種に関して、二種類の紫外線レーザー(波長193nmのエキシマーレーザーと波長260nmのフェムト秒レーザー)を用いてICP-MSによる多元素定量分析を行った。各元素の定量値は概ね一致していたが、ホウ素の値は、フェムト秒レーザーを用いた場合、エキシマーレーザーを用いた場合に比べて非常に大きなばらつきを示した。微結晶を殆ど含まないLipari obsidianのホウ素濃度測定値のみほぼ一致した事などから、他の試料で見られたホウ素測定値の分布の違いは、ガラス中に不均一に存在する含ホウ素微結晶の関与が推定された。Lipari obsidianのXRDパターンからは、微結晶の存在を示すピークは見られなかった。一方、Sheep TrackおよびLakiの2試料のXRDパターンからは、長石や輝石といった造岩鉱物に加えて、含ホウ素鉱物の微結晶の存在が示唆された。Old Crowに関しては顕著なXRDピークは見られなかったが、これは含ホウ素微結晶が、サブミクロンサイズの”nanolite”であるためと推定された。
  • 亀井 淳志, 山本 奈穂, 早坂 康隆, 今岡 照喜
    セッションID: R6-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    隠岐の島の白亜紀花崗岩の成因と地質学的位置づけについて講演します.
  • 大和田 正明, 亀井 淳志, 川嵜 智佑
    セッションID: R6-09
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    活動的大陸縁辺部でマグマ過程を解析することは,大陸地殻の成長や分化過程の理解に貢献できる.ここでは,九州の白亜紀火成岩類の分布,活動時期および組成から,地殻の進化過程を議論する.九州北部には,東西約100km, 南北約50kmにわたりバソリス状の白亜紀深成岩体が分布するほか,大分から熊本にかけて,小規模な深成岩体が点在する.深成岩類は主に花崗閃緑岩から構成され,同時期に貫入した細粒閃緑岩の小岩体や集積組織を示す不均質な粗粒斑れい岩のブロックを伴う.LA-ICP-MSジルコンU-Pb年代による花崗閃緑岩と斑れい岩ブロックの年代は,それぞれ102~104Ma と>105Maである.九州北部のバソリス地域は正のブーゲー異常を示し,特に細粒閃緑岩のストックや粗粒斑れい岩ブロックの分布域では,局所的に正異常が強い.花崗閃緑岩,細粒閃緑岩および粗粒斑れい岩Sr-Nd同位体初生値は類似し,3岩相は成因的関連性が強い.モデル計算によれば,花崗閃緑岩の組成は粗粒斑れい岩の部分溶融で再現できた.以上から,白亜紀の広域的な火成作用は,苦鉄質下部地殻と花崗岩質中~上部地殻の分化を促進したと推察される.
  • 中野 伸彦, 亀井 淳志, 足立 達朗, 小山内 康人
    セッションID: R6-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    本研究は,ジルコン分離の際に濃集するアパタイトを有効活用し,1度のジルコン分離からU-Pb年代とHf・Sr・Nd同位体比取得を目的とした.
  • 土谷 信高, 山崎 大輔
    セッションID: R6-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    スラブメルトとマントルかんらん岩の反応について明らかにするため,かんらん岩にスラブメルトを加えた出発物質を使用し,1.5 GPa, 1000℃および1050℃,水飽和の条件で部分融解実験を行った.その結果,出発物質にスラブメルトを加えた場合には,いずれもデイサイト質~安山岩質メルトとFo90前後のかんらん石が共存すること,生成されるメルトの量は出発物質に加えたスラブメルトの量に依存することが分かった.以上の実験結果が正しければ,スラブメルトがマントルかんらん岩と反応した場合,高Mg安山岩ではなくカルクアルカリ質のデイサイト~安山岩質マグマが直接生成されることになる.またスラブメルトと反応したかんらん岩が部分溶融した場合,水が十分にあればカルクアルカリ質のデイサイト~安山岩質マグマが発生しうることになる.
  • 清水 隆一, 川野 良信
    セッションID: R6-P01
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    栃木県鹿沼市には日向層の玄武岩が分布している。本地域は東北日本弧南端部に位置し,日向層玄武岩から報告される放射年代(17.3–15.3 Ma)は日本海拡大の時代と一致している。このため,日向層玄武岩の成因は清水(2016)が指摘したフィリピン海プレート由来流体との関連が示唆される。
     日向層玄武岩は岩石の組織や全岩化学組成および同位体組成の特徴に基づき,Hn–typeとHSr–typeに区分される。両者がもつ主成分組成は,東北日本弧に産するマントル起源の中新世玄武岩と同様島弧ソレアイト質の特徴を示す。
     16.3 Maで計算したHn–typeのSr–Nd同位体比初生値は,東北日本弧のマントル起源玄武岩と同様の値を示すことから,Hn–typeはマントルの部分融解によって生成されたと考えられる。
     一方で,HSr–typeはフィリピン海プレート由来流体の影響を受けた火山岩類よりも,さらに高いSr同位体比と低いNd同位体比をもち,この値は本邦に産する玄武岩からは報告されていない。本講演ではHSr–typeの成因について,地殻物質との著しい同化作用が起きた可能性などを追求する。
  • 平山 剛大, 柴田 知之
    セッションID: R6-P02
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    姫島火山は九州国東半島の沖合、瀬戸内海の西端に位置する第四紀の小規模な火山である。姫島火山群の火山岩類はデイサイト質マグマと流紋岩質マグマの混合マグマから形成されたと考えられている(伊藤, 1990)。しかしながら、マグマの生成条件については斑晶ザクロ石の存在から定性的に温度条件が推定されているだけであり(伊藤, 1990)、マグマの発生から噴火に至る火成活動全般にわたる理解には達していない。本研究では、この流紋岩質マグマの成因について考えるために、流紋岩を中心にザクロ石、角閃石などの鉱物組成の定量分析を行った。
  • 岡田 郁生, 柴田 知之
    セッションID: R6-P03
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    由布岳のマグマの温度圧力条件を,角閃石地質温度圧力計を用いて求めた。その結果,火山直下に少なくても3つの深度の異なるマグマ溜りが必要であることが分かった。
  • 水渓 由希, 柴田 知之
    セッションID: R6-P04
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    We investigated the magma genesis of Sakurajima volcano from the trace and Sr-Nd-Pb isotopic compositions. The Nb depletion show the typical island arc magma characters. The Sr, Nd, and Pb isotopic compositions plot close to a mixing curve between MORB-type mantle and sediments of the Philippine Sea Plate, (PSP) but displaced a bit towards more radiogenic compositions. These observations indicate that mixing of andesitic and dacitic magmas and that multiple dacitic magma chambers with different geochemical characteristics.
  • 吉田 哲平, 加々島 慎一, 植田 勇人, 高橋 俊郎, 野原 里華子
    セッションID: R6-P05
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    東北日本の地質帯である阿武隈帯の南部域の阿武隈山地では,深成岩類が広く分布するのに対し,中部~北部域では,分布が限られており,岩石学的研究が進行していない地域が多い.蔵王火山は阿武隈帯中部域に位置し,その基盤岩は角閃石黒雲母花崗閃緑岩から構成されている.岩石記載,全岩化学分析の結果より,マグマの分化作用が考えられ,分化作用に伴うCaOの減少は, CaOを多く含む斜長石と角閃石が分別相であると説明できる.ジルコンU-Pb年代測定および全岩のSr同位体比測定の結果,97.8±1.3 MaのジルコンU-Pb年代,Sr同位体比初生値(SrI)=0.7070~0.7072が得られた.約0.707のSrIは阿武隈帯花崗岩類では非常に高い値であり,この要因としてSrIの高い物質と花崗岩質マグマの混染などが考えられる.本研究地域から見つかった泥質片麻岩はザクロ石黒雲母地質温度計より586~782℃の温度条件が得られ,より深部ならば部分溶融を起こすことが考えられる.蔵王基盤岩のSrIの特徴から,成因関係として泥質片麻岩の同化が考えられ,これは同化分別結晶作用で説明できる.
  • 小池 渉, 堤 之恭
    セッションID: R6-P06
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    筑波山塊は後期ジュラ系~前期白亜系の付加体からなる八溝層群に貫入した花崗岩類及び斑れい岩類を主体とする.この深成岩類の形成年代については,これまで花崗岩類は63~58Ma,斑れい岩類は75Maとされている.花崗岩類は稲田花崗岩(In),加波山花崗岩(Ka),筑波花崗岩(Ts)に,斑れい岩類は筑波山岩体(Gb1),道祖神岩体(Gb2)に大区分され,岩相の特徴,貫入関係,母岩である変成岩類の産状と関係などから相互の貫入関係が長年論じられてきた.これらの筑波山塊の深成岩類の形成年代について再検証を試みた.
     今回,筑波山塊の深成岩類について12試料からジルコン粒子を抽出し,U-Pb年代を測定した.その結果,筑波山塊の花崗岩類の形成時期について,概ね81~78Maと66~61Maの2回のマグマの活動が認められ,従来の岩体区分及びマグマの活動史について再検討が必要と考えられる.
  • 岡澤 誠, 亀井 淳志
    セッションID: R6-P07
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    西南日本内帯は岩相や帯磁率などにより南から,領家帯,山陽帯,山陰帯に分けられる.このうち山陰帯の島根半島南部には大規模な深成岩バソリスがあり,西南日本の地殻形成に大きく貢献している.本研究では,沈み込み帯での深成岩バソリス形成の出発点における火成活動の活動様式やマグマ成因の解明を目的として,野外調査および全岩化学組成分析を行った.調査の結果,金持はんれい岩が最初に活動し,その後に比較的おおきな花崗岩マグマ活動が起こっていた.一方, 全岩化学組成分析の結果では,金持はんれい岩は分別結晶作用により,はんれい岩~石英閃緑岩までの岩相が形成されたことが示された.また,これに続いて形成した花崗岩類(朝刈谷花崗閃緑岩)は苦鉄質~珪長質マグマの混合によって形成した可能性が示唆された.
  • 宮本 知治, 島田 和彦, 角替 敏昭, Dunkley Daniel J., 加藤 睦実
    セッションID: R6-P08
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    Post metamorphic mafic dyke was found on Skallevikshalsen, LHC. The dyke cut host gneissosity obliquely, and contains small pieces of gneiss as xenoliths. The dykes are holocrystaline. Some constituent minerals, especially biotite flakes are commonly aligned to parallel to the trend of the dyke intrusion. Grain size of the minerals is ranging 0.5 to 3 mm, and some kind of minerals were coarsened from margin to center in the dyke. The dyke rocks have much incompatible elements, especially LIL elements. The dyke rocks are finally regarded as minette.
R7:岩石・鉱物・鉱床一般(資源地質学会共催セッション)
  • 三浦 保範
    セッションID: R7-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    地球の多様で多数の鉱物は、継続的な海底堆積物と陸地過程で形成され、その海底堆積物起源の揮発性元素(炭素)含有の各種岩石がナノ観察で確認できた. 玄武岩的な地表岩石活動で、地球深部的な高圧物質の形成が説明できる.
  • 齊藤 哲, Bagdassarov Nikolai
    セッションID: R7-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    本論では、オマーンオフィオライト産斑れい岩について、高温(250~908℃)、高圧(0.6 PGa・0.8 GPa)、乾燥条件下で得られた電気伝導度測定値について報告する。実験に用いた試料は、先行研究で得られた高温高圧条件での弾性波速度から、下部海洋地殻の代表的試料とされているものである。電気伝導度測定値は、温度の低下とともに減少する。本実験により得られた下部海洋地殻相当の温度条件下での斑れい岩の電気伝導度は、野外電磁探査により得られた下部海洋地殻の電気伝導度より有意に低い。この不一致は、斑れい岩質下部海洋地殻中に伝導性の間隙流体が存在すると解釈することで説明ができる。
  • 荒井 章司, 石丸 聡子
    セッションID: R7-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    クロミタイトの特徴の1つにクロマイト中の固体包有物の存在がある。直径100μ程度の球~楕円体状である。クロマイト粒子中にランダム~同心球状に配列される。主要構成鉱物はパーガス閃石,フロゴパイト(特にアスピドライト),輝石類であり,地殻中の層状クロミタイトおよびマントル中のポディフォーム(ポッド状)クロミタイト双方に認められる。この包有物は謎に満ちている。従来クロマイト形成と同時にトラップされたマグマ滴であると解釈されて来たが,大きな疑問が残る。他の例を参照にその成因を再検討する。特に,交代作用によりクロマイト形成後に二次的にトラップされたものである可能性を提唱する。
  • 市山 祐司, 田村 明弘, 荒井 章司
    セッションID: R7-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    古第三紀付加体の嶺岡帯中のかんらん岩は、中程度に枯渇したハルツバージャイトが卓越し(Arai, 1991)、様々なサイズの斑れい岩質岩脈や細脈(1cm~数10cm)によって貫かれる。千葉県鴨川市八岡海岸では、厚さ~10cmの斜方輝岩の岩脈を含むかんらん岩(著しく蛇紋岩化したハルツバージャイト)の転石(径>1m)が複数確認できる。斜方輝岩中の斜方輝石と斑れい岩の斜方輝石生成物の化学組成は、通常のハルツバージャイトの斜方輝石と比較して、Mg#が低く、Al2O3、Cr2O3、CaO量に乏しい。単斜輝石及び斜長石の希土類元素組成は、斜方輝岩中のものが斑れい岩中のものより軽希土類元素にエンリッチしている。このことは、嶺岡帯の斑れい岩と閃緑岩・トーナル岩の全岩微量元素の関係に類似する。斑れい岩と斜方輝岩の岩脈を形成したメルトは、それぞれ始新世に形成されたIBM弧の玄武岩質マグマと安山岩~珪長質マグマであったと考えられる。嶺岡帯のかんらん岩類は、MORBに類似した組成のメルトを抽出した後の溶け残りであり、その後のIBM弧の玄武岩質~珪長質火成活動によって岩脈類が形成された。
  • 濵田 麻希, 江島 輝美, 実松 健造
    セッションID: R7-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    ラオス南部のBolaven plateauの東側には霞石かんらん石玄武岩が分布する.本研究では霞石かんらん石中の構成鉱物の産状や化学組成について詳細な記載を行った.霞石かんらん石玄武岩は緻密で暗青灰色の岩石である.かんらん石微斑晶はほとんどが変質し緑泥石化しているが,中心部にかんらん石を残した微斑晶も存在する.Ti輝石は,柱状結晶として産出し,最大TiO2を2.16 wt%含む.しばしば細粒な霞石とチタン鉄酸化物を包有する.スピネルは褐色から明褐色または黒色を呈し,岩石全体ではなく一部にのみ産出する.石基中のアパタイトは他形で,化学組成からハイドロキシアパタイトである.霞石の産状は三種類に分類される; 1)自形の微斑晶,2)他形の間隙充填鉱物,3)他の斑晶,微斑晶の包有物.微斑晶としての霞石は六角短柱状の自形結晶として産し,total Fe2O3含有量は1.20-3.17wt%である.またしばしば細粒なTi輝石やチタン鉄酸化物を包有する.構成鉱物の産状から,初生的な霞石は早期に生成し,鉱物の晶出順序はOl+Nep+Px+Sp → Nep+Px+Opqであると結論される.
  • 安東 淳一, 西脇 隆文, 長岡 昂吉, 廣瀬 丈洋
    セッションID: R7-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    鏡肌を伴う断層のすべり特性を理解するために、Carrara marbleを試料とした,高速摩擦試験と二軸摩擦試験(クリープ実験)を行った。その結果,鏡肌の発達は,断層運動すべりに大きな影響を与える事が明らかとなった。
  • 林 謙一郎, 松倉 啓
    セッションID: R7-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    福島県伊達永井鉱床において、スカルンを構成する各種鉱物の酸素同位体比を求めた。ザクロ石および灰重石の酸素同位体比はそれぞれ、δ18O = 4.6-8.2 ‰、および0.8-2.9 ‰と求まり、両者間では酸素同位体平衡は成立していない。石英-灰重石組み合わせより得られる酸素同位体温度(277℃)において、各種鉱物の晶出に関与した熱水溶液の同位体比を算出した。スカルン形成早期の熱水は、δ18O = 6-8 ‰であり、ザクロ石はこの熱水溶液から晶出した。一方、比較的後期の熱水溶液は、δ18O = 1-5 ‰で、灰重石や石英はこの熱水溶液によって形成された。初期溶液の起源はマグマ水と考えられ、後期の熱水には天水などより軽い酸素同位体比を有する水の関与が示唆される。
  • 小河原 孝彦, 宮島 宏, 竹之内 耕, 茨木 洋介, 小西 博巳, 赤井 純治
    セッションID: R7-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    小滝川の流れる新潟県糸魚川市西部には,蓮華帯(Nishimura 1998)と呼ばれる,変成岩を構造岩塊として含む蛇紋岩メランジュが分布する(中水ほか 1989, 松本ほか 2011).
    2017年6月7日,小滝川上流にある長栂発電所から,濁度99%に達する白濁現象の発生が,糸魚川市に情報提供された.
    白濁物質の分析の結果,緑泥石,滑石,クリソタイル,トレモライトと同定された.このことから小滝川上流に分布する蛇紋岩を含む斜面の崩壊が考えられる.
    クリソタイル及びトレモライトは,形態観察からアスベストであることが判明した.XRDによるRIR半定量分析結果では,河川水中に2-4wt%,白濁水から沈殿した白色沈殿物に7-20wt%アスベスト鉱物を含有する可能性がある.市内の大気中に含まれるアスベスト含有量を7カ所で調査したが,検出限界以下であった.
    今回の白濁現象では,白濁した河川水に有害重金属などの水質的な問題は見られなかったが、その後の調査でアスベスト鉱物が確認された.上流部に蛇紋岩地帯がある河川が懸濁した場合は,その水質だけではなく,懸濁物質の鉱物学的な情報も合わせて検討する必要性を示唆している.
  • 武内 浩一, 鈴木 正哉, 森本 和也, 大和田 朗
    セッションID: R7-09
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    天草陶石は熊本県天草下島の西海岸に産出する陶磁器用原料で、わが国最大の陶石鉱床である。幅5~10m、延長4~5kmのほぼ直立した岩脈状で、数本の鉱床が存在する。低火度陶石は耐火度がSK20番以下の陶石で1~2wt.%のNa2Oを含んでいる。XRDでは曹長石が検出されるが、偏光顕微鏡やSEM/EDSでの確認は困難で詳しい産状は不明であった。今回、作業時に粘土鉱物の脱落が少ない乾式研磨法で検鏡試料を作製して観察を行った。反射顕微鏡観察では、表面上に10~20μmのピットが認められたが、大面積での脱落痕は生じていなかった。SEM/EDSの元素マッピングでは、曹長石は50μm以下の不定形粒子であり、微粒子が集合する組織の主要構成鉱物となっていた。薄片の偏光顕微鏡観察では、曹長石が多く存在していることを確認した。曹長石は微細な異物を包含する濁った色調の粒子で、劈開が認められることもある。微小な流体包有物が石英や長石の粒子中に存在していることも観察できた。本法式は粘土鉱物を多く含む岩石(窯業原料、熱水変質岩)全般に対して、きわめて有効な試料調整法であることが示された。
  • 堤 之恭, 三宅 優佳
    セッションID: R7-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    甑島列島、双子島の片麻状石英閃緑岩のジルコンのU-Pb年代測定を行った。この岩石には「きれいな小粒」「汚い大粒」の二種のジルコン粒子が含まれていた。前者は原岩形成年代と考えられる103.7 ± 1.6 Maの平均年代を示したが、後者は熱的影響を受けたと思われる、より若いばらけた年代値を示した。この岩石の片麻状組織を形成した変成作用は、肥後変成作用ではなく、もっと若い高温型変成作用と思われる。
  • 池田 杏香, 宮本 知治, 石橋 純一郎, 堤 映日, 山﨑 由貴子
    セッションID: R7-P01
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    熱水変質作用における物質移動量を見積もることは鉱床探査において重要視されている。そこで本研究では地表から熱水が噴出している小安峡において熱水変質における元素挙動を解明し、岩石の変質過程を解析する。岩石・鉱物試料は熱水噴出孔からの距離を計測しながら採取し、主要元素・微量元素含有量を測定した。 Isocon解析の結果、熱水近傍ではNa、Si濃度が高く、Mg、Ca、Sr、Rb濃度が低かった。また噴出孔から距離が遠くなるとNa、Siが急激に減少し、Mg、Caが増加した。熱水近傍試料中の黒く農集した部分ではNi、Cr、Znなど金属元素の濃度が高かった。熱水近傍においてSi、Na濃度が高いことから、これらが流体から付加されたことが示唆される。原岩中の斜長石が分解することで熱水近傍ではCa、Rb、Srが減少し、斜長石が分解することでMgが減少した。また熱水近傍では硫化鉱物が生成することで金属元素が増加したと考えられる。
  • Bolormaa Tsogtbaatar, Yasuhito Osanai, Nobuhiko Nakano, Tatsuro Adach ...
    セッションID: R7-P02
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    Coal fly ash is produced in thermal power plants but contains significant amounts of useful elements including rare earth elements (REE). Although the minerals and chemical composition of coals and coal fly ashes are different between Baganuur and Shivee-Ovoo, chemical compositions of glassy particles in their coal fly ashes are similar. Especially REE contents of colorless particles in both coal fly ashes showed greater than those of coal fly ashes. If the method to extract colorless particles from coal fly ash is developed, it represents a significant economic opportunity.
  • 下林 典正
    セッションID: R7-P03
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    兵庫県養父市大屋地域に分布する関宮超苦鉄質岩体は、ヒスイ輝石岩やアルビタイトなど各種の構造ブロックを含んだ蛇紋岩メランジェである。 同産地のアルビタイトを構成するNaに富む斜長石が、ヒスイ輝石岩との接触によって、局所的に、より純粋なアルバイト組成へと変化したことを示唆する反応組織が見出されたので報告する。
  • Dyuti Prakash Sarkar, Gautam Ghosh, Jun-ichi Ando, Kaushik Das
    セッションID: R7-P04
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    Current study deals with the evolution of microstructures in shallow crustal active fault within Himalayas, India. The outcrops portray an increase in fracture density, with consequent development of gouge, due to stress accumulations towards the core of thrust. The petrographic analysis, shows corresponding evolution of microstructures, suggesting pressure solution and cataclastic deformation as primary deformation mechanisms, with low deformation temperature.
R8:変成岩とテクトニクス
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