日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2017年年会
選択された号の論文の197件中51~100を表示しています
R1:鉱物記載・分析評価
  • 古川 登, 浅賀 かおり
    セッションID: R1-P03
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    オレンジ方解石の着色要因はマンガン酸化物による可能性が高いことを明らかにした.合成直後は淡桃色を呈していた生成物が,濾過後,蒸留水で洗浄乾燥中に褐色に変化したこと,濾過後直ちにエタノールで洗浄乾燥した試料は淡桃色のままであったことから,蒸留水による方解石-菱マンガン鉱固溶体の溶解およびマンガン酸化物の沈殿が示唆された.
     マンガン酸化物が生じないように処理した合成方解石-菱マンガン鉱固溶体の色彩色差計での測定では,Mnの増加に対してほぼ赤色成分のみが直線的に増加する傾向を示し,オレンジ方解石の傾向とは一致しなかった.このことから,オレンジ方解石の着色要因としてMn酸化物による可能性が示唆される.
  • 黒澤 正紀, 笹 公和, 石井 聰
    セッションID: R1-P04
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    日本のMタイプ花崗岩起源の熱水の化学的特徴を検討するため、神奈川県の丹沢複合岩体のユーシン岩体に産する晶洞石英の多相包有物中の娘結晶をSEM–EDSで観察した。娘結晶の種類と組成には、熱水流体の酸化状態と化学的特徴が反映されることが多く、データが少ないタイプの熱水の特徴の検討に有用である。観察の結果、娘結晶には岩塩・カリ岩塩が多く、少量の塩化鉄・黄銅鉱・菱鉄鉱・方解石も認められた。娘結晶として硫化物はあるが、硫酸塩がないことは、流体形成時の硫黄の酸化状態が低いことを示唆する。鉄化合物が塩化鉄(FeCl2)と鉄炭酸塩主体で、鉄酸化物がないこととも調和的である。これらは、酸化状態がやや低いMタイプ花崗岩の熱水流体の特徴と考えられる。
  • 野上 貴弘, 上原 誠一郎
    セッションID: R1-P05
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    福岡市西区にある長垂は、古くから希元素に富んだ鉱物が多数産出することで知られている。本研究ではその中でも先行研究では記載の不十分であったLiを含んだ雲母であるLi-micaについての発表を行う。Liを含んだ雲母の種類としてtrilithioniteとpolylithioniteを端成分にとるlepidolite系列、polylithioniteとsiderophylliteを端成分にとるzinnwaldite系列の二つが存在する。本研究ではXRD及びEPMAを用いたポリタイプの同定、及び化学分析を中心として研究を行った。長垂のLi-micaには1M, 2M1, 2M2の三種類のポリタイプが確認され、最も主要なものは2M1であった。また、それぞれのポリタイプの肉眼判別は困難であるが、2M2を持つものは比較的結晶が小さい傾向を持っていた。さらに、長垂のlepidoliteはAl, Si, Li, Mnの間に置換反応が見られ、2M2は2M1に比べMnの置換が少ない傾向があった。
  • 西居 俊基, 多田 希, 小林 祥一, 猶原 順, 草地 功, 武智 泰史
    セッションID: R1-P06
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    岡山県高梁市布賀鉱山からはCaO-B2O3-H2O系鉱物が多数報告されている.これまでの研究から,初生の鉱物は無水のカルシウムホウ酸塩鉱物であり,その後の熱水活動により種々の含水のホウ酸塩鉱物が生成したとされている.そこでこれらCaO-B2O3-H2O系鉱物およびスカルンの形成に関係した岩石として石灰岩,結晶質石灰岩,石英モンゾニ岩のホウ素同位体組成(δ11B値),および岩石に関してはホウ素含有量を分析した.分析はICP-MS を用いて2通りの方法で行った.分析の結果,初生鉱物のtakedaite, shimazakiiteのホウ素同位体組成は-10‰程度であり,これら鉱物の後期熱水作用により生成したとされるnifontovite, frolovite uralborite, olshanskyite, pentahydroboriteのδ11B値は,takedaite, shimazakiiteに比べ低い値を示し,鉱物の含水量によって次第に減少する傾向を示した.また,石灰岩と結晶質石灰岩中のホウ素含有量は,0.2~10ppm程度含まれているが,結晶質石灰岩の方が若干多く含まれている.
  • 門馬 綱一, 谷 健一郎, 宮脇 律郎, 長瀬 敏郎
    セッションID: R1-P07
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    サハリン南部の複数箇所から、シリカクラスレート鉱物であるメラノフロジャイトと千葉石の仮晶、および未変質のメラノフロジャイトを見いだした。Nevelskでは、中新世の頁岩中にパイプ状~脈状の石灰コンクリーションが点在し、その中の化学合成群集化石に伴ってメラノフロジャイトの100 μmほどの微細結晶集合体が産出する。Nevelskの南方約50 kmのKuznetsova(旧宗仁岬)周辺では、火山砕屑物を主体とする中新世の地層中に、直径100m前後の小さな火山岩体が数個分布しており、そのうち2つの岩体からメラノフロジャイトの仮晶が見いだされた。また、国立科学博物館所蔵の戦前のサハリン産鉱物標本の中からも、千葉石やメラノフロジャイトの仮晶と思われる試料を複数確認した。今のところ、現地では千葉石の仮晶は見いだせていない。
  • 永嶌 真理子, 岩佐 清香, 赤坂 正秀
    セッションID: R1-P08
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    島根県三津産のFeに富むぶどう石の産状と結晶化学的特徴を検討した.ぶどう石の産状は晶洞内に産するもの(Prh I),粗粒化した斜長石を交代して産するもの(Prh II)に大別される.いずれもFeに富むが,Prh II中のFe含有量変化(0.01-0.46 apfu)は,Prh I(0.33-0.44 apfu)に比べて大きい.メスバウアー分析の結果,Prh II中のFeは全て3価だが,Prh IはFe3+に加え,ごく少量のFe2+を含む.X線リートベルト法を用いて,空間群Pmna, Pma2でPrh I, IIの構造解析を行ったところ,いずれもPma2で精密化がより収束する.これはT2席中のAl-Siの秩序配列を示唆する.Fe含有量の増加は,距離,格子定数aおよびc, 格子体積が単調増加を引き起こすが, bはほぼ一定である.これは配位多面体の幾何学的特徴を反映している.
  • 錦郡 雄基, 池内 大起, 中野 良紀, 小林 祥一, 岸 成具
    セッションID: R1-P09
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    岡山県北房地域での調査において, 蛇紋岩の割れ目にcalcite, magnetite, aragoniteなど共にnakauriiteを見出したので報告する. Nakauriiteの理想式は(Mn,Ni,Cu)8(SO4 )4(CO3)(OH)6・48H2Oで示され,北房産nakauriiteは, 淡い青色を示す. 鏡下では, 0.5~1mmの針状結晶で, しばしば放射状の集合体として産し, 多色性(淡青色~無色)を示す.粉末X線回折結果は中宇利産と良く一致した.これらの値から最小二乗法によって精密化した格子定数は a = 14.55 (2) Ǻ,b = 11.41 (2),c =16.17 (2),V = 2687 (13) Å3であり,中宇利産よりやや小さい結果が得られた.北房産のnakauriiteのEPMA(WDS)による分析結果は,硫黄が含まれないこと,また銅よりマグネシウムに富むことで,Suzuki et al. (1976) によって示された中宇利産とは異なる特徴を示した.
  • 井上 晴貴, 上原 誠一郎
    セッションID: R1-P10
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    本研究では,熊本県八代市泉町下岳産のひすい輝石,オンファス輝石および随伴鉱物の産状や鉱物学的性質を報告し,成因などを議論する。ひすい輝石およびオンファス輝石は蛇紋岩メランジュ中の変成斑レイ岩に産する。緑泥石,パンペリー石,鉄藍閃石,普通輝石が主な構成鉱物であり,ごくわずかに石英も含む。ひすい輝石は約0.5 cmの白色脈や約10 μmの微細な結晶として,主に曹長石,カリ長石,白雲母を伴って産する。いずれのひすい輝石も組成はひすい輝石端成分に近いが,縁辺部にかけてCa, Feの含有量が増えていき,オンファス輝石の組成に近くなる。また,ひすい輝石の周囲に緑簾石-(Sr)などのSr鉱物がしばしば共生する。また,オンファス輝石は数cmの暗緑色脈として産し,この脈を構成する結晶は針状・粒状で約10 μmの微細なものである。組成はFeに富み,脈の一部はエジリン-普通輝石の組成を持つ。以上のことから,曹長石の分解反応のほかに,熱水からこれらの鉱物が直接晶出する過程も考えられる。
  • 平川 真実, 上原 誠一郎
    セッションID: R1-P11
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    熊本県宇城市松橋町は肥後変成帯に属し,本地域の肥後変成岩類中には,古くから“竹葉石”と呼ばれる超塩基性岩が分布することが知られている。竹葉石では,竹葉状に伸長したかんらん石が微細な磁鉄鉱を含んだ蛇紋石に変化している。本産地の竹葉石には竹葉状部分の周辺が灰色あるいは淡緑色を呈するものがあり,今回灰色を呈する竹葉石中の蛇紋石鉱物の鉱物学的性質を調べることを目的とした。X線回折実験により竹葉状部分(黒色部)はリザーダイト,少量の磁鉄鉱と滑石からなると同定し,走査型電子顕微鏡観察により蛇紋石の網目構造が確認された。また,竹葉状部分の周辺部(灰色部)は滑石とリザーダイトからなると同定したが,透過型電子顕微鏡によりさらなる微細組織観察を行うと,リザーダイト様蛇紋石だけでなく不完全な構造のクリソタイルや,一部にはアンチゴライトも確認された。
  • 浜根 大輔, 齋藤 勝幸
    セッションID: R1-P12
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    日本各地の砂金・砂白金について記載鉱物学的な調査を進めている中で,北海道から複数の本邦初産および希産鉱物を見出したので,ここまでに得られた内容を報告する。特に,元江鉱(yuanjiangite),自然鉛(native lead),金-銀-錫鉱物,トロフカ鉱(tolovkite),ラウラ鉱(laurite),トラミーン鉱(tulameenite),イソフェロ白金鉱(isoferroplatinum)について報告する。
  • 田中 崇裕, 浜根 大輔
    セッションID: R1-P13
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    山ヶ野鉱山の下流に位置する穴川から得られた重砂中に,いわゆる「砂金」として金色を呈する棒状結晶が発見されたので,その鉱物相・成因について考察する.金色を呈する棒状結晶は,最大500μm程度の六角柱状結晶である.SEM-EDX及び微小部X線回による検討ではAg3Hg-Au3Hg相(= luanheite-weishanite)に一致する.ただし結晶の一部はAu4Hg相に該当する可能性もあり,その詳細を現在検討中である.重砂から見出される水銀の付着していない砂金はいわゆるエレクトラムであり,山ヶ野鉱山から供給された現地性の自然金と推察される.山ヶ野鉱山は精錬方法としてアマルガム法を用いた時期がかつてあり,重砂中に見出される水銀は人の手により持ち込まれたものと推測される.棒状砂金は自然金と人為起源の液体水銀が重砂と共に同じ場所に留まり,それらが反応して生成したものと考えられる.そのため棒状砂金は鉱物の定義からは外れる物質であろう.しかしながら,原物質がどうであれ,産出に至るプロセスには天然の比重選別が大きな役割を果たしており,これもまた自然が生み出した物質であることに違いない.
  • 白勢 洋平, 下林 典正, 高谷 真樹, 石橋 隆, 豊 遙秋
    セッションID: R1-P14
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    旧制第三高等学校は1894年に発足された旧制高等学校であり,1949年には新制京都大学と合同して分校となり翌年廃止となる。旧制第三高等学校由来の鉱物標本である「三高標本」は,現在,京都大学総合博物館に収蔵されている。2017年に,「三高標本」について京都大学総合博物館収蔵資料目録第2号,第三高等学校鉱物標本目録として目録を刊行するに至った。「三高標本」の内訳としては,鉱物標本3163点(鉱物種260種)であり,そのうち496点(鉱物種194種)はドイツの標本商クランツ商会より購入された標本である。明治から大正にかけて収集された標本であり,その多くが教育用に購入・収集された特徴を持つ。収集の背景には,当時の三高教授であった松島鉦四郎,岩崎重三らの尽力があり,また,採鉱冶金学科教授の比企忠も関わっている。現在では入手が困難な貴重な標本を多く含み,保存状態が良く,当時のラベルがほとんど失われずに保存されている点も重要である。鉱物種,産地の網羅性に優れた教育用標本である「三高標本」は,我が国の鉱物学の黎明期に,その研究の発展と教育に多大な貢献を与えた重要な標本である。
R2:結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物
  • 大里 齋, Varghese Jobin, Heli Jantunen
    セッションID: R2-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    著者等は,indialite結晶化ガラスがマイクロ波/ミリ波誘電体材料として優れた誘電特性:低誘電率(4.7)・高品質係数(Qf > 200,000 GHz)を有することを明らかにしてきた.Indialiteは,cordieriteの多形で,オーダー/ディスオーダ転移の高温型である.CordieriteにNiをドープするとQfが改善され,リートベルト構造解析で結晶構造がindialiteに変化することを見いだした.Indialiteは,ガラスからの結晶化過程で生成することが知られているので,結晶化ガラスの着想に至った.Cordierite組成のガラスをindialiteに結晶化して,先の高特性の材料を得た.本研究では,このindialiteを900 ℃以下の低温焼成基板(LTCC)への応用を目指したものである.焼結助剤にBi2O3を用い,作製条件:10 wt% Bi2O3添加, 900℃/2hを見いだし,テープ成型・積層・焼結して低温焼成基板を作製した.得られた基板は,ソリやクラックも無く,誘電率6.10,tand = 0.00014 (1 MHz)の優れたものであった.
  • 阿部 利弥
    セッションID: R2-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    CaO-Na2O-B2O3-Li2O-V2O5フラックスで,両錐の六角柱状の低温型石英の特徴を有する結晶の成長に成功した.573℃以下の温度域に加え,この温度を超えた温度域でも六角柱状晶が得られたが,クラックを示すものが多い.一方,CaO-Na2O-Li2O-V2O5系フラックスでは,柱面が見られない,高温型の特徴を示す両錐結晶が得られた.さらに,CaO-MgO-Li2O-V2O5フラックスでは,高温型石英の特徴を示す両錐状結晶やトリディマイト結晶の特徴を示す六角板状晶が観察されている.
  • 坂口 勲, 黒田 みなみ, 永田 肇, 渡辺 明男
    セッションID: R2-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    高密度酸化スズ多結晶体を合成した。酸化インジウムを微量添加して焼結温度を低温化し、さらに相対密度98%に達成した。元素分布や酸素拡散実験から、添加したインジウムが酸化スズ格子内に固溶している事を確認した。これにより、高温での物質移動が促進され高密度の多結晶体が合成できたと考えられる。
  • 則竹 史哉
    セッションID: R2-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    珪酸塩融体及びガラスの見せる特徴的な温度及び圧力に対する応答の原子レベルから理解することは物性物理学、地球科学、冶金学そしてガラス工学において長い間にわたり注目されてきた問題である。特に本研究で注目しているのはSiO2ガラスの圧力による音速の低下であったり(Zha et al., 1994)、可塑性の増加であったり(Wakabayashi, et al., 2015)、SiO2リッチな液体の粘性の低下(Kushiro, 1976)に代表される圧力による弱化挙動である。さらにその圧力依存性が組成と圧力によって正負が変わるというある種の形態変化挙動である(Scarfe et al., 1979, Reid et al., 2001)。この形態変化挙動について、新たな静的・動的構造解析法を開発し分子動力学法の結果に適応することで準二成分系珪酸塩融体の圧力・組成による形態変化を論じた。
  • 北村 雅夫
    セッションID: R2-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    結晶成長機構として知られているラセン成長と2次元核成長の競合について、過飽和度に加えて表面拡散距離の効果を考慮して考察した。
  • 大藤 弘明, 竹田 侑平, 鍵 裕之
    セッションID: R2-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    天然ダイヤモンド,キューボイドおよびバラス(球晶)の内部組織と結晶方位分布についてEBSDおよびCLを用いて検討を行った.観察の結果,キューボイドは均質な単結晶より構成されるものと,単結晶的な中心核とその周囲を被覆する放射状に成長した針状結晶からなる二重構造を有するものの2タイプに分類され,バラスは中心から放射状に成長した針状~柱状結晶よりなることを明らかにした.両者において各針状~柱状結晶は[110]および[111]方向へ伸長しており,隣り合う結晶との間には比較的大きなミスオリエンテーションが伴われている.これらの特徴に基づき,キューボイド,バラスにおける結晶化プロセスを議論する.
  • 山下 紅弓, 吉朝 朗, 宮崎 晴菜, 徳田 誠, 鳥羽瀬 翼, 磯部 博志, 西山 忠男, 杉山 和正, 宮脇 律郎
    セッションID: R2-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    福岡県田川郡福智町磁石山では花崗閃緑岩との境界が観察されず石灰岩の割れ目に貫入してきた熱水によるスカルンが脈状に形成された特異な産状を示す。そこで産出する灰重石+パウエル鉱における、灰重石端成分結晶、パウエル端成分結晶、中間組成の固溶体結晶が近接して集合体となっている独特の産状について、成因を議論し、固溶体の構造解析と合成実験を行った。鉱物化学組成の分析には熊本大学のSEM・EDSを用い、端成分と固溶体が共存したその特殊な存在形態について考察するために端成分及び固溶体について単結晶解析法により精密構造解析を行った。固溶体については、格子定数やCa周りの原子間距離等が連続的に変化しており、連続固溶体として確認できた。端成分に固溶可能な成分が全く含まれていなかった点と独特の産状から、鉱液としてWとMoが異なった輸送形態(錯イオン)をとるか複数の鉱液が存在するかなど未だ不明であるが、鉱化過程の解明に制限条件を与えることに繋がると期待できる。
  • 奥寺 浩樹, 酒井 柚佳, 武田 博明
    セッションID: R2-08
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    ラッセル鉱の構造は Bi2O2 層と WO4 層の相互積層で説明される。この構造について局所的な対称性の低下や積層方向への積層不正が提案されている。
    フラックス法を用いて育成した高品質のラッセル鉱単結晶を試料とし、四軸回折計を用いて構造を検討した。Bi の孤立電子対に対応すると思われる残差密度は Bi を通って Bi2O2 層に垂直な直線上にあるので、BiO8 反四角柱内部での Bi の変位は孤立電子対電子と酸素との反発によるものではない。配位多面体の変形、回転、傾きを整理すると、Bi2O2 層の中央にある酸素原子レイヤーの変位の反転は b に沿った連晶を生じ、ランダムな反転は局所的な対称性の乱れと A 底心で禁制な回折線の強度増加とを生じる。
  • 阿依 アヒマディ, 猿渡 和子, 桂田 祐介
    セッションID: R2-09
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    日本産ジェダイトは、最高級とされるビルマ産インペリアル・ジェダイトに比べると透明度に欠けるものの、その希少性と天然の特徴により非常に貴重な宝石とされている。今回の研究では、新潟県糸魚川・青海地方および鳥取県若桜地方で産するジェダイトを、着色元素及び鉱物相によって次のようにいくつかの色のタイプに分けた:白色、緑色、ラベンダー、青色、黒色。糸魚川・青海産の白色のジェダイトは純粋なヒスイ輝石に近いものであった(Xjd=98)。緑色のジェダイトはXjdの値が98~82の範囲であった。緑色のジェダイトにおけるCaOの最大濃度は5wt%、着色元素はFeおよびCrであった。ラベンダーの試料はヒスイ輝石成分がXjd=98~93で、TiO2およびFeOtotに富み、そしてMnO成分に乏しい傾向があり、青色のジェダイトは最も高いTiO2濃度0.65wt%を示し、Xjd範囲は97~93であった。若桜産の青色ジェダイトでは97~91で、同様に高いTiO2濃度を示した。
  • 岡本 啓太郎, 栗林 貴弘, 長瀬 敏郎
    セッションID: R2-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    ローソン石は約11.5 wt.%もの水を含む含水鉱物で、4 GPa付近と10 GPa付近で圧力誘起相転移を示し、さらに低温では二段階の秩序ー無秩序型相転移を示す。4 GPa付近の高圧相転移では、C底心直方格子が単純直方格子に変化することが分かっているが、高圧側の相の空間群は決まっていない。低温相と高圧相を比較するためには、4~10 GPaに生じる高圧相の空間群を決める必要があるため、放射光線源を用いた単結晶X線回折実験を行った。その結果、C底心格子の消滅則を破る複数の反射が確認され、4~10 GPaの高圧相の空間群は4種類のいずれかに属することが分かった。
  • Narangoo Purevjav, Takuo Okuchi, Xiaoping Wang, Christina Hoffmann
    セッションID: R2-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    Ringwoodite is the most important water reservoir in the deep mantle. In order to understand the effect of water on its physical properties, it is essential to elucidate the position of hydrogen and its exchanging mechanism with the other cations in the ringwoodite crystal structure. Here we show our single crystal neutron diffraction results of hydrous ringwoodite, which was conducted for the first time on it for resolving its hydrogen position. We successfully demonstrated the hydrogen position and its occupancy in the ringwoodite crystal structure.
  • 山中 高光, 服部 高典, 小松 一生, 三河内 岳, 石川 喜久, 毛 河光
    セッションID: R2-12
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    FeとMnを主要成分として含む酸化鉱物は多い.磁性や,電気伝導を示し,地球物理学的に重要鉱物である. Mn3-xFexO4は立方晶から正方晶に変化し、物性に寄与する四配位と六配位位置の陽イオンの分布がX—線回折実験では原子散乱因子がMnとFeで差がなく正確に得られない.中性子散乱長はMn(-3.73fm)とFe(9.54fm) で違いがあり,中性子回折実験から正確に解析できた. 磁気構造も解析できた.  
     Fe3-xMnxO4についてJ-PARC PLANETの6軸高温高圧粉末回折装置を用い,圧力2GPa, 4 GPaで1200℃まで昇温と降温過程で回折実験を行なった、データ解析はGSASを用いた.
    Mn2FeO4の磁気スピン秩序度の高圧下の変化が生じCurie点が下がった.
    Mn3O4は常圧で1400Kで正方晶-立方晶Jahn-Teller 転移するが,Mn2FeO4は2GPaで160℃,4GPaでは140℃で転移した,昇温と降温実験でヒステリシスがあり,一次転移である
    イオンの選択配向も考慮した席占有率の解析から,秩序度の温度変化を明白にした.
  • 坪川 祐美子, 石川 正弘
    セッションID: R2-P01
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    We described the sintering behavior of polycrystalline olivine. Nano-sized olivine powders were successfully fabricated from naturally occurring olivine single crystal. They were sintered under argon flow at temperatures ranging from 1130–1300 °C for 2–6 h. Polycrystalline olivine showed a homogeneous texture and almost random crystallographic preferred orientation. The average grain size increased with increasing sintering time and sintering temperature. Normalized grain size distributions have a unimodal distribution and show no systematic change.
  • 福島 義博, 奥野 正幸, 荒砂 茜, 水上 知行, 木川 雅仁, 伊藤 暢晃
    セッションID: R2-P02
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
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    ガラス海綿(六放海綿綱)の骨格及びシリカゲルは水分子ならびに, シラノール基(Si-OH)を有する非晶質シリカである. これらのシリカ物質は非晶質特有の不規則なネットワーク構造を有するが, 特にリング構造の分布に差異が見られることが明らかにされ, その差異は, 結晶化温度や結晶化プロセスに起因すると考えられる. そこで本研究では, ガラス海綿カイロウドウケツの骨格及びシリカゲルについて加熱処理を行い, 粉末X線回折測定, 赤外及びラマン分光測定などによりそれらの構造変化を明らかにするとともに, 結晶化温度の違いなどが生じる原因などについて検討した. 赤外分光測定から, 加熱処理したガラス海綿及びシリカゲルの試料は脱水重縮合反応により, SiO4四面体ネットワーク構造が増加したことが明らかにされた. また粉末X線回折測定の結果より, 1200℃で結晶化したシリカゲルに比べて, ガラス海綿は800℃と低温で結晶化することを明らかにした.
  • 阿部 健康, 栗林 貴弘, 中村 美千彦
    セッションID: R2-P03
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    モナズ石CePO4は、変成岩や火成岩に広く産し、U-Pb年代測定に利用される重要な鉱物として知られる。モナズ石の結晶構造中には空隙が存在する。3価のCe席や5価のP席が電荷の異なるカチオンによって置換される場合、その空隙が格子間席として使われ、電荷バランスを保つための不純物が固溶する可能性がある。本研究では、Ce席に2価のカチオンをドープしたCePO4単結晶をフラックス法により合成し、単結晶X線回折実験を行い構造を精密化した。格子間席への不純物固溶を検証するため、ドープなし及び2価カチオンドープ試料について差フーリエ図を作成して比較した。ホットプレス装置に内蔵のシリコニット炉を使用し、pure及びCa-doped CePO4、の二種類を用意した。回折強度データを取得し、Ca-doped CePO4について構造精密化を行った結果、CeO9-PO4鎖間の位置にピークが観察された。Ce席、P席の占有率パラメータは、それぞれ0.97、0.95と1より小さい値を示し、Ce席やP席に空孔が生じている可能性が示唆された。
  • 藤原 惠子, 谷本 良平, 中塚 晃彦
    セッションID: R2-P04
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    Na-GTS型チタノシリケート(Na4Ti4Si3O16·6H2O)のEr3+交換体は、触媒や蛍光材料などの機能性材料として有望なマイクロポーラス結晶である。水熱合成したNa-GTSを0.5 MのErCl3水溶液中40 °Cで振とう処理することによって、Er3+交換の最大許容量(x = 1)に近いx = 0.98という組成をもつEr3+交換体を得た。この試料において、実測のXRDパターンとシミュレーションしたXRDパターンとの比較から、細孔内におけるEr3+の陽イオン分布を議論する。
  • 瀬山 春彦
    セッションID: R2-P05
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    X線光電子分光法(XPS)により、ケイ酸塩鉱物中のSi、Alの状態分析を行い、ケイ酸塩鉱物の結晶構造とSi、Alの化学結合状態の関係について調べた。Si 2s光電子スペクトルは、ケイ酸塩骨格中のO/Si比の増加やSi4+のAl3+への置換による負電荷の増大により、低結合エネルギー側へシフトした。また、Al KL23L23オージェ電子スペクトルでは、鉱物により2 eVを超える運動エネルギー(1385.8-1388.0 eV)の違いがあり、ケイ酸塩骨格中の負電荷の増大とともに高運動エネルギー側へのシフトが観測された。さらに、Al 2p結合エネルギーとAl KL23L23オージェ運動エネルギーの和(Al オージェパラメータ)は、正八面体六配位Alの方が正四面体四配位Alより大きな値となった。以上の結果から、Si、Alの光電子、オージェ電子スペクトルの化学シフトは、ケイ酸塩鉱物の結晶構造と密接に関連していることが分かる。
  • 實藤 俊郎, 磯部 博志
    セッションID: R2-P06
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    SiおよびAlを主成分とする層状ケイ酸塩鉱物や含水非晶質物質は, 地球表層における風化・変質生成物の多くを占める。このため, 含水非晶質物質を起源とする層状ケイ酸塩鉱物の結晶化過程の速度論的理解は地球表層環境変遷過程の定量的解析において重要である。本研究では, Si-Al系含水非晶質物質を用いた熱水実験を行い, 生成した層状ケイ酸塩鉱物について, その産状および組織の変遷についての観察結果を報告する。
     SEM観察により, 200℃以上の条件の試料には, 様々な二次生成物相が形成されていることが確認できた。XRD分析と, 赤外吸収スペクトルは, これらの結晶がkaolinite系の鉱物, pyrophyllite, halloysiteであることを示している。出発物質の残存相の組成は, 初期組成よりもSiの量比が増加しており, Alがより選択的に溶脱していることを示している。出発物質の溶解の進行がSi-Al系層状ケイ酸塩鉱物種とその産状に強く影響していると考えられる。
  • 尾黒 杏, 濵田 麻希, 赤坂 正秀, 奥寺 浩樹, 奥野 正幸
    セッションID: R2-P07
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    [Sr2Fe3+AlSiO7(SFG)]100および[Sr2AlFe3+ SiO7]50[Ca2AlFe3+SiO7(CFG)]50メリライトを合成し,8配位席におけるイオン置換と結晶構造変化との関係を検討した. 粉末X線回折データを用いたリートベルト解析およびメスバウアー分光分析により構造を精密化した結果から,Fe3+は二つの4配位席の両方に同程度分布し,またSFG成分の増加に伴いa軸長,c軸長ともに伸長し,比較的c軸長が増加する.c軸長の増加は 8配位席の配位多面体が拡大することによって起こる.8配位多面体の変化に伴いT1O4四面体が拡張し,T2O4四面体が歪む.これらの8配位席におけるCaとSrのイオン置換による構造変化により,8配位多面体シートと四面体シートがそれぞれ平坦化することにより,(Sr,Ca)2Fe3+AlSiO7-メリライトの結晶構造中の層間のミスフィットが減少することを明らかにした.
  • 大井 修吾, 松本 義弘
    セッションID: R2-P08
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    滋賀県田上山では主に一方向に成長する水晶が見られるが、稀に両方向に成長した両錐型水晶がる。
    本研究は田上山産水晶の成長過程をより詳細に考察することを目的として、 (A) 晶洞から直接採取した試料、(B) 破断面がr面又はz面と平行に近く、両錐型のもの、(C) 破断面がc軸と垂直に近く、錐群が観察できる試料、(D) 破断面がc軸と平行に近い試料、の4種を比較してカソードルミネッセンス法で観察を行った。
    観察の結果、 (B)は破断後に複数の錐面を形成した痕跡なく破断面が成長により修復されているのに対し、(C)、(D)は破断面を修復する際に、複数の錐面を形成し、それらが成長とともに統合された痕跡が観察できた。
    本研究の結果から、破断面の方向に従い、破断面の修復速度が異なることが考えられる。
  • 吉見 桃子, 栗林 貴弘, 長瀬 敏郎
    セッションID: R2-P09
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    Akizuki et al. (2001)のマダガスカル産電気石試料について、c{0001}セクター及びo{02-21}セクターの単結晶X線回折実験と結晶構造解析を行った。oセクターでは、六方格子において等価な3本のa軸のうち1本が他の2本と比べて短い。一方、cセクターでは3本の長さに有意な差はなかった。構造解析の結果、cセクターでは、R1モデルでの精密化で得られたY1,Y2,Y3席の占有率は3つともほぼ等しく、空間群R3mの三方晶系と考えられる。一方、oセクターではR1モデルでの精密化において、Y席でAlとLiの秩序化が観察された。3つのY席の占有率の違いによりY1-Y3距離が縮められるが、これによって縮む方向は短い軸の方向と一致する。この方向は3つのY席のうち1つだけ占有率が異なるY2席を通る鏡面に垂直である。この関係はShtukenberg et al. (2007)の報告と同様である。占有率の異なるY席を通る鏡面と垂直の関係にある軸長が短くなることは、産地の違いに関わらずY席でLiとAlの秩序化が観察される電気石に共通する事象であると考えられる。
  • 谷 祐樹, 有馬 寛, 杉山 和正, 吉朝 朗
    セッションID: R2-P10
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    andalusiteのAl席にMnやFeが固溶する緑色の鉱物であるviridindeについて、発色の起源となる微量元素の存在形態をX線異常散乱(AXS)法やXAFS方を用いて調査した。
  • 本宮 秀朋, 鳥羽瀬 翼, 吉朝 朗, 磯部 博志, 奥部 真樹, 有馬 寛, 杉山 和正, 宮脇 律郎
    セッションID: R2-P11
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    K-T境界粘土層中にはIrの他、様々な元素が濃集している。その内、これまでSbの局所構造解析を行い、その化学的状態、配位環境について明らかにしてきたが、鉱物相は特定できなかった。今回、再び比較試料を増やしてXAFS測定を行い、AsのXAFS解析とも比較することでSbの濃集鉱物相が推定できた。AsのXAFS解析ではK-T境界粘土層中に濃集しているAsは、先行研究と同様schwertmannite中のAsと同じ状態である。SbのXANESスペクトルにおいて、ケミカルシフトと形状からK-T境界粘土層中のSbは+5価で酸化物であるが、下仁田と市之川のschwertmanniteのスペクトルとほぼ一致する。EXAFS分析でもK-T境界粘土試料と2か所のschwertmanniteの形状はよく似ている。K-T境界粘土試料中にはgoethiteが極少量あるが、amorphous成分も多い。構成鉱物からも、Sbは低結晶性のschwertmannite中のSbとよく似た状態である。この結果はSbのAsとFeイオンとの共沈現象を示唆するものでもある。
  • 鴛海 太郎, 奥部 真樹, 有馬 寛, 長瀬 敏郎, 杉山 和正
    セッションID: R2-P12
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    水晶(low quartz: SiO2)は、らせんの回転方向が鏡像関係にある2種類の結晶構造をもつ。通常のX線構造解析では、らせんの右巻き左巻き共にX線回折斑点像が非常に似ており、その区別は難しい。特に、天然の水晶は多くの場合双晶しており、c軸に平行に180°回転しているドフィーネ式双晶と、右および左水晶の双晶であるブラジル式双晶が複雑に混在しており、試料の選別には特に注意を要する。
    本研究では、双晶を含まぬよう準備した単結晶水晶の試料に対し、X線異常分散法を利用した構造解析を行い、キラリティを決定した。また、4回らせんを有するクリロフ石[NaFe3(PO4)2(OH)4+2H2O]についてもX線異常分散法を利用したキラリティの判別解析を試みた。水晶の構造解析では、左旋光性の水晶がP3121、右旋光性の水晶がP3221と求まり、左右のキラリティが決定できた。クリロフ石の解析では、らせん対称性の違いによる結晶構造因子の差が大きい幾つかの反射の強度を比較することで、キラリティの判別ができた。
  • 酒井 柚佳, 奥寺 浩樹, 荒砂 茜, 武田 博明
    セッションID: R2-P13
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    ラッセル鉱の構造はWO6層とBi2O2層の交互の積層である. この構造を塩酸処理前後で比較すると、塩酸処理により積層方向へ格子が縮小し, 積層方向に対するWO6八面体の傾きと積層方向に垂直なWの変位が緩和されていた. 赤外吸収スペクトルは, WO6八面体内部で対角酸素距離を維持しつつ結合O-W-Oが直線に近づくことを示唆しており, X線構造解析で得られたWの変位の緩和と調和的である. また, 赤外吸収スペクトルで観測された水分子に由来すると思われる強い吸収は結晶表面における吸着サイトの存在を示唆する.
  • 中塚 晃彦, 大高 理, 藤原 惠子, 吉朝 朗
    セッションID: R2-P14
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    SrGeO3の高圧ペロブスカイト相の単結晶を高圧高温下で育成した。100 K~323 Kの範囲内の7つの温度点において単結晶X線構造解析を行った。その結果、Ge-O方向における酸素原子の平均二乗変位(MSD)はほとんど温度に依存しないが、一方、結合に垂直な方向におけるMSDは温度の上昇とともに大きく増加する。この特異な酸素原子の熱振動挙動は、Ge-O結合における強い共有結合性に起因すると考えられる。
  • 山根 崚, 小松 一生, 鍵 裕之, Helen Maynald-Casely, Stan Lee, Norman Booth
    セッションID: R2-P15
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    氷は水分子の電気双極子モーメントが大きく、誘電率などその電気的物性が盛んに調べられている。強い外部電場を加えることによる水分子配向の電場方向への秩序化もよく議論されるが、常圧氷での研究ではこの秩序化の直接的な証拠を示す報告はない。これは、常圧氷における水分子の回転のしずらさに起因すると考えられる。氷VII相は、他の氷の多形と異なり分子回転が起きやすいため,安定な秩序相氷VIII相を有する無秩序相である。本研究では、氷高圧相の氷VII相に高電場を印加しながらその電場方向への秩序化を中性子回折で測定することを試みた。
  • 中村 佳博, M. Satish-Kumar
    セッションID: R2-P16
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では不均一性な天然炭質物の結晶構造を評価するために、空気中での炭質物の酸化を利用した結晶構造評価を行った。炭質物やグラファイトの燃焼キネティクスは、温度・酸素分圧・比表面積に強く依存しており、酸素分圧一定では炭質物の結晶構造に相関性があることが推測される。本研究では、あらかじめc軸方向の大きさを決定した試料を用いて示差熱分析を実施した。その結果452℃~918℃まで連続的に放熱ピークがシフトすることを見出した。この放熱ピークとLc(002)を比較すると以下の式にフィッティングすることができた。
    Lc(002) = 0.0049exp(0.017Tex), R2 = 0.92
    結晶子サイズと放熱ピークは指数関数的な高い相関性を有しており、放熱ピークから岩石中に含まれる炭質物の結晶子サイズを推定できる可能性がある。さらに複数の放熱ピークから構成されている炭質物は、熱重量分析と組み合わせることでそれぞれの結晶子ごとの重量%を導くことができるようになった。今後異なる昇温レートにて実験を実施し、それぞれの酸化速度の温度依存性からも炭質物の結晶構造を議論する。
  • 興野 純, 横大路 美帆, 千葉 崇, 田村 知也, 辻 彰洋
    セッションID: R2-P17
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
    Pressure induced phase transformation of the diatom frustule composed of hydrous amorphous silica was investigated by Raman spectroscopic analysis. At 0.3 GPa, it can be readily crystallized into a mixture of quartz and moganite. At 5.7 GPa, it is crystallized into coesite. The first-principles calculations revealed that the Si-O-Si bridging unit with trans configuration is twisted 60° and changed into the cis configuration with a close approach of water molecule, which would be responsible for the readily crystallization of hydrous amorphous silica.
  • 小西 博巳
    セッションID: R2-P18
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/16
    会議録・要旨集 フリー
R3:高圧科学・地球深部
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