景観生態学
Online ISSN : 1884-6718
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24 巻, 1-2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
特集「亀岡盆地の保津川と遊水地の今」
原著論文
  • 雫田 享佐, 斎藤 昌幸
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 24 巻 1-2 号 p. 61-69
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    本研究では,山形県庄内地方におけるヒメボタルの生息環境を定量的に評価することを目的とした.鶴岡市に位置する高館山周辺に,地形・森林植生タイプの異なる16個の調査サイトを設定した.それぞれの調査サイトで,2018年6月から7月の間に成虫の発生個体数を数えた.成虫の発生個体数と地形の指標であるTopographic Position Index(TPI)および森林植生タイプ(広葉樹林,マツ林,スギ林)との関係を一般化線形混合モデル(GLMM)によって解析した.さらに,幼虫期に重要とされる餌資源量(陸貝と土壌動物)の調査を2018年10月に,土壌水分量の調査を2018年6月と10月にそれぞれ行った.餌資源量と土壌水分量は,それぞれをTPIと森林植生タイプで説明する一般化線形モデルもしくはGLMMによって解析した.統計解析の結果,成虫の発生個体数にはTPIが関係しており,谷に近い環境で個体数が多くなる傾向が明らかになった.また,このような環境は,陸貝の個体数が多く,土壌水分量も高い傾向にあることが示された.すなわち,成虫が多く発生すると示された環境は,同時に幼虫の生息にも適した環境であることが示唆され,これには成虫メスと幼虫の移動能力の低さが関係している可能性が考えられた.

調査研究報告
  • 大野 啓一, 唐澤 奈美, 谷 光清, 佐藤 裕一, 佐土原 聡
    原稿種別: 調査研究報告
    2019 年 24 巻 1-2 号 p. 71-82
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    横浜市の「みなとみらい21」地域の「グランモール」地区で実施された都市緑地と温熱環境の関係解析を行った過去の卒業論文の調査資料を見直し,本報では局所的暑熱環境にかかわる温熱指標と効果示数を新たに定量化した.また,以前の都市緑地分類を再点検し,グランモール地区の街路や公園緑地を基本単位である6つの植生景観型に区分した.本研究で得られた様々な温熱データを用いた統計解析で判明した有意関係をもとに,これらの単位は11景観地区の組合せにより5つの主要なグループに分けられた.その結果に基づいて,著者らは各景観区群の構成要素の質的,量的違いによる温熱効果の差異について考察した.さらに,本地域の生育環境に適合し,局所的暑熱環境の改善が期待できる樹種を用いた持続可能な都市緑地の創出方法の幾つかが提案された.

  • 大野 啓一, 谷 光清, 佐藤 裕一, 佐土原 聡
    原稿種別: 調査研究報告
    2019 年 24 巻 1-2 号 p. 83-95
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    都市緑地の生態系の文化的サービスの分析と評価のため,「横浜みなとみらい21」の街路と公園において,野外調査(毎木調査,植生景観調査,天空写真撮影)を実施し,そこで得られたデータの統計解析を行った.都市緑地を分類するための表操作で識別された植生景観単位(型と亜型)は,コレスポンデンス分析により4つのグループに大別された.独立性の検定と残差分析により,各グループを特徴づけている景観要素が特定された.以上の結果をもとに,文化的サービスの一部である「心地よさ」や「安らぎ」など都市緑地がもたらす正の心理的効果について評価した.さらに,地域景観の魅力を高める都市緑地を創出するための方策が提案された.

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