沙漠研究
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33 巻, 3 号
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原著論文
  • マイヤー清水 幸子
    2023 年 33 巻 3 号 p. 105-121
    発行日: 2023/12/30
    公開日: 2023/12/30
    ジャーナル フリー

    水をめぐる問題は,概して,人口増加や気候変動など,さまざまな課題が要因となり生じている.サヘル地域では,これらの要因に加え,フランスの利権に対する国民の反仏感情,過激派テロ組織によるテロの脅威,そして,治安の悪化による安全保障問題などが,水をめぐる問題と密接に関連している.アフリカのサヘル地域に位置するニジェール共和国(Republic of Niger)では,2001年以降,フランスの多国籍企業Véoliaが飲料水の販売や流通など水管理にかかる権益のほとんどを独占している.2023年1月,ニジェール政府は,Véoliaの傘下にある民間企業「ニジェール水資源開発会社(SEEN)」の水管理契約を更新せず,ニジェールの飲料水を管理する国営企業の設立を閣議決定した.

    フランスの独占権益は,ニジェール国民の反発を引き起こしているが,この権益を要因とする水をめぐる問題は,紛争や国家の危機につながるのだろうか.

    ニジェールは,治安情勢が悪化する中,フランスをはじめとする国際社会との連携が必要としていたが,2023年1月,バズム政権が2001年から続いたVéoliaの水管理契約を終了したのは何故だろうか.本稿は,ニジェールにおけるフランスの企業による水管理の独占権益とニジェール政府の選択を取り上げ,水をめぐる問題が国家の危機にどのように関連するのかを明らかにし,その関係性を見出すことを目的とする.

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